ノルウェー極右政党も難民申請者から財産の強制没収を検討へ 納税者のお金に頼るならまず財産を提出せよ
ノルウェーの納税者のお金に頼るのなら、まず自分の財産を提出せよ
デンマークに続いて、ノルウェーも難民申請者から警察が財産を強制的に没収できるようにする案を検討中だ。現在ノルウェーでは、難民申請者が5千ノルウェークローネ(約6万7千円)以上の価値の物品など(車など)を所持していた場合、没収はしないが、食費などにあてられる補助手当から一部減額するシステムが導入されている。
ノルウェーで右翼ポピュリスト政党に位置する進歩党は、首相率いる保守党と共に政権を担っている。移民や難民政策において最も厳しい政党であり、同党出身の現移民・社会統合大臣と共に、国内の移民政策で大きな影響力をもつ。
1月15日に進歩党党員が国営放送局の生放送で、1万ノルウェークローネ以上(約13万4千円)の財産を所持する難民申請者が財産提出を拒んだ場合、強制的に没収する案を公にした。18日に進歩党は公式HPで、「一部の者は莫大な価値のある財産を持ってノルウェーにやってきながら、納税者によって融資された金銭を無料で手にしている」としている。
進歩党は、働かずに税金も払わず、社会福祉の恩恵をうける難民申請者、難民、移民の制限を長年強く訴えてきた。
右傾化する左派労働党?「同意できる」
これに対して、反対勢力で野党、支持率は国内最大を誇る労働党の党首は、法律案を改正する必要はないとしながらも、考え方には「同意できる」と同番組内で答え、波紋を広げた。左派勢力である労働党は、移民・難民には寛容であるというイメージがあったが、ここ最近は保守派の支持率が急上昇しており、その対策に悪戦苦闘している。党首や副党首は、「自分たちも進歩党に並ぶほど、厳しい移民政策を掲げている。だが、進歩党の過激な表現方法とは異なる」というアピールをし始めたが、支持者や自らの党員をさらに困惑させる要因となっている。各政党が右傾化している傾向にあることは否めない。
難民支援団体「ノルウェーらしくない」
ノルウェーの難民支援団体(Flyktninghjelpen)のシニアアドバイザーであるポール・ネッセ氏は、「悪い政策案。あまりにもノルウェーらしい政策からかけ離れているため、国会では賛成多数で可決されることはないだろう」と話す。
「難民申請者というのは仕事や住居など、大切なあらゆるものを残して逃れてやってきます。わずかな荷物に入っている、現金や宝石は、人生を再スタートするための唯一の資産。また、多くの人は借金を抱えています。非難していた国々で生活するために、親戚や友人から公式な書類無しにお金を借りていることがほとんど。ノルウェーに渡るために密入国斡旋業者にも借金をしている者がいます。そのような彼らから強制的に財産を没収するなど、ノルウェーが望んでいることではないでしょう」と電話のインタビューで語った。