リップクリームで薬物陽性/14か月の資格停止処分に?ノルウェーで大人気のスキー女王ヨーハウグ選手
薬物検査で陽性反応を示したクロスカントリースキー女子のテレーセ・ヨーハウグ選手。負傷した唇の治療に使用したリップクリームが原因で、9月16日の首都オスロでの検査で陽性反応を示した。
治療薬は、遠征先のイタリアの薬局でチームドクターが購入したもの。選手は「自分には一切の責任はない」と、記者会見で号泣し、全責任は医師にあるとした。
29日のプレスリリースで、アンチ・ドーピング・ノルウェー機構は、同選手は14か月の資格停止処分に値すると発表。最終的な判断はノルウェースポーツ連盟が今後下すこととなる。
同機関は、薬物摂取は選手の故意ではなかったと、「選手の責任はほんのわずかなもの」と判断。
しかし、リップクリームの箱には「ドーピング」と注意印が記載されていたこと、また世界的に長年活躍するトップアスリート選手は自身も注意を払う責任があったことから、今回の判断に至った。
判断を下した同機関の委員会は、「体内に何を摂取するかは選手自身にも責任がある。それは国内・国際的な様々なドーピング審査でも明示されている」とプレスリリースで記載している。
ヨーハウグ選手は、ノルウェー国営放送局NRKに対して、「私の主張を委員会が信じてくれたことは嬉しく思います。しかし、今回の出来事が、なぜ14か月の資格停止という判断の理由につながるのかは、理解ができません」とコメントしている。
もし選手が「故意に薬物摂取した」と今回判断された場合、最悪4年間の資格停止となる恐れがあったと、委員会のリーダー、イェンゲダル氏はNRKに語っている。「14か月という判断は今回のケースに適した対応で、選手はクリームをもっと入念にチェックする必要があった」。
ヨーハウグ選手はノルウェー国内ではタレントのように人気があり、号泣した選手を擁護する声が高まっていた。国内メディアも応援姿勢での報道が目立っていたが、ライバル選手が多い北欧諸国、スウェーデンやフィンランドなどからは厳しい非難の声があがっていた。
ノルウェースキー界の女王が禁止薬物陽性 「私に一切罪はない」と責任否定し、記者会見で号泣
リップクリーム外箱に「ドーピング」注意印が記載されていた ノルウェー薬物陽性騒動
ノルウェースキー界で何が起きているのか 選手の「私に罪はない」は通用するか
Photo&Text: Asaki Abumi