なぜソシエダは“98億円”でイサクを売却したのか…久保建英の「相棒」探しとプレミアリーグの資金力。
スペインで大きな話題を呼ぶ移籍になった。
レアル・ソシエダが、アレクサンドル・イサクの売却を決めた。ニューカッスルから移籍金7000万ユーロ(約98億円)のオファーが届き、イサクにはプレミアリーグへの扉が開かれている。
この夏、アーリング・ハーランドがマンチェスター・シティに移籍した。その際、シティが支払った契約解除金は6000万ユーロ(約84億円)だった。つまり、イサク獲得に費やされた資金は、ハーランドのそれを上回っている。
■資金力とビッグオファー
ニューカッスルは昨季、プレミアリーグで残留争いに身を投じていた。そのニューカッスルが、リーガエスパニョーラの上位常連のチームから主力を引き抜いたわけで、その衝撃は計り知れない。
ニューカッスルは昨年10月にサウジアラビアの政府系ファンドを中心とする『コンソーシアム』によって買収されている。3億ポンド(約458億円)を超える大金がつぎ込まれ、買収劇が閉幕した。
イサクは2026年夏までソシエダとの契約を残していた。契約解除金は9000万ユーロに設定されていた。そこに、7000万ユーロ(+ボーナス500万ユーロ)のオファーが届いた。ソシエダとしては、断れるものではなかった。
クラブ史上最高額の移籍金で、イサクの移籍は決定した。アントワーヌ・グリーズマン(移籍金5400万ユーロ/アトレティコ・マドリー)、アシエル・イジャラメンディ(移籍金3200万ユーロ/レアル・マドリー)、イニゴ・マルティネス(契約解除金3200万ユーロ/アトレティック・クルブ)、アルバロ・オドリオソラ(移籍金3000万ユーロ/レアル・マドリー)…。そういった選手たちを優に超える移籍金だった。
「そのニュースは初めて聞いた。ここから出たら、もう少し調べてみる。そういう情報は聞いていなかった」とは同僚のミケル・メリーノの言葉である。
「イサクは僕たちに何も言っていなかった。これまで普通にトレーニングをしていた。僕はそれが100%、本当かどうか分からない。だけど、イサクは僕たちにとって重要な選手だ。彼がいるというのは、僕たちにとっては本当に大きな力なんだ。これからもそうなってくれるように願っている」
メリーノはスペインでラジオ番組(『ラジオ・マルカ』)に出演している際に、イサクの移籍を知った。そこで、このようなコメントを残した。エース級の選手の移籍に、戸惑いを隠せなかった。
■イサクの代役
ソシエダはイサクの代役を探す必要がある。
現在、ソシエダは中盤ダイヤモンド型の【4−4−2】でプレーしている。昨季は、このシステムと【4−3−3】を併用していた。イサクの移籍で、CFの選手はカルロス・フェルナンデスのみに。そのC・フェルナンデスも負傷で戦列を離れている。
無論、これは久保建英にも関わる話だ。今季からソシエダに加入した久保はイサクと2トップを組んできた。開幕節のカディス戦でゴールを決めた際には、今後イサクとの連携を高めていきたいと口にしていた。
ラウール・デ・トーマス(エスパニョール)、グリーズマン(アトレティコ)、ウマル・サディク(アルメリア)、エネス・ウナル(ヘタフェ)、ユセフ・エン・ネシリ(セビージャ)、ボルハ・イグレシアス(ベティス)、エディンソン・カバーニ(フリー)、アレクサンドル・セルロート(ライプツィヒ)、ムサ・デンベレ(リヨン)らが候補に挙げられている。
ソシエダはマーケットが閉まる9月1日までにイサクの代役を確保したいところだ。資金に不足はない。だがタフな交渉が、彼らを待ち受けている。