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テレワーク以後、餌に「アレは嫌、コレも嫌」と言い出した… ニャンコのわがままなの?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:ロイター/アフロ)

テレワーク中は、猫とずっと一緒に過ごせてまったりできた人も多いのではないでしょうか。

猫を飼っていると、「これって、私が猫に手なずけられているよな」と思うことがありますね。特に、キャットフード選びは、飼い主の悩みの種です。昨日、食べていたのに、今日は「アレは嫌、コレも嫌」といって、ニオイを嗅いだだけで、食べてくれません。SNSでは「コロナ禍になって、猫の餌の好き嫌いが激しくなった」という嘆きを多くみられます。今日は猫の偏食は、わがままなのか? を解説します。

なぜ、猫はキャットフードにすぐ飽きるか?

撮影筆者の知人 今日はどれにするかな?
撮影筆者の知人 今日はどれにするかな?

「ウチの子は、テレワークで私が家にいる時間が長くなったから、甘えているのでは」と思っていませんか。昨日まで食べていたものを食べてくれない、ということは猫の飼い主なら、よく経験することです。犬なら、数年、同じものを食べていても「こんな美味しいものが世の中にあるの」という風にたいらげてくれる子が多いです(小型犬で食の細い子もいますが)。一方、猫の飼い主は、偏食に悩まされます。猫は、テレワーク中これだけずっと一緒にいてくれるので、少しわがままな要求を通してもいいかな、と思ったのかもしれませんね。

猫の偏食理由

・猫は、元来、ひとりで狩りをして獲物を取り食料にしています(一方、犬は群れで狩りをします。犬は大勢で食べるのでその獲物を食べる部分もそのつど違います)。

・毎日、同じものを獲物にしていると、栄養に偏りがでます。

・栄養が偏らないように、ずっと同じものを食べ続けないのです。

飼い主のできること。

キャットフードには、総合栄養食一般食があるのを知っていますか?

総合栄養食とは?

キャットフードと水だけを与えているとそれだけで、栄養素が足りるものです。

撮影筆者の知人 写真のフードは総合栄養食
撮影筆者の知人 写真のフードは総合栄養食

一般食とは?

一般食は、それと水だけ与えていても、栄養素が満たされません。猫の缶詰は、一般食が多いです。嗜好性が高いものは、一般食かもしれないのです。

飼い主は、キャットフードのラベルをちゃんと見てくださいね。一般食だけを与えていると猫が栄養失調になってしまうのです。

猫の必須アミノ酸について

必須アミノ酸とは、その動物の体内で十分な量を合成できず栄養分として食べ物で摂取しなければならないアミノ酸のことです。「種」によって違います。

人の必須アミノ酸

・トリプトファン

・リジン

・メチオニン

・フェニルアラニン

・スレオニン

・バリン

・ロイシン

・イソロイシン   (合計8個)

猫の必須アミノ酸

・人の必須アミノ酸

・アルギニン

・タウリン     (合計10個)

犬の必須アミノ酸

・人の必須アミノ酸

・アルギニン    (合計9個)

このように「種」によって違うので気をつけて、キャットフードを選んでくださいね。猫の必須アミノ酸であるタウリンをあげないと心臓がうまく働かなくなります。

飼い主は召使いとして生きていく。

猫を飼うということは、飼い主は猫の召使いとして生きていくことです。そうしないと、猫を手なずけられないのです。飼い主は、猫に手なずけられているような、という感覚で世話をすると、良好な関係を築けて、 猫は元気で長生きしてくれます。

キャットフードの効果的な与え方

撮影筆者の知人 キャットフードをバイキング形式に置いておく。
撮影筆者の知人 キャットフードをバイキング形式に置いておく。

・猫の好きなフードをぐるぐると回して、猫に食べてもらう。

・「一般食ばかり食べているな」と思ったら、動物病院へ行って血液検査をしてもらい、栄養素のバランスを見てもらいましょう。

まとめ

猫を室内で飼うということは、彼らから狩りの習性を奪ったことになります。その辺りのことも考慮して、同じ餌を食べないのは猫のわがままと捉えるのではなく、工夫することが猫の健康を守るため重要だと理解してくださいね。猫と仲良く暮らすため、猫の栄養学を勉強することも大切ですね。偏食があまりにも強くなれば、それは何か他に病気が隠れているかもしれないので、そのときは、かかりつけ医に相談してくださいね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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