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オリンピック考えたらこのタイミング? 男子7人制ラグビー日本代表、指揮官交代。【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
写真中央がカラウナ。

 真夏のような炎天下、渦中の人は上半身裸で楽しそうにボールを蹴っていた。

 東京オリンピックでのメダル獲得を目指す男子7人制ラグビー日本代表は、このほど指揮官交代を決断した。ニュージーランド出身のダミアン・カラウナヘッドコーチは、契約満了となる5月限りで退任する。

 16日夕方からの日本ラグビー協会理事会で承認されるが、同日の朝に一部報道機関がスクープ。公式発表前に情報が開示されたこの日、カラウナは14日からの「男子セブンズ・デベロップメント・スコッドS&C合宿」の最終日の練習を指導すべく東京・朝日サッカー場にいた。予定された13時半からの練習時は日本代表の練習着をつけ、選手たちの動きを見つめる。

 報道を受け練習場へ来た日本協会の職員は、「理事会で発表されるまで、協会としてお話しできることはありません」と困った顔を浮かべる。当の本人は自らが指揮しない練習メニューの間、メディアの取材に応じる。

 いつものように集まった記者ひとりひとりと握手を交わし、通訳を介し現状で口にできるすべてを話す。

―― 一部報道であなたの去就が話題になっています。

「話が出回っていることは知っていますが、本日の理事会で協会の発表があるまではコメントできません」

――もともとオリンピックを見据えていたと思われますが。

「直近では香港の昇格大会が大きな目標でした。オリンピックは2年先です」

――就任当初から、契約期間は今年5月末までとされていました。それ以降の延長などについては、どんな話をしていましたか。

「まずは18か月の契約ということでした。正式なことは、今日の発表を待って欲しいです」

 男子7人制ラグビー日本代表は、初めてオリンピック正式種目となったリオデジャネイロ大会で優勝候補のニュージーランド代表を下すなど4位入賞を果たす。当時の瀬川智広前ヘッドコーチは続投を希望したが、大会直後の2016年11月、現指揮官の就任が決まった。契約締結当時のワールドシリーズの日程を踏まえ、契約期間を2018年5月末までとした。

 カラウナ体制のチームは15人制の国内トップリーグとの兼ね合いなどから、リオデジャネイロ組ら実力者の召集に難儀。世界中を転戦するワールドシリーズの16―17シーズンでは15位と沈み、同シリーズに常時出場できるコアチームから陥落した。

 2017年は下部のアジアシリーズで総合1位となり、今年7月のセブンズワールドカップ(アメリカ)の出場権を獲得。今年4月には来季のコアチーム復帰を争う昇格大会(香港)を制していた。

 以後も契約延長を目指していたとされるカラウナだが、日本協会の判断のため職を辞すこととなった。後任は未定。カラウナはこう締めた。

――これまでの仕事を振り返ってください。

「リオの後は国際的選手がいない状態からやってきました。ただ、いまは香港大会、その後にあったシンガポールセブンズ(4月28、29日にあったワールドシリーズ第8戦/日本はゲスト参加)でも十分に通用していた。18か月の成長は、大きい!」

 日没後、都内の日本ラグビー協会で理事会後のメディアブリーフィングがあった。坂本典幸・専務理事は「退任というより契約満了」と説明。後任については「一定程度(候補者を)絞っている」とし、「5月21日夕方に場所を作ってお話します」と明言を避けた。

 指揮官の続投か交代かの決定に関与したであろう岩渕健輔・男女7人制日本代表総監督も、理事の1人として理事会に参加後に「5月21日に説明をすると理事会で決まった」。詳細は明らかにしない。

「いろんな状況が運べばオリンピックまで行くのがスムーズではあったし、本人もオリンピックを目指しながらやっていたとは(思う)。2016年のリオが終わった頃からここ(今年5月)で続けるか代えるかという最終判断をする(予定だった)」

 セブンズワールドカップまで1か月強というタイミングだが、「混乱がない形で現場を動かしてゆくのが、ラグビー協会としてやらなくてはいけないこと」とも続ける。

 岩渕総監督は、15人制のワールドカップイングランド大会があった2015年には日本代表のゼネラルマネージャーとして歴史的3勝を挙げた。それまでの4年間、ち密なマッチメイクなどでエディー・ジョーンズ15人制日本代表前ヘッドコーチを支えていた。そのため今度の後任候補にも名前が挙がるが、「そんないいお話があるといいですが」と言葉を濁した。

 さかのぼって日中、朝日サッカー場での練習が終わると、カラウナは選手たちと順番に写真撮影をしていた。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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