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要注意!妻から「コロナ離婚」を突き付けられる夫たち パート2

竹内豊行政書士
コロナ離婚の危険度が高い夫像を探ってみます。(写真:アフロ)

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛やテレワークの普及で夫婦が、家にいる時間が長引くことでもともと感じていた性格や価値観の不一致が表面化して、離婚危機に陥るケースが出始めているようです。

前回の「要注意!妻から「コロナ離婚」を突き付けられる夫たち」では、我慢限界「コロナ離婚」 一緒の時間増え、価値観の不一致表面化で紹介された離婚を決意した妻の声から、妻からコロナ離婚を突き付けられる夫像を浮き彫りにしてみました。

今回も引き続き、同記事の事例からコロナ離婚の危険度が高い夫を探ってみたいと思います。

夫の「無神経な言動」が許せない!

家族の安全よりも自分の考えを優先する夫に失望し、離婚を本気で考え出した妻の事例をご紹介します。

コロナ予防への意識の違いが浮き彫りになり、離婚が現実味を帯びてきたケースもある。安佐南区の女性(44)は「夫の無神経さに失望した」とため息をつく。

 感染が広がった3月以降、女性は買い物以外は極力家で過ごした。でも在宅勤務になった夫は「息が詰まる」と頻繁に外出し、パチンコにも行っていた。マスクもせず、帰宅後の手洗いを面倒くさがる。注意しても「ただの風邪じゃん」と意に介さない。

 許せなかったのは大型連休中に関西の実家に帰省したことだ。他県への移動自粛が求められていたのに「車だから大丈夫」の一点張り。小学生の娘まで連れて行こうとした。口論の末、夫は1人で帰った。自分の考えを優先する態度にあきれ「離婚がちらつきました。家族を大切にしない父親は要らないです」。

 夫は6月から通常勤務に戻ったが、女性は感染の第2波が来て「夫がまたずっと家にいるのは耐えられない」と話す。最近は友人と電話しても互いの夫の愚痴ばかり。本格的に別れ話を始めた人もいる。

出典:我慢限界「コロナ離婚」 一緒の時間増え、価値観の不一致表面化

 

「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するおそれ

この事例のように、「家族を大切にしない父親は要らないです」と言わすほどの、配偶者の一方が相手方に対する愛情を喪失し、相手方の行動、性格や生活環境などから、相手の顔を見るのも嫌なほど結婚生活を継続しがたいと感じるようになった場合、民法は、抽象的な離婚原因として「その他婚姻を継続し難い重大な事由」を規定しています(民法770条1項5号)

民法770条(裁判上の離婚)

1.夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2.裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

「婚姻を継続しがたい重大な事由」の具体例

この「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するだけの事情があるかどうかについては、相手方が離婚されてもやむをえないだけの、つまり、もし同じ立場に置かれたら、誰でも結婚生活を継続する意思を失うであろうことが必要になると考えられています。具体的には次のような理由が挙げられます。

1.暴行・虐待(DV)

2.同居に耐えられないような重大な侮辱

3.犯罪行為

4.浪費癖、労働意欲の欠如

5.性生活の不一致

~性交不能、正当な理由のない性交拒否、異常な性行為の要求など

6.精神的な事由

~お互いの性格、人生観や生活感覚の不一致、愛情の喪失など

7.他方配偶者の親族との不和

離婚裁判では、これらの事情に加えて、2~3年程度の別居があれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると判断されやすいよです。

いかがでしたでしょうか。もし、ご自身の言動を顧みて、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するような言動をしていたら要注意です。突然、妻から離婚を切り出されても致し方ないかもしれません。

新型コロナウイルスの感染拡大による影響で慣れないテレワークや景気後退による先行き不安などでストレスが蓄積して、「家族のことまで考えている余裕がない」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんなときだからこそ、「家族の力」が必要になるのではないでしょうか。この新型コロナウイルスをきっかけに、家族の絆をより一層強くしていくという発想の転換も必要かもしれませんね。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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