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シーズン二桁勝利に一番乗り。チームの64試合目。今世紀の20勝投手は56人いるが、25勝以上は皆無

宇根夏樹ベースボール・ライター
レンジャー・スアレス(フィラデルフィア・フィリーズ)Apr 27, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月8日、レンジャー・スアレス(フィラデルフィア・フィリーズ)は、ロンドン・スタジアムのマウンドに上がり、5.2イニングを投げて2失点にとどめ、白星を手にした。

 今シーズンは、この日が13登板目だ。ここまで、79.2イニングで奪三振率9.60と与四球率1.92、防御率1.81を記録している。10勝を挙げ、黒星を喫したのは1登板だけ。フィリーズは、スアレスに白星も黒星もつかなかった2試合も、勝利を収めている。

 どちらのリーグにも、二桁勝利は、スアレス以外にいない。

 スアレスは、防御率も両リーグ1位。ちなみに、今永昇太(シカゴ・カブス)の防御率は1.88だ。スアレスより少し高いだけでなく、今永のイニングは、チームの試合数×1.0未満なので、ランキングの対象になっていない。

 フィリーズは、6月8日が64試合目だった。ペースと呼べるかどうかはさておき、チームの64試合で10勝――6.4試合に1勝――を162試合に換算すると、25.3勝となる。

 今世紀の20勝投手は、延べ56人を数える。カート・シリングロイ・ハラデイは、それぞれ3度だ。2度の8人中、ランディ・ジョンソンは、20世紀の1997年に20勝を挙げているので、こちらも通算は3度となる。20勝以上が2度のあと7人は、ジェイミー・モイヤーバートロ・コローンロイ・オーズワルトアダム・ウェインライトに、現役投手の3人、クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)、マックス・シャーザー(現テキサス・レンジャーズ)、ジャスティン・バーランダー(現ヒューストン・アストロズ)だ。

 直近の56人目は、スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)。昨シーズン、20勝を挙げた。186.2イニングを投げ、奪三振率13.55と与四球率2.80、防御率3.86を記録した。この防御率は、56人中、2003年に防御率4.02で21勝のアンディ・ペティートに次いで高い。ペティートは、1996年も21勝を挙げているが、この時の防御率も3.87と低くなかった。ただ、2003年の防御率はア・リーグ16位だが、1996年の防御率はトップ10にランクイン。ア・リーグ8位に位置した。昨シーズンのストライダーの防御率は、ナ・リーグ12位だ。

 フィリーズでは、2010年にハラデイが21勝を挙げている。ハラデイの20勝以上は、最初の2度がトロント・ブルージェイズ時代。2003年に22勝、2008年は20勝だ。

 今世紀にシーズン22勝以上の投手は、以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

 今シーズン、スアレスが25勝に到達すると――そして、その白星が両リーグ最多なら――今世紀に限らず、1991年以降のシーズン最多となる。シーズン25勝以上は、1990年に27勝のボブ・ウェルチを最後に途絶えている。また、フィリーズでシーズン25勝以上は、1972年に27勝のスティーブ・カールトンが最後だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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