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台風10号はUターンし本州接近へ 列島直撃のおそれも

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風10号の進路予想図。

日本の南海上で、西に向かって進んでいた台風10号は、今後Uターンして、東に向きを変える見通しです。さらに、来週明けにかけては北上して、本州に接近するおそれがあります。

向きを変えつつある台風10号

西に進んでいた台風10号は、沖縄の東海上でほぼ停滞しています。台風の動きが鈍る時は、たいてい向きを変える時です。今後は、東へ進む見通しです。

さらに、その後は、本州付近を流れる上空の強い風に引っ張られるように、北上する可能性があります。

まだ予報の幅は大きいのですが、最悪に備えるという意味では、週明け(29日~30日頃)に、列島直撃というシナリオも考えておく必要があります。

本州から離れたことで成長した台風

海面水温。赤が平年より高く、青が平年より低い。台風が続いた海域は低くなっている。
海面水温。赤が平年より高く、青が平年より低い。台風が続いた海域は低くなっている。

予報の幅が大きいにも関わらず、警戒を呼びかけるのは、今回の台風10号の影響が広範囲に及びそうだからです。

今月は台風が相次いでいますが、その中でもこの10号は危険です。

現在、台風10号がある沖縄の東の海域は、今年はまだ台風が通っておらず、海水温が高いままです。

温かい海から水蒸気や熱を受けて発達する台風にとっては、いわばエサが手つかずで残っているようなもの。今後はさらに発達して、先日、関東に上陸した台風9号より、大きく、強い台風になる見通しです。

海へ出た魚が成長して戻ってくることがありますが、今回の台風10号は、結果的にいちど本州から離れたことで、成長したことになります。

「このまえ大丈夫だったから」は通じません

台風9号の際、「不要不急の外出は控えて」という呼びかけがされているのに、仕事などで外出している人が多いということが話題になりました。

台風9号が直撃した地域で被害を受けなかった人の中には、「このまえ大丈夫だったから」と考える人もいるかもしれませんが、それは台風には通じません。

似た時期に来る台風でも、必ず違う顔を持っています。しかも、今回の10号は、明らかに9号より強く、影響は広範囲に及び、同じ感覚でとらえるのは危ないです。

今後、危険な時間帯の予想が、それぞれの地域ごとに次第に出てきます。少なくとも、その時間帯は外出しなくて良いようなスケジューリングをお願いします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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