政務官インタビュー「オリンピックをきっかけに画期的な取り組みを」:自由民主党 山本ともひろ衆院議員
文部科学大臣政務官と復興大臣政務官、さらに今年6月より内閣府大臣政務官(オリンピック・パラリンピック担当)と、3つの政務官を兼務している山本ともひろ衆院議員に「東京オリンピック・パラリンピック」「休眠預金」をテーマにインタビューしました。
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政務官インタビュー「いじめを絶対に許さないという毅然とした姿勢を」:自由民主党 山本ともひろ衆院議員
東京オリンピックを画期的な取り組みを進めるうえでの起爆剤に
明智 2020年東京オリンピック・パラリンピックにおいて、海外から選手や観光客を受け入れることになりますが、人種や宗教、言葉、文化など様々な配慮が必要になってくると思います。2020年に向けてどのような取り組みをされていますか?
山本 今年6月にオリンピック・パラリンピック大臣が新設されたことに伴い、私はオリンピック・パラリンピック大臣政務官を兼務することになりました。
オリパラに関するトピックの一つは、パラリンピックのためのインフラ整備です。具体的には、車椅子のスペース確保などバリアフリーの充実などですね。そのために、関係者がいろいろな企業にお願いしてまわっているところです。
あと、例えばトイレのマーク(ピクトグラム)は1964年の東京オリンピックのときに設置されたものです。画期的な取り組みを進めるうえでの起爆剤になるのがオリンピックだと思っています。この機会にぜひいろいろな環境整備を行っていきたいです。
明智 私は昨年に『2020年東京オリンピックで海外からのお客様を「おもてなし」するために必要なLGBTの視点』という記事を書いています。
子どもたちが語学だけではなく真の意味で、さまざまな視点を養えるようにすることが大切だと思っています。自分と異なる個性、言葉、文化を持つ人や国を認め合うことの大切さを学び、性にも多様性があると知って欲しいです。多様性とは何かという議論を「外国からのお客さまを迎えるため」だけにとどまらせず、きちんと教育にも活かしてもらいたいです。
※LGBTとは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)の頭文字をとった言葉ですが、同性や両性に恋愛・性愛の感情を抱いたり、心身の性別に違和感を感じる人々など、当事者が前向きに表現した性的マイノリティの総称です。
もっと詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
山本 オリンピックの精神には人種であったり、肌の色であったりといろいろな差別を禁じています。そのような意味でもLGBTの方たちについても楽しく参加できるような環境の整備をしていきたいと考えています。当事者のみなさんには具体的にどのような施策が必要になるのかぜひ教えて欲しいと思っています。
また教育の中で「他人の人格を尊重すること」について子どもたちに教えていくことはとても重要だと思っています。LGBTに限らず、いろいろな人たちがいて、みんな違っていることを理解してもらい、他者を尊重することの大切さを学んでもらいたいですね。
社会課題を解決するために休眠預金の活用を
明智 「休眠預金活用法案」について、なぜ必要とされているのか、休眠預金を使ってどのような効果が見込まれるのかなどをお聞かせください。
山本 預金は当然、預金者のものです。しかし、10年以上にわたって出入金のない、動きがない口座で所有者が所在不明のものは休眠預金とされ、金融機関の利益となっているのが現状です。最近の10年間を振り返ってみると、なんと毎年約500億円が金融機関の利益となっています。
そこで、その莫大な休眠預金を金融機関の利益とするのではなく、何とか世のため人のために活用することはできないかと、この一年半の間に水面下で研究してきました。もちろん、いつでも預金者が預金を引き出したいと申し出てきた場合は、必ず払い戻すことが大前提であり、またこのような休眠預金活用プロジェクトを始動させることで預金者には、自らの預金をしっかりと管理してもらうことを啓蒙することも意図しています。
昨年4月に「休眠預金活用推進議員連盟」を設立して議論を深めてきました。そして、制度設計も大切ですが、休眠預金をどのような分野で活用するのかが重要な論点になります。つまり、世の中に公助・共助・自助があるとすれば、公助は既に公的資金や政策的に手当てがなされているので、休眠預金を活用する必要はありません。共助や自助の分野で、もう少し人の手を貸してもらえれば、更に改善できるのに、というような分野に休眠預金を活用すべきだと私は考えています。
具体的には
・児童養護施設などを退所した子どもに対しての学業支援
・生活困窮者への自立支援
・難病の子どもを持つ家族の支援
などを想定しています。
休眠預金活用に関する法案を作成し、議員立法として次期国会での成立を目指していきたいと思っています。
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山本ともひろ
昭和50年(1975年)生まれ。関西大学商学部商学科卒業。京都大学大学院法学研究科(行政学)修士課程修了。松下政経塾を卒塾(21期)。米国ジョージタウン大学の客員研究員、会社員を経て衆議院議員へ。現在、3期目。