原点回帰、攻めの野球で都市対抗へ。カナフレックス・藤井宏政コーチ(元阪神)
8月に入って1週間が経ちました。東京オリンピックは残り2日となり、終わった翌日から夏の高校野球も始まります。非公式のエキシビジョンマッチが行われているプロ野球は13日からペナントレースを再開。そして社会人野球は11月末開催の『第92回都市対抗野球大会』に向けて準備中、というところでしょうか。
ことしも昨年と同じくオリンピック対応で、夏開催の都市対抗野球が秋に、秋の日本選手権が夏に変更されました。でも昨年行われたのは都市対抗のみだったため、ことしの『第46回社会人野球日本選手権大会』は2年ぶりの開催。場所も途中で変わり、1回戦がほっともっとフィールド神戸、2回戦以降は京セラドーム大阪なので、つまり初戦を突破すれば京セラドームへ行けるわけですが…。
この『小虎日記』でよくご紹介している、元阪神タイガースで退団後は社会人チームに所属してプレーを続け、現役を退いてからもコーチを務める人たちは、残念ながら京セラドームへ行けずに終わっています。藤井宏政コーチ(31)のカナフレックス、阪口哲也コーチ(28)のパナソニックが、皮肉にも同じ日の初戦で負けてしまいました。
そして、2019年まで玉置隆さん(34)が所属していた日本製鉄鹿島は、まさかの予選敗退。玉置さんが入ってから都市対抗も日本選手権も4年連続で出場していただけに、これはかなり悔しかったと思われます。しかも関西に戻ってきて、京セラドームへ応援に行くのを楽しみにしていたであろう玉置さんも残念だったはず。
でも、社会人野球の本当の戦いはこれからです!11月末開幕の 『第92回都市対抗野球大会』は今、1次予選が始まる地区や既に終えた地区など様々ながら、各チームとも9月以降に行われる2次予選を経て東京ドームへ!と、熱い夏を送っていることでしょう。
パナソニックとカナフレックスは近畿2次予選(9月1日~わかさスタジアム京都)で、14チーム中5チームの代表をかけて戦います。今度は日本選手権のように、対象試合で“勝ち抜けた”チームの分だけ枠が空くことはありませんので、いわゆるガチ勝負ですね。また日本製鉄鹿島は9月28日から8チーム中2チームの代表を争う2次予選に臨みます。
この3チームだけでなく、同じ元阪神タイガースの藤田太陽監督(41)が率いるロキテクノ富山もそうですね。7月下旬に行われていた『第111回JABA富山県リーグ戦』で見事優勝し、勢いに乗っています。北信越地区からは8チーム中1チームが本大会へ出場。ロキテクノ富山にもぜひ注目してください。
本大会での悔しいコールド負け
さて、カナフレックスは都市対抗の滋賀1次予選と京滋奈1次予選を免除されていますので、先ほども書いた通り9月1日に始まる近畿2次予選からスタートです。もう1か月を切りましたね。日本選手権のあと7月5日から練習を再開し、休日にオープン戦という日々。今は業務と並行のため半日交代ですが、予選が近づくと全員そろっての練習で最終調整を行います。
1か月前の7月1日が、カナフレックスにとって3年ぶりに出場した日本選手権の初戦でした。しかし本大会の舞台で喫したコールド負けに、監督やコーチ、選手たちも「みっともない戦いを見せてしまって申し訳ない」という言葉…。ただ先制ホームランなど、いいところもあったんですよね。
かなり時間が経ってしまいましたが、今回はその試合を振り返りつつ、都市対抗予選に向けての話などをご紹介します。
【第46回社会人野球日本選手権大会】
7月1日 1回戦 (ほっともっと神戸)
カナフレックス – 東海理化
カナ 002 000 10 = 3
東海 000 105 07x=13
※8回コールド
◆バッテリー
[カナ]大西-黒岩-上村-迫 / 福田
[東海]金田-池田大-三小田 / 水野
◆本塁打 [カ]田中ソロ(金田)
◆三塁打 [東]木村
◆二塁打 [東]大谷2、木村、武藤、水野、星田
《試合経過》 ※敬称略
2回まで完璧に抑えられていたカナフレックス打線ですが、3回に先頭の田中がカウント1-1から3つファウルで粘ったあとの6球目(カーブ)をレフトへ!チーム初安打がなんとホームランでした。福田が中前打、武田の犠打、山崎の右前打などで2死一、二塁として森田の左前タイムリー!2点を先取します。
一方、3回まで0点に抑えていた大西は4回、2死一塁からタイムリー三塁打で1点を失いました。そして6回、先頭を味方エラーで出したあとエンドランを決められ無死一、三塁としてタイムリー二塁打。2対2となったところで交代します。なおも無死二、三塁という場面で登板した黒岩は連続でタイムリー二塁打を浴びて3点を失い、2死後にもう1点追加されて6対2とリードが広がりました。
直後の7回、カナフレックスは先頭の田中が右前打するも福田の遊ゴロ併殺打で2死…。それでも代打・江頭が右前打を放ち、山崎も右前打で2死一、二塁として米倉の中前タイムリーで3点差と詰め寄りました!しかもその裏、故障から復帰した上村が登板して三者凡退に抑え、逆転へ望みをつなぎます。
しかし、8回の攻撃は2三振を奪われて三者凡退。その裏、続投の上村が二塁打を許した先頭を、続く犠打で自身の送球ミスがあり還してしまいます。打者走者を二塁へ進め、次もまた犠打失策で1点追加。さらに二ゴロ失策と盗塁で無死二、三塁として中前タイムリーを浴び、上村が降板。この時点で9対3の6点差です。
代わった迫は最初の打者に四球を与え、なおも無死満塁のピンチで走者一掃のタイムリー二塁打…。これで12対3となります。犠打でようやく1死を取ったものの、走者は三塁。続く右前タイムリーでついに10点差がつき、規定により8回コールド負けで試合終了。本大会でもコールドゲームはあるのだと、この時初めて知りました。
ご家族も久しぶりの観戦
カナフレックスが初出場だった2015年は、いきなり初日の第1試合で、前年の都市対抗を制した西濃運輸と当たる“クジ運”に驚きながらも、3対1と2点差での敗戦。2度目は3年後の2018年、結果的に優勝した三菱重工名古屋との1回戦で敗れたものの、スコアは5対3と健闘。だから今回は本当に、まさかの…という感じです。
なお、ことしの日本選手権は制限を設けながらも有観客開催だったので、試合には選手のご家族やお友だち、会社の方々も来られていました。とても残念な結果ではありますけど、球場で観戦できるのが本当に久しぶりだと喜んでいらっしゃったのも確かです。
福田優人選手(29)のお母さまは、高校時代のチームメイトのお母さま方とご一緒でした。なんせ地元ですからね。ほっともっとフィールド神戸も庭みたいなものでしょう。また吉田健悟選手(24)の奥さま・ひかるさんと息子の敢力(かんち)くんも写真を撮らせていただきました。敢力くんはちゃんとユニホームを着ているんですけど、わかりにくくて残念。
田中慧樹選手(24)の奥さま・紗衣(さえ)さんは試合が始まってから来られたのですが、そのタイミングに合わせたかのような先制ホームラン。まさに女神ですよねえ。紗衣さんが公式戦を見るのは昨年9月の都市対抗予選以来、2度目だそうで「ホームランを見たのは初めてです!」と感激の様子でした。
「こちらが引っかき回していかないと!」
先月初め、滋賀県東近江市にあるカナフレックスの工場と、その日午後の練習が行われた蒲生郡日野町の天理教グラウンドにお邪魔して、話を聞かせていただきました。日本選手権の振り返りと今後の課題、都市対抗予選に向けて、などの内容です。
「走塁ミス、守備のエラーが多かった」という反省から始まった山田勉監督(62)の総括。「3対2で勝ちたい、勝つつもりでいた。でも4点取れたらと思ったけど、なかなかそうはいかないですね。15安打されましたか。うちも9安打したけど、3得点ではあかんね。流れがね」。そのあと都市対抗予選に向けての話を聞こうとした時、こんな言葉がありました。
「都市対抗予選で負けたらもう自分も…というつもりでいます。1年早いけど。そのつもりで選手にも言っているんですよ。最後の最後まで頑張ろうと。もう一回、立て直してやろうと」。驚いて聞き直そうとしたんですけど、それはいいからと目で制し、続けて具体的な改正点を熱く語った山田監督です。
「ランナーが一塁でも二塁でも走らせようと思います。アウトになってもいいから。“えっ、ここで走る?”というようなことをしないと勝たれへん。こっちから引っかき回していかないと。去年の都市対抗予選の、あの日本生命戦ではやったんですよ。それで向こうを焦らせたのに、今回はできていなかった。簡単に形だけで、きれいに戦ってしまった。消極的になっていたかもしれない」
泥臭く、がむしゃらにいくということですね?「そうそうそう!それを今度はやろうと思っています。こっちから引っかけていかないと」。次の塁を狙って、アウトになってもいいから還って来いと。「それそれ。そういう形でいきます。アウトになってもいいから(三塁の)藤井コーチも手を回すように言っているので。見といてください」。わかりました。楽しみにしています。
温かくて深い後輩へのアドバイス
次に大西健太投手兼任コーチ(28)です。まず“大西投手”として振り返ると「相手は落ちる球の対応がうまいとビデオを見てわかったので、初回はそれで様子を見たんですが、捉えられた打球でのアウトに思えたから、福田と相談して2回以降はインコースの球を増やした。そういう配球を意識させようと。うまく抑えて5回までいい感じだったので、このままいけるかなと思いました」とのことです。
そこで6回に味方エラーが…。「オープン戦から、“野手のミスはしっかりカバーしよう!その分、打ってくれるから”と投手陣で意識しながらやっていた中、ああやって点が入ってしまったので。自分としてはエラーした選手のためにも何とかしてあげたかったのが正直な気持ちです。踏ん張りたかったのに、抑えられなかったのは自分の実力不足」
ここからは兼任コーチとして伺います。2点取られたところで福間納投手コーチが黒岩龍成投手(25)への交代を告げましたね。「福間コーチとしては出し惜しみせず、黒岩にも6回くらいからいくと伝えていたと思うんですが、ちょっと準備ができていなかったのかな。マウンドに上がった時の投球が黒岩らしくないな、と感じました」。確かに、これまでのビシッと抑える黒岩投手ではなかったかも。
そのあと投げた上村剛輝投手(22)と迫勇飛投手(22)について「上村は(送球の)苦手意識もあったと思います。ああいう舞台で出てしまったのはチームとしても本人としても弱点を見せてしまう結果になった。迫もちょっと準備不足でしたかね」と言及。藤井コーチが「迫は(走者)一、三塁でクイックせずに投げたでしょう?普通に足を上げて。テンパっていたんですよ」と言っていたように、平常心ではなかったのでしょう。
「中継ぎで出た時、先頭バッターに対してストライクが入らなければ、準備できていなかったんじゃないかと疑われる。中継ぎは1人目から100%の力を出すことが大事ですね。一戦勝負になると、誰が先発するか中継ぎをするかわからないので、そこは技術より意識。フィールディングでも何でもそうですが、短期間で意識をどこまで変えてやれるかが自分の成長につながると思います」
そして「僕も多く打たれて失敗したので、打たれることに関しては何も言えない。相手も必死に打ってくるわけですから」と続けた大西投手。「でも、それが経験になると思う。もっとこういう球を投げられたらとか、こんな配球をしていればとか、いろいろ反省が出てきて、それを次に生かしてくれたらいいですね。野球は失敗のスポーツですから。失敗して学んで、次に生かすか」
「それでやらなきゃ、その人の成長はそこで止まる。高校生じゃない、社会人なので。自分が上のレベルでやりたいなら逆にそういうところを得意にしないといけないですよね。それが一番の自信になるし、“やれるもんならやってきてみろ”っていうぐらいの気持ちの強さを持っていれば、これからは普通にアウトにできるプレーだと思います」
先輩として、兼任コーチとしてのアドバイスを伝える大西投手は、最後に「監督も含めて、みんなポジティブに動き出しているから、ピッチャーも野手もチーム全員で、そういう波に乗りたいですね」と締めくくりました。
マルチヒットの1番打者
4年目の山崎壱征選手(26)は2018年に続いて2度目の日本選手権本大会出場です。今回が4打数2安打、前回も4打数2安打2打点でした。「3年前ですか。出ていましたね。あ~、2安打したかも。1発目に打ちました。多分」。多分って(笑)。1回に北川倫太郎選手がタイムリーを打って、そのあとタイムリー三塁打ですよ。「あ、ほんまや!あの、はじいたやつですね」。思い出していただけたようで。
ことしは3回の右前打と、7回には追加点の足掛かりとなる右前打。「個人的に2安打はよかったですけど、結局10点差ですか。悔しいというか、ミスからだったので。技術不足って感じですかねえ」と敗戦に表情は晴れません。向こうは長打が多かったですね。「しかも自分の頭上とか横とか飛んできていたので、どうにかして捕ってやりたかったんですけど…。捕れませんでした」
そのあと、都市対抗予選に向けて聞いたら「東京ドーム、行きたいですねえ。行きましょう!」と少し明るい顔も。先頭打者として起用されることも多い山崎選手なので、切り込み隊長として期待しています。
“守備の人”が放った先制弾!
先制ホームランを放った田中慧樹選手は7回にも右前打を放ってマルチ!公式戦のホームランは3月に行われたJABA東京スポニチ大会に続いて2本目だそうです。2回裏の守備でサードライナーをキャッチして、その直後の1発でしたね。「あれ、マジで手が痛かったんです。無回転で来て、ちょっと捕りづらくて(グラブの)土手で捕って、手がしびれていました」
しばらく打球の行方を見ていた?「そうですね。フライかな、捕られるかなという感じで。感触はそんなに…。入ったなという感じではなかった」。確認してからは、ずっと笑顔で走っていたでしょう?「嬉しかったですもん(笑)。何とか塁に出ようと思っていたんですよ。フォアボールでもいいから出ようと必死で。ずっと真っすぐとスライダーしか来ていなくて、ふいにフワッと来たカーブを反応で打てた」
本大会は違いますか?「やっぱり緊張しますね。自分にとって初の全国だったのもありますし、大会って毎回緊張するんですけど、その中でも一番緊張したんじゃないかなと思います。緊張して食べ物が全然入らなかったです」。えっ、そんなに?「珍しく入らなかったですね。いつも試合前におにぎりを食べるんですけど、あの日は 1個を食べられなかった。半分くらいしか」
ちなみに田中選手は「スローイングが一番自信があります」と言うくらい、もともと守備が売りでした。でも2年目の今季は打撃も好調。練習で打撃投手を務めている大塩浩史マネージャー(24)によれば「入ってきた時はメチャクチャ細かったんですよ、今よりもっと。バッティングもヒョロヒョロやった。それが、ことしになって急に変わった」とか。
もしかしたら、紗衣夫人のおかげですか?「それはあると思います」。あら、即答(笑)。「3月から一緒に住み始めて4月に結婚したんですけど、3月のスポニチ大会から本当に調子が上がってきて」。ほほ~なるほど。3月に取材した際も「料理は何でもおいしい」と言っていましたっけ。やっぱり女神ですね。
ところで田中選手にとってカナフレックスはどんなチーム?「入ってきた時に、すごくやりやすいかなと感じました。まず、先輩方が優しく接してくださるんで、自分の思ったことを言えますし、自分が気づいていないところを上の人が気づいて指導してくださる。自分にとって野球はもちろん、野球以外のことも学べるチームだなと思います」
次の目標は?「9月ですね」。都市対抗野球は東京ドームなので、神奈川にお住いのご家族にも見てもらえるのでは?「そうですね。東京ドームだったら見に行くっていう人が多いので、絶対出てくれと言われました」。実家に帰ることもままにならない今、本大会出場は何よりの親孝行になるはずです。
2安打もチャンスでの凡退を悔やむ
次に、3回にホームランのあとに放ったタイムリーを含む2安打の森田皓介選手(22)は「悔しいですねえ。いつも先に点を取って自分らのリズムで、というのが勝ちパターンやったんで、このままいけたらと思いましたけど。まあ一気に取れた場面もあったから、もっと点は欲しかったですね」と振り返ります。
自身の2安打については「結果だけ見るとよかったんですけど、最後の打席はチャンスで凡退してしまったので…。そこで打てなかったのが悔しいです。6対3でタイムリーを打っていたら展開も変わっていたのかなと。負けたこともですが、点差的にも恥ずかしい試合をしてしまった。全国大会でこんな点差がついてしまうのは恥ずかしいですね」と、改めて悔しさがよみがえってきた感じでした。
森田選手はルーキーなので、これが初めての全国大会でした。緊張は?「いや、それが緊張しなくて。全国大会だからという緊張感はなかったです。グラウンドも大学(立命館大)によく使っていたところなので」。なるほど、関西学生野球連盟のリーグ戦も行われる球場ですもんね。逆にリラックスできた?「かもしれないですね(笑)」
都市対抗野球が開催される東京ドームには?「行きたいです!大学の全国大会で行っているんですけど、自分は出ていなくてベンチで見ていたので」。じゃあ外野の守備位置からからの景色を見ましょう。「はい!何とか行きたいです」。セールスポイントを聞くと「バッティングでも守備でも走塁でも、すべてにおいて活躍したい」と答えた森田選手。都市対抗予選も頑張ってください。
「誰かが打つのを待っていたら勝てない」
最後に藤井宏政コーチのコメントをご紹介します。3年ぶりの日本選手権出場でしたが、コールド負けという結果に「感想は…みんなと一緒です」とひとこと。そして「5回までは別にそんな差がなく、むしろいい形で戦っていたんですけど。きっかけは1つのミスからですね。6回裏の先頭打者、セカンドの送球エラー」と言います。
「そこからは向こうもエンドランで仕掛けてきましたから。エラーをしたあとなので仕掛けやすかったんでしょう。大西もコントロールがいいので、逆にエンドランもかけやすい」と分析。ピッチャーの交代後も追加点を奪われたことには「そこを防げなかった。ダダダーッといっちゃったんでね…」と藤井コーチ。
8回もバントの送球エラーがありました。上村投手はもともとフィールディングが苦手だとか。「そう。ケガ明けでもありますし。本人も不安だったでしょう。不安が、そのまま出たっていう感じです」。敗戦は守備のミスが大きく響いた結果と?「(ミスが)続いているのが、やっぱりダメですね。けど結局は15安打されて打ち負けていますから」
カナフレックス打線も9安打はしました。「効率が悪いですね、うちは。走塁もちょっと磨いていかないと。走塁ミスはもったいない。あそこで2点じゃなく何点か取れていたら全体にもうちょっと、いや…だいぶ変わっていますからね。向こうも、そっちの方が追加点を取ろうとして、どんどん振ってきますし」。なるほど、それで対処できる方法もあったわけですね。
次は本気の都市対抗が待っています。「そうですね。また全然違ったチームで、さらにアッと言わせるようにやっていきたいですね。弱いは弱いなりに考え方をちょっと変えて、何とか」。山田監督が、この試合に関しては普通に戦ってしまったと。「びっくりさせるようなことはなかったですね。でもトーナメントなので。リーグ戦ならそうやって戦えばいいですけど、一発勝負だと。それが“はまったら”すごいですよね。足を使える選手もいるので」
それから「やっぱり守備、走塁ですよね。9本打って点が取れないってのは…。どんどん攻めて、攻める走塁をして。あとはチーム全体の意識。当たって砕けろじゃないですけど、もう一回そこからですね。王者の勝ち方みたいなゲームをしていてもダメでしょう。誰かが打つのを待っていたら無理です」と、藤井コーチは珍しく力を込めて言い切りました。
7月17日から休日ごとに企業チームやクラブチーム、大学の硬式野球部と練習試合を行っているカナフレックス。藤井コーチに聞くと「走塁はだんだんとよくなってきています!あとは継続力ですね」とのこと。昨年秋の都市対抗予選のような快進撃をもう一度、そして近畿の代表5枠に名を連ねてください。戦いの日まで、あと3週間あまりです。
<掲載写真はチーム提供、※印は筆者撮影>