DH解除でトラウト予想の「10勝以上&30本塁打以上」の現実味!二刀流フル回転でベーブ・ルース超えも
【MLB移籍後初のDH解除に挑んだ大谷選手】
今シーズンに二刀流の完全復活を目指す大谷翔平選手が、オープン戦3度目の登板に臨んだ現地時間3月21日のパドレス戦で、MLB移籍後初めてDH解除に挑戦し、「1番・投手」で出場。投打ともに目覚ましい活躍を披露し、二刀流完全復活に向け大きく前進している。
アウェイ試合だったため、この日は打者からスタート。相手先発のブレイク・スネル投手から中前打を放ち出塁すると、その後も第2打席で四球、第3打席も二塁でフォースアウトになったものの左中間に大飛球を放ち、17日のマリナーズ戦に続き全打席出塁に成功。オープン戦打率を.635まで引き上げている。
投げては初回に先頭打者に三塁打を浴び、内野ゴロで先制点を許してしまったが、それ以降は1安打を許しただけで毎回5三振を奪う好投を披露。この日は最速で101.9マイル(約164キロ)を計測し、登板する度に球速も上げている。
MLB公式サイトによれば、先発投手が1番を打つのは、1901年にニューヨーク・ジャイアンツに所属していたジム・ジョーンズ投手以来のことだという。そんな歴史的な快挙を成し遂げた試合で、大谷選手は投打にわたり人々を魅了してみせた。
【以前からDH解除を匂わせていたマドン監督】
実はスプリングトレーニング開始当初からジョー・マドン監督は、大谷選手のDH解除を匂わせる発言をしていた。だがいきなりオープン戦で実行することになったのは、指揮官と大谷選手の間で話し合った末でのことだった。
「急に決めるようなことはしていない。他のことと同様に、我々は彼と対話を続けながら前もって彼の考えやフィーリングを確認したかった。そうして対話を続けていく中で、今回の方向に進んでいった。彼は投げる上で良い状態にあったし、もちろんバットも振れていた。ならばとりあえず(DH解除を)やらせてみて、どうなるかを確認してみたいと思った」
あくまで今回は試験的なDH解除であり、アウェイ試合だったこともあり1番を打たせることになったが、大谷選手の状態次第ではホーム試合でも同様のDH解除をしていくことを明らかにしている。
【DH解除でも負担増にはならない?】
ただマドン監督が「異常なことではない」と指摘するように、今シーズンからナ・リーグの投手は再び打席に立つことになる。DH解除は決して大谷選手に余分な負担をかけるものではない。
大谷選手は2017年以来のDH解除を体験した後でも、それほど負担を感じていないようだ。
「(疲労に関しては)そんなことはないですね。(打者の)準備も向こうのスタジアムで、10分くらいケージで打ってきただけなので、(投手に)プラス打席に立ったというだけですね。
塁にはいましたけど盗塁したわけではないですし、特に(いつも以上の疲労は)なかったかなと思います」
あくまで大谷選手の体調と投打の好不調次第だが、今シーズンは大谷選手がDH解除で起用される場面はかなり増えていきそうだ。
【夢物語ではなくなった「10勝以上&30本塁打以上」】
ここまでの大谷選手の投打にわたる快進撃を受け、チームリーダーのマイク・トラウト選手が米メディアのインタビューで、今シーズンの大谷選手の成績は「10勝以上&30本塁打以上」だと予想しているのを、本欄でも紹介している。
ただ個人的に、それが実現するのはちょっと難しいと感じていた。というのもマドン監督は、今シーズンは大谷選手を投手メインで調整させ、6人の先発ローテーションに組み込みながら基本的に中5日で登板させることを明言していたからだ。
これは大谷選手にとって日本ハム時代を含めても初めての経験となり、投手としての登板数が増える代わりに、DHとして出場する機会が減るだろうと予測していたためだ。
だが逆にDH解除の試合が増えることになれば、打席に立つ機会もそれなりに確保されることになる。となればトラウト選手の予想は、決して夢物語ではなくなってくる。
【ベーブ・ルース選手でも出来なかった二刀流フル回転】
トラウト選手の予想が現実のものとなった場合、言うまでもなく大谷選手はシーズンを通して二刀流としてフル回転していくことになる。それはある意味で、長年比較されてきたベーブ・ルース選手を超えることになる。
下記の表をチェックして欲しい。ルース選手がレッドソックス時代に二刀流として活躍した1914年から6年間の投打の成績をまとめたものだ。勝敗の後の数字は登板試合数で、打率の後の数字は総打数を示している。
如何だろう。1914年のデビュー1年目は別にして、投手中心でプレーしていた1915年からの3年間は打者として目立った成績を残しておらず、逆に打者中心にプレーするようになった1918年からの2年間は投手としての登板数が激減している。
もちろん当時はDH制がなく、投手以外で出場するには守備につかなくてはならず、その分だけ二刀流をバランスよくこなすのは困難だったという背景を無視してはいけない。
だが伝説的選手だったルース選手をしても、シーズンを通して主力先発投手としてローテーションを守りながら、打者としても目覚ましい成績を残せたシーズンは存在しない。
仮に今シーズンの大谷選手が最後までローテーションを守り抜き、「100奪三振以上&10本塁打以上」を達成すれば、ルース選手を超えることにもなる。
「エンジェルス・ファンに止まらずMLB全体が彼に注目するだろう。そして多くの子どもたちがインスパイアされ、彼らが自分も(二刀流を)やってみたいと思ってくれるよう願っている」
マドン監督が予言するように、今シーズンの大谷選手は全米中から注目を集める存在になるのかもしれない。