2023年4月最新「内閣支持率・政党支持率」トレンドレポート
この記事では、先月の記事「2023年3月最新「内閣支持率・政党支持率」トレンドレポート」に引き続き、モーニングコンサルト社の調査や、世論調査会社グリーン・シップの「GS選挙調査センター」が全国規模で毎日実施している情勢調査のデータ提供を受け、内閣支持率や政党支持率の分析をお送りします。統一地方選挙や衆参補欠選挙が行われた2023年4月の調査をみていきます。
モーニング・コンサルト社による2023年4月19日から25日にかけて収集されたデータに基づいた最新の内閣支持率は「31%」となりました。3月中旬から内閣支持率が上昇し始めたことがわかります。
グリーン・シップ社の調査でも、3月に引き続き4月も内閣支持率は上昇傾向にあり、支持率と不支持率の差が少しずつ縮まっています。「わからない」と回答した層の割合は横ばいなので、これまで岸田内閣を「支持しない」層が「支持する」層へと移り変わっています。
さらに日別調査を基に、岸田内閣支持率上昇の要因をみていきます。
主な要因として考えられるのは、統一地方選挙期間において、マスメディア・SNS上での露出頻度が増えたことだと考えられます。支持率が上昇した4月8日は統一地方選挙前半戦投票日の前日、4月22日は同後半戦投票日の前日となっています。選挙結果を受けて岸田内閣が信任されたとの見方が多く、内閣支持率の上昇に繋がったとみられます。
内閣支持率を「49歳以下」に限って日次推移をみると、前半戦投票日前・岸田首相襲撃事件・後半戦投票日前に支持率が上昇しており、これらの要因が顕著に現れています。
岸田首相襲撃事件における内閣支持率の上昇については、事件後にも予定を遅らせながらも演説を再開し、暴力に屈せずに演説を継続する岸田首相のリーダー像を描きました。このことから一時的には内閣支持率は上昇しましたが、選挙戦の中盤で発生した事件だったことから、選挙報道の公正中立が優先され、新聞やテレビ等での報道が過剰にならなかったことで内閣支持率の上昇効果も限定的だったとみられます。(本事件における内閣支持率の影響については、こちらの記事を参考にしてください。)
政党別支持率において注目すべき点は、3月から4月にかけて「立憲民主党」が「日本維新の会」に支持率を7.8ptも引き離されたことです。また、内閣支持率は上昇していますが、自民党の支持率は低下傾向にあります。
特に日本維新の会の支持率上昇は顕著です。
4月に日本維新の会の支持率が上昇したのは、統一地方選挙の前半戦・後半戦での躍進が影響したと考えられるでしょう。前半戦においては、維新の本拠地である大阪府知事選挙において吉村洋文氏が大勝し、また奈良県知事選においても山下真氏が当選し、大阪府以外で初めて維新公認知事が誕生しました。後半戦においても衆議院補欠選挙和歌山1区で勝利を収め、目標に掲げた「地方議員600人以上」を達成する地方議員774名を誕生させました。このことから、目標を達成できなければ辞任する意向を示していた馬場伸幸代表が続投する可能性が濃厚となりましたが、これら一連の出来事が「維新の躍進」としてテレビや新聞などで多数報道されているため、支持率の上昇に影響したとみられます。
維新の支持率上昇をさらに粒度を高くみていくと、性別・年代で比較しても男女両方で支持率が増えており、中でも注目すべきは50歳以上の男性において「日本維新の会」が「特に支持する政党はない」をわずか1.3pt差はありますが上回ったことです。無党派層を超えて維新の支持率が上昇していることは、選挙後の一時的な効果だったとしても先の衆院選後にも見えた傾向であり、選挙を通じて支持を広げやすい政党とも言えます。
また、自民党の政党としての支持が伸びていないことについてみていくと、50歳以上における政党別支持率では、自民党の支持率が横ばいとなっていることがわかります。自民党の支持率が低下した理由は49歳以下からの支持を得られていないことだと考えられます。
一方、立憲民主党は支持率低下の傾向となっています。放送法の解釈変更をめぐる問題で小西ひろゆき氏の発言に批判が集まり、マイナス要素の報道が多い中挑んだ統一地方選挙は重要な選挙区を落としました。推薦候補を擁立した北海道知事選挙で厳しい結果となったほか、国政補欠選挙では衆議院千葉5区、山口4区、参議院大分選挙区で全敗となりました。
そして、野党第一党としての勢いが失われ、4月末には入管法改正案の修正協議の過程を巡って党内部でも問題を抱え始めました。支持率のグラフをみると、49歳以下の男性の政党別支持率では一時的とはいえ、立憲民主党が国民民主党とれいわ新選組に追い抜かれる場面もあるなど、低調な状態が続いています。国民民主党やれいわ新選組が若者層からの支持率を大きく増加させたのではなく、若い世代における立憲民主党の支持率が大幅に低下したと考えられており、発言に対する批判や党内部の足並みが揃わない中、今後も変化がなければ支持率低下が懸念されるため、立憲民主党が今後どのような行動を取るのかにも注目です。