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ブレーブスはアクーニャJr.がいなくなった外野の穴をどう埋めるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)May 24, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月26日、ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)は、左膝の前十字靭帯の断裂に見舞われた。ブレーブスは、この怪我について、日時はまだ未定ながら手術を受け、今シーズンの残りは欠場することになるだろう、と発表した。

 アクーニャJr.は、ライトのレギュラーとしてプレーしていた。今シーズンは打率.250と出塁率.351、4本塁打と16盗塁、OPS.716だが、昨シーズンは打率.337と出塁率.416、41本塁打と73盗塁、OPS1.012を記録し、満票でMVPに選ばれた。

 これまで、センターはマイケル・ハリス2世、レフトはジャレッド・ケルニックアダム・デュボールが守っていた。相手が右投手の試合は左打者のケルニック、左投手の試合はデュボールが起用されていた。ここから、外野には、左から右へ、ケルニック、ハリス2世、デュボールが並ぶことになるだろう。

 今シーズン、マーセル・オズーナは、守備についていない。昨シーズンも、2試合の計14.0イニングでレフトを守ったに過ぎない。控えの外野手には、AAAから、フォレスト・ウォールJ.P.マルティネススカイ・ボルトルーク・ウィリアムズらの誰かが昇格すると思われる。

 ただ、ケルニック、ハリス2世、デュボールの3人とも、今シーズンの出塁率は.310に届かず、OPSは.700未満だ。

 3年前、アクーニャJr.は、オールスター・ブレイクの直前に、右膝の前十字靱帯を断裂した。ブレーブスは、そこからトレード・デッドラインまでに、4人の外野手を獲得した。

 7月15日に、シカゴ・カブスからジョク・ピーダーソン(現アリゾナ・ダイヤモンドバックス)を得たのに続き、30日には、デュボール、ホルヘ・ソレーア(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)、エディ・ロザリオ(現ワシントン・ナショナルズ)を、それぞれ、マイアミ・マーリンズ、カンザスシティ・ロイヤルズ、クリーブランド・インディアンズから手に入れた。

 この夏も、外野手を加える可能性は高そうだ。あるいは、夏を迎える前に動くこともあり得る。

 もっとも、3年前と同じ選手を獲得することはないだろう。ピーダーソンとソレーアは、今シーズン、DHとしてプレーしていて、守備にはついていない。ロザリオの出塁率とOPSは、ブレーブスの外野トリオ――少なくとも、ここからしばらくの間は外野トリオを形成する3人――を下回っている。

 誰を獲得しようとするのかを予想するのは、まだ難しいが、ケビン・ピラー(ロサンゼルス・エンジェルス)は、その候補に挙がるかもしれない。今シーズン、シカゴ・ホワイトソックスでは17試合で打率.160と出塁率.290、1本塁打だったが、エンジェルスでは16試合で打率.407と出塁率.439、4本塁打を記録している。

 もちろん、サンプル数はごく少なく、数値そのものも、後者は出来すぎだ。だが、昨シーズン、ピラーは、ブレーブスでプレーした。81試合で打率.228と出塁率.248、9本塁打ながら、右打者なのでケルニックと併用するのに適している。また、35歳の今も、センターを守ることができる。

 ピラーを獲得するのに、大きな見返りは必要ないはずだ。3年前のように、複数の外野手を手に入れるつもりなら、その一人として、悪くない選択肢に思える。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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