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昨オフに最も高額な契約を交わした選手が、出場ゼロのまま全休となる

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロバート・スティーブンソン(ロサンゼルス・エンジェルス)Feb 21, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3ヵ月前、ロサンゼルス・エンジェルスは、ロバート・スティーブンソンを3年3300万ドル(2024~26年)の契約で迎え入れた。

 スティーブンソンは、31歳のリリーフ投手だ。昨シーズンは、ピッツバーグ・パイレーツとタンパベイ・レイズで計60試合に登板し、52.1イニングで奪三振率13.24と与四球率2.75、防御率3.10を記録した。

 バリー・スポーツ・ウエストのエリカ・ウェストンやMLB.comのレット・ボーリンジャーらによると、4月18日、エンジェルスは、スティーブンソンが肘の手術を受け、今シーズンは全休することを発表したという。

 肩を痛め、スプリング・トレーニングの登板はなし。故障者リストに入って開幕を迎え、4月13日にAAAの試合でマウンドに上がったが、最初の打者に4球を投げ、四球で歩かせたところで降板した。

 昨オフ、エンジェルスが交わした複数年契約は、他にはなかった。年平均1000万ドル以上も、スティーブンソンとの契約だけ。2番目に高かったのは、マット・ムーアを呼び戻した1年900万ドルの契約だ。

 なお、スティーブンソンの契約には、2027年のコンディショナル・オプションがついている。2024~26年の契約期間中に、肘の靱帯の損傷で130日続けて故障者リストに入った場合、2027年は250万ドル――2024~06年2024~26年の各年俸は1100万ドル――の球団オプションとなる。今回の全休は、これに該当する可能性が高い。

 エンジェルスは、4月17日に、ブライアン・ショウとマイナーリーグ契約を交わした。この動きは、スティーブンソンの怪我と無関係ではないように思える。

 ショウは、通算183ホールドを記録していて、シーズン60登板以上は10度を数える。ただ、35歳の昨シーズンは、38登板の45.2イニングで防御率4.14。今シーズンは、5登板中3登板で失点(と自責点)を記録し、シカゴ・ホワイトソックスのロースターから外された。その後、FAになることを選んだ。

 昨オフに最も高額な契約で手に入れた選手が全休となったのは、エンジェルスだけではない。ボストン・レッドソックスでは、2年3850万ドル(2024~25年)の契約で入団したルーカス・ジオリトが、先月中旬に肘の手術を受けた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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