Yahoo!ニュース

マイナーリーグ降格の外野手がトレードを志願。かつてはプロスペクトと目され、年齢はまだ27歳

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウィリー・カルフーン(テキサス・レンジャーズ)Apr 25, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月2日、アクティブ・ロースターの人数は、通常の26人に戻った。ロックアウトによってスプリング・トレーニングが短くなったことに伴い、故障防止の観点から、前日までのアクティブ・ロースターは28人とされていた。

 この減少により、マイナーリーグ降格となった一人が、27歳の外野手、コールウィリー・カルフーン(テキサス・レンジャーズ)だ。メジャーリーグ6年目の今シーズンは、主にDHとして出場し、18試合で打率.136(44打数6安打)と出塁率.283。ホームランは、代打として打った1本しかなかった。

 故障中のリハビリ出場を除くと、マイナーリーグでプレーするのは、2019年の夏以来となる。ジ・アスレティックのレビ・ウィーバーによると、カルフーンは降格直後に「トレードに出してほしい」と語ったという。

 放出を望む理由は、降格ではなく、打撃コーチにあるらしい。ウィーバーの記事にある、カルフーンのコメントをまとめるとこうなる。コーチはカルフーンにパワーを求めているが、カルフーンは自身をラインドライブ・ヒッターだと考えている――。降格がきっかけとなって不満が噴き出したのか、あるいは、降格というタイミングを捉え、ウィーバーがカルフーンの不満をうまく聞き出したのかもしれない。

 5年前の夏、レンジャーズは、ダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)をロサンゼルス・ドジャースへ放出し、交換に3人のマイナーリーガーを手に入れた。そのなかでも、最も期待されていたのが、カルフーンだ。翌年の開幕前に、ベースボール・アメリカが発表したプロスペクト・ランキングで、カルフーンは全体36位に挙げられた。

 2020~21年は故障と不振が続いたが、死球による離脱が2度あり、それらを除けば、故障がちな選手というほどではない。また、メジャーリーグ3年目の2019年には、83試合で21本のホームランを打っている。この年は、AAAの41試合で8本塁打も記録した。

 ポテンシャルと年齢からすると、トレードで放出しようと思えば、獲得に動く球団はあるはずだ。もっとも、レンジャーズは、そうしないのではないだろうか。現時点では、あまり大きな見返りは期待できない。

 カルフーンがFAになるのは、早くても2024年のシーズン終了後だ。レンジャーズは、あと3シーズン近く保有できる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事