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【2017年を振り返る】政治が変だった「政変」の年

安積明子政治ジャーナリスト
政変の2017年といえば、やはり小池百合子東京都知事!(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

政変の年のはずだった

 酉年は「政変の年」で、政治で大きな変化が起こる年だと言われている。12年前の2005年は、郵政民営化選挙があり、1993年には宮沢政権が倒れ、非自民の細川内閣が成立した。

2017年は7月に東京都議選、10月には衆院選が行われた。前者では自民党は57議席が23議席と激減したが、後者では自民党は281議席を獲得。公示前より3議席減であるが、定数が10議席減っているので、全体に占める割合はやや上昇した。公明党は34議席から29議席と5議席減らしたが、自公で310議席を維持している以上、与党の地位は揺らがない。

安倍政権にとっては苦難の年

 だが安倍内閣にとって2017年は困難が多い1年だったといえるだろう。2月には森友学園問題が発覚し、昭恵夫人が同学園の新設小学校の名誉校長に内定していたことなどが報じられた。続いて安倍晋三首相が昔から親しい加計学園による愛媛県今治市の獣医学部新設問題がメディアをにぎわせ、12月には安倍内閣に近い人物が関与していたペジーコンピューター社の社長らがNEDOから補助金を不正取得した容疑で東京地検特捜部に逮捕された。この3つは「モリそば、カケそば、スパゲッティ」とも言われている。森友学園問題と加計学園問題は別として、ペジコン問題は政権側からの「しっぽ切り」の印象は否めない。

酉年に羽ばたいてきた小池知事だが

 さて「政変の年」にうまく乗ろうとしたのが、小池百合子東京都知事だったのではないだろうか。思えば小池氏は1993年に成立した細川政権では細川護煕首相(当時)に極めて近く、2005年の郵政民営化選挙では小泉純一郎首相(当時)の刺客として兵庫6区から東京10区に鞍替えして当選。過去2度の「政変の年」にうまく乗ってきた。

 そこで「2度あることは3度ある」とばかりに、この年に国政での「王手」を狙ったのだろう。9月には希望の党を立ち上げ、「自民党に代わる保守政党」を目指した。計算違いはそれを多くの国民が望んでいなかったことだ。

 そもそも自民党は幅の広い政党で、「正確には政党の合従連衡したようなもの」と言われている。詳しくいえば、党内の派閥こそが政党であって、その政党が寄せ集まったものが自民党ということになる。確かに派閥は同じような考えの持つメンバーが集まり、事務局も職員も存在する。実態的には政党と大差ない。

 よって自民党が幅広く保守層をカバーする以上、「これに代わる保守勢力」は不要ということになる。実際に政策面でも安倍首相が賃金の上昇を連合に求めるなど、かつての改革政党が行ってきたことにも進出。これでは野党が存在感を示すことは非常に難しい。

 一方で、「アンチ自民党層」は常に一定以上存在する。その一部は共産党支持者であるが、それ以外は共産党には抵抗感を持つ。その層を狙ったのが立憲民主党だ。もっとも希望の党への合流を阻まれ、10月に慌ただしく結党した当時には、その自覚はあまりなかっただろう。

 いわば、排除したはずの立憲民主党に勝利をもたらしたのが小池氏だったといえる。それは東京都内を見ればわかる。立憲民主党は比例区を含めて8議席を獲得。自民党は苦戦し、1区、6区、7区、18区、21区で敗退した。

 都議選で擁立した50名のうち49名を当選させた小池氏の希望の党は、衆院選では21区の長島昭久氏のみ当選という惨敗ぶり。比例区でも3議席しか獲れず、おひざ元である都下で力を発揮できなかったことは非常に痛い。2017年はまさしく小池氏にとって計算違いという「政変の年」だったといえよう。

新しい時代の夜明けとなる2018年

2018年は干支でいえば戊戌の年となる。前の戊戌の年(1958年)には長嶋茂雄氏がプロ野球デビューし、王貞治氏の巨人軍入りが決定。西日本エリアでテレビ局が相次いで開局した。さらに今上天皇皇后両陛下のご成婚が決まるなど、1958年は新しい時代の幕開けを感じさせる年であった。

なお第2次岸内閣が発足したのも1958年だった。その孫の安倍首相は、来年9月に予定される自民党総裁選で3期目を目指す予定だ。

そのように考えるなら、2017年の「政変の年」で一切の厄が洗い落とし、2018年から新しい時代が始まるとも見てとれる。いずれにしろ、来年は今年よりもずっといい年になることを、祈念せずにはいられない。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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