Yahoo!ニュース

今オフの大型契約トップ25。吉田正尚と千賀滉大にロベルト・スアレスもランクイン

宇根夏樹ベースボール・ライター
千賀滉大(左)とビリー・エプラーGM Dec 19, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、総額1億ドル以上の契約を手にした選手は、10年3億1350万ドルの延長契約を交わしたラファエル・デバース(ボストン・レッドソックス)を含め、10人を数える。

 彼らに次ぐのは、デバースとチームメイトになる、吉田正尚の5年9000万ドルだ。こちらも、レッドソックスの支出は1億ドルを超える。オリックス・バファローズに支払うポスティング費は1537万5000ドルなので、9000万ドル+1537万5000ドル=1億537万5000ドルとなる。

 総額のトップ25は、以下のとおり。開幕までに新たな延長契約はあるかもしれないが、現時点でFA市場に残っている選手がランクインする可能性はまずない。

筆者作成
筆者作成

 年平均額のトップ3は、ジャスティン・バーランダー(ニューヨーク・メッツ)の4333万3333ドル(2年8666万6666ドル)、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)の4000万ドル(9年3億6000万ドル)、ジェイコブ・デグローム(テキサス・レンジャーズ)の3700万ドル(5年1億8500万ドル)だ。

 バーランダーの年平均額は、9年ぶりに同じローテーションで投げる、マックス・シャーザーとほぼ同じ。メッツが2人に配慮したように見える。昨オフ、シャーザーは3年1億3000万ドルでメッツに入団した。年平均額は4333万3333.3333…ドルだ。シャーザーとバーランダーの年平均額は歴代トップ2、ジャッジとデグロームの年平均額は歴代3位と4位に位置する。

 ちなみに、総額トップ25のうち、5年4600万ドルで再契約のロベルト・スアレス(サンディエゴ・パドレス)だけは、年平均額が1000万ドルに満たない。920万ドルだ。とはいえ、スアレスの総額は、今オフにリリーフ投手が得た契約のなかでは2番目に多い。

 球団別では、メッツが大型契約を連発している。総額7500万ドル以上の契約が4件だ。

 ただ、メッツのロースターが前年よりグレードアップしたかどうかには、疑問も残る。8年1億6200万ドルのブランドン・ニモと5年1億200万ドルのエドウィン・ディアズは、どちらも再契約だ。前年もメッツにいた。また、ローテーションからは3人が抜け、3人が加わった。退団したのは、デグローム、タイワン・ウォーカー(フィラデルフィア・フィリーズ/4年7200万ドル)、クリス・バシット(トロント・ブルージェイズ/3年6300万ドル)。入団したのは、バーランダーと千賀滉大(5年7500万ドル)に、ホゼ・キンターナ(2年2600万ドル)だ。

 メッツは、サンフランシスコ・ジャイアンツとカルロス・コレイアによる13年3億5000万ドルの契約が暗礁に乗り上げた直後、コレイアに12年3億1500万ドルの契約を申し出て合意に達したが、契約の成立には至らなかった。結局、コレイアは6年2億ドルでミネソタ・ツインズへ戻った。

 昨年、メッツは101勝を挙げたが、地区順位は、同じく101勝のアトランタ・ブレーブスに次ぐ2位。ポストシーズンでは、最初のワイルドカード・シリーズでパドレスに敗れた。

 一方、メッツとは対照的なのが、ロサンゼルス・ドジャースだ。こちらもビッグ・マーケットの球団ながら、2000万ドルを超える契約はなし。今オフの総額トップ3は、クレイトン・カーショウの1年2000万ドル(再契約)、ノア・シンダーガードの1年1300万ドル、J.D.マルティネスの1年1000万ドルとなっている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事