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逆転KOで無敗を守った196cmのヘビー級

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 オハイオ州トレド出身のヘビー級ファイター、ジェイムス・エバンス(30)が、プロ生活6度目のリングに上がった。対戦相手は、サウスポーのキューバ人、ジオバニー・ブルゾン(25)。

 6回戦とはいえ、196cmのエバンスと193cmのブルゾンがリングで向かい合うと、流石に迫力があった。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 先手を取ったのは若きキューバ人ファイター。リング中央でジャブを正確に放ち、リズムを掴む。左ストレート、右フックをヒットしてポイントを稼ぐ。

 2回、エバンスは体が浮いたままの状態でジャブを出す。ブルゾンのワンツー、ストレートを浴びる度にクリンチ。防御の姿勢も悪い。

 勢いづくサウスポーは、左ストレート、右フックでエバンスを吹っ飛ばした。更にラウンド終了間際に左ストレートをぶち込み、ダウンを奪う。

 ここまでの採点はジャッジ全員が20-17でブルゾン優勢としていた。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 しかし、第3ラウンド、エバンスは捨て身で前に出る。そして、右ショートのカウンターをヒットさせ、キューバ人ファイターをグラつかせる。間髪を入れずに左右フックを見せ、最後は渾身の力を込めた右でレフェリーストップを呼び込んだ。

 公式記録は、同ラウンド1分18秒。 エバンスは5勝(5KO)1分け、ブルゾンは7勝(6KO)2敗となった。

 ピンチに陥った折に、バタつかないメンタルこそエバンスの武器であるように映った。起死回生のカウンターは、<諦めないスピリット>が生んだ一発だった。この大柄な6回戦ボーイは、アリーナにファイターとして爪痕を残した。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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