現代ヘヴィ・ロック2大巨頭、ニューロシス&コンヴァージが2019年2月に来日公演
2019年2月、現代ヘヴィ・ロックの2大巨頭、ニューロシスとコンヴァージが日本で奇跡の共演を果たす。
舞台となるのはleave them all behind 2019。“ヘヴィ”であることをキーワードに、ジャンルも国籍も超えたアーティスト達が集結するライヴ・イベントだ。2009年に第1回が開催、10年の歴史においてアイシス、サン O)))、ゴッドフレッシュ、スリープなど錚々たる顔ぶれが出演してきたステージに、最強と呼んで誇張でない2バンドが参戦することになった。
●NEUROSIS/ニューロシス
ヘヴィなロックと独自のアート感覚をクロスオーヴァーさせた孤高の世界観で支持を得ているのがニューロシスだ。
1985年、カリフォルニア州オークランドでの結成当初はハードコア色の濃い音楽性を志向していた彼らだが、スコット・ケリーとスティーヴ・ヴォン・ティルによるツイン・フロントマン体制が確立したことで重量感を増したサウンドと芸術性、アヴァンギャルドですらある実験的なアプローチを強めていく。
そんなニューロシスの実験性は、多彩な表現手法に顕著に表れている。彼らは“通常の”ロック・バンドとして作品を発表するのと同時に、別プロジェクトであるトライブズ・オブ・ニューロットを結成。よりアンビエント的な作品を発表してきた。ニューロシスの『タイムズ・オブ・グレイス』(1999)とトライブズ・オブ・ニューロットの『Grace』という2作の独立したアルバムを同時に再生することで作品世界が完成するという試みも行われている。また、『ア・サン・ザット・ネバー・セッツ』(2001)ではアルバム全編をヴィジュアル化するという実験もあった。彼らはそんな自由な表現を行うべく、自らのレーベル『ニューロット・レコーディンス』を設立。自らの作品のみならず、ユーフォマムートやヨブ、ブラザーズ・オブ・ザ・ソニック・クロスなどさまざまなアーティストのアルバムもリリースしている。
音楽を演奏するメンバーに加えて、ジャケットのアートワークやライヴでのステージ映像などのヴィジュアル面を担当するメンバーがいたことも、ニューロシスの音楽性を際立たせていた。これまで唯一の来日公演だった2000年4月のジャパン・ツアーにもヴィジュアル担当のジョシュ・グレアムが同行、ビデオ映像やライティングを駆使した、現実と幻覚の境界線を超越するステージは日本の音楽ファンに醒めることのない衝撃を与えている。
現在のニューロシスのライヴではステージ映像やイメージ映写などはなく、バンドの演奏を絶対的な主軸とした、“普通の”ライヴに近いショーを披露している。ただ、ニューロシスのライヴが“普通”であるわけがない。筆者(山崎)は2017年8月、米国ラスヴェガスの“サイコ・ラスヴェガス”フェスティバルで彼らの(比較的)最近のステージを見ることが出来たが、襲いくる彼らの“音”にひたすら圧殺されるばかりだった。
なおドラマーのジェイソン・ローダーが2018年1月、スリープの一員として来日したことも記憶に新しい。重くタイトに叩き出す重低音ビートはスリープでも十分以上に発揮されていたが、バンド結成以来ずっとボトム・エンドを支えてきたニューロシスでのドラミングは、1音ごとに観衆の内腑を抉るものだ。
最新アルバム『ファイアーズ・ウィズイン・ファイアーズ』(2016)ではライヴ・フィーリングを生かしたダイナミズムと陰翳に富んだ美学が侵食し合う“生”のニューロシスらしさを聴かせたが、それが19年ぶりの日本のステージで生命を宿すことになる。
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●CONVERGE/コンヴァージ
狂気・混沌・暴虐・憤怒。コンヴァージの音楽を表現するにあたって、そんな物騒な言葉が躍るのはもはや日常茶飯事だ。それが安易なレトリックでないことは、彼らのライヴを一度でも見たことがある人間ならば、十分以上に承知していることだろう。
ニュースクール・ハードコア、メタルコア、ケイオティック・コア、マス・コア、そしてメタルコアの始祖などと呼ばれる彼らだが、いずれも正解であり、同時に正しくもない。
ハードコアとメタルが正面から激突、ジェイコブ・バノンが脳天の血管をブチ切れさせながら絶叫する。自宅でアルバムを聴くと、その歌詞ではさまざまな題材が取り上げられているが、ライヴだと「フxxクフxxクフxxク」と連呼しているように聞こえる。
魔女狩りで有名なマサチューセッツ州セイラムを拠点とし、ロックにおけるエクストリームを極限までに突き詰めてきたのがコンヴァージだ。彼らの4thアルバム『ジョーン・ドー』(2001)は奇しくもアメリカ同時多発テロ事件の1週間前、2001年9月4日に発売され、混迷の時代のサウンドトラックとなった。彼らは2002年6月に“Extreme The Dojo Vol.4”で日本初上陸。わずか半年後、同年12月の“Beast Feast 2002”への参戦時には2デイズの両日に出演している。1年に3回のライヴで日本を絨毯爆撃した彼らは、鮮烈なインパクトを残していった。
それから数年ごとに日本を訪れてきた彼らは幾多の伝説を生んできたが(2009年のブルータル・トゥルースとの“Double Titans Tour In Japan Vol.2”は“殺戮”の一言に尽きるものだった)、近年ずっと来日が途絶えていた。最後に彼らが日本でプレイしたのは2013年2月。これが6年ぶりの来日となる。
ジェイコブ・バノン(ヴォーカル)がデスウィッシュInc.のレーベル運営、カート・バルー(ギター)が第一線プロデューサーとして活躍するなど、コンヴァージ以外のキャリアでも多忙だったが、決してバンドがおざなりになったわけではない。筆者は2016年8月に“サイコ・ラスヴェガス”フェスで彼らのライヴを目撃したが、相変わらずの爆裂ぶりに、呼吸困難に陥りながらも安堵したのであった(余談ながらジェイコブはこのときニューロシスのTシャツを着ていた)。これまで日本で見せたのと変わらない、いやそれを上回るといって過言でない凄演が帰還することに、全身が震えるのを禁じ得ない。
なお、2018年1月のleave them all behindでミュートイド・マンのステージを体験したファンは、ベン・コラー(ドラムス)の健在ぶりを目の当たりにすることになった。
ケイヴ・イン、オールド・マン・グルーム、ドゥームライダーズなどでもプレイするネイト・ニュートン(ベース)を含め、それぞれ異なった活動を行ってきた4人が集結することで、ひとつの狂気とバイオレンスが生まれる。今回の来日ステージはレギュラー・セットに加えて、東京2日目の2月17日(日)にはアルバム『ユー・フェイル・ミー』(2004)全曲再現というスペシャルな趣向も予定されている。「バンドにとってのターニング・ポイント。いろいろな意味で、現在のバンドはここから始まった」とジェイコブが語るこのアルバムがライヴ全曲披露されるのは、これが世界で2度目となる(1度目は2018年4月、オランダ“ロードバーン”フェスだった)。
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2016年以来、アメリカやヨーロッパでは何度か行われてきたダブル・ヘッドライナー・ツアーが遂に日本でも実現する。
東京では2月16日(土)・17日(日)の2デイズ公演が行われ、初日にはENDONとSELF DECONSTRUCTION、2日目はPALMとBLACK GANIONという日本勢が彼らを迎え撃つ。
2019年最大のヘヴィ・ロック・イベントが幕を開ける。leave them all behind 2019、いよいよ待ったなしだ。
【leave them all behind 2019: NEUROSIS / CONVERGE】
- 2019/2/14 (Thu) 大阪 Umeda TRAD(旧:umeda AKASO)
OPEN 18:00 START 19:00
出演:NEUROSIS / CONVERGE
- 2019/2/15 (Fri) 名古屋 Electric Lady Land
OPEN 18:00 START 19:00
出演:NEUROSIS / CONVERGE
- 2019/2/16 (Sat) 東京 TSUTAYA O-EAST
OPEN 16:00 START 17:00
出演:NEUROSIS / CONVERGE / ENDON / SELF DECONSTRUCTION
- 2019/2/17 (Sun) 東京 Daikanyama UNIT
OPEN 16:00 START 17:00
出演:NEUROSIS / CONVERGE(performing special “You Fail Me” set) / PALM / BLACK GANION
公演サイト
http://smash-jpn.com/live/?id=3009
デイメアレコーディングス
2016年のニューロシスへのインタビュー記事