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「緊急地震速報でコンロの火を消す」は古い!?アップデートしないと危険な防災知識を防災士が解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

緊急地震速報が出ると、震源から離れた地域では揺れが到達するまでに数秒程度の猶予があり、「何かしなければ」と考える人も多いと思います。

実は、かつては「地震のときはまず火の始末を」と言われていたので、テレビやスマホの緊急地震速報を見てコンロの火を消そうとする人もいるかもしれないのですが、その行為、かえって危険です。

緊急地震速報で、まず何をすべき?

南海トラフ地震の想定震源域(気象庁HPを元に作成)。
南海トラフ地震の想定震源域(気象庁HPを元に作成)。

緊急地震速報が発表されたら、とにかく体を守るのを最優先してください。そのときコンロに火がついているかどうかは、関係ありません。
もちろん速報が出なくとも、強い揺れを感じたときは同様です。

実は現在では、たとえ都市ガスでもプロパンガスでも、震度5程度以上の揺れが発生した場合はガスが自動で止まるしくみになっています。
火の元の確認や、万が一出火してしまった場合の初期消火は、揺れが一旦おさまってからにしましょう。
というのも、揺れている最中に無理に火を消そうとして初期の段階でケガをしてしまうと、それ以降の行動が制限されてしまい、最終的に命に危険が及びやすくなるためです。

なお、家が倒壊するおそれがあったり、津波警報・大津波警報が出たりして避難が必要な場合もあると思いますが、そのときはガスの元栓と電気のブレーカーを両方とも切ってから家を出てください。

「机の下」より「安全スペース」の確保を

緊急地震速報が出たら机の下にもぐる、というのもよく聞くと思いますが、正しくは「安全な机の下」にもぐる必要があります。
というのも、もし机が窓の近くにある場合、地震によって窓ガラスが割れてしまうおそれがあり危険だからです。

安全な位置に机がある場合は机の下へ入ることができますが、よりおすすめなのは、普段から部屋の中に「安全スペース」を作っておくこと。
「安全スペース」とは、上からものが落ちてきたり家具が倒れてきたりしない空間のことで、家族が一番長く時間を過ごす部屋には必ず1か所、そしてできれば家の中のすべての部屋に「安全スペース」があるのが理想です。

間取りの都合などで「安全スペース」が作れず、さらに安全な場所に机もない場合は、その場で頭を守れるもの(座布団やカバン、上着でも可)で頭と首の後ろを守りながらうずくまる、いわゆる「ダンゴムシポーズ」を取りましょう。

普段からの備えが一番「強い」

気象庁HPより
気象庁HPより

地震のニュースを見たり緊急地震速報が出たりするたびに、「そろそろ地震に備えなきゃ…」と思う人は多いと思います。

もちろん、上図のように家具の固定や備蓄品の準備などすべて重要ではありますが、すぐにはできないという人も多いと思いますので、まずは正しい防災知識をアップデートしましょう。
そして前述の通り、家の中に「安全スペース」を作ることから始めてみてください。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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