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美容師はシンガポールに出稼ぎする時代。「稼ぎ放題」市場の見つけ方

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:個人の景況感 2期連続悪化(朝日新聞)

「シンガポールに行こうかと思っています。日本人経営の美容室には月100件も新規のお客さんが来るらしいんです。国内ではありえない数ですよ。数年働けば、日本に戻ってお店を構える頭金はできるかな……」

美容師をしている女友だちと久しぶりに会ったら、シンガポールへの出稼ぎを本気で検討していた。彼女は20代の頃にも海外で日本人駐在員(の妻)をターゲットに髪を切っていた経験がある。現在は、日本人だけでなく現地の中間所得層に顧客が広がっており、独身である今が出稼ぎをする「最後のチャンス」だという。日本にいる恋人も数年なら待ってくれるようだ。

数年前、「ブルーオーシャン戦略」というビジネス理論が流行った。理論と言っても、「競争の激しい市場(レッドオーシャン)を避けて、魚取り放題の青い海を見つけよう」という当たり前の内容だったと記憶している。しかし、この「商売の当たり前」の重要性が近年ますます高まっている。

今朝の朝日新聞によると、日本銀行が昨年末に実施した「生活意識に関するアンケート」で、1年前と比べて景気が悪化したと答えた個人が6か月連続で増加した。1年後の見通しについても悪化しており、アベノミクス効果は一般の個人には届いていないことがわかる。

技術革新と規制緩和で一部企業による「一人勝ち」の構図が強まる一方で、人口減少と高齢化に伴って国内市場は縮小していく。美容師に限らず、多くの社会人にとって日本市場全体がレッドオーシャンに変わりつつあるのだ。

では、僕のように海外市場に打って出る勇気のない人はどうすればいいのだろうか。ある編集者の知人は、料理の腕も英語能力も「普通よりは上」のレベルにも関わらず、外国人旅行者向けの料理教室を定期開催して成功を収めているらしい。やるねえ。その編集者とのおしゃべりで至った結論は「やるかやらないか。行動力がすべて」であった。

行動しても成功するとは限らない。しかし、行動して身を切るような体験をする過程にこそ真の学びがあり、次はもう少し的確な行動ができるようになる。懲りずに何度もやっていれば、いずれヒットを飛ばせるだろう。

リスクを伴う行動とは言っても、宝くじを買うといった運任せのものではない。失敗の中に成長がある行動。つまり、今の仕事の延長にしかないのだ。

わが身を振り返ってみると、3か月に1回ぐらいは「赤字になったり恥をかいたりするリスクはあるけれど新たな市場が拓けるかもしれないチャンス」がやってくる。具体的には、よく知らない人からの頼まれ事だ。会社員の場合にも他部署からの応援依頼などはあるだろう。

無駄働きに終わって嫌な思いをする危険はある。でも、次に生かせることもきっと見つかる。立ち直れないほどの大失敗をするリスクさえ避ければいいのだ。

小さなチャンスとリスクをあえて拾い、恥や出費を恐れずに行動すること。その繰り返しの先に自分だけのブルーオーシャンが広がっていると信じたい。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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