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12月にトレードで獲得した選手を開幕前に解雇。もともと、それほど欲しい選手ではなかった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ノエ・ラミレス(ロサンゼルス・エンジェルス)Jul 24, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 リリーフ投手のノエ・ラミレスが、ロサンゼルス・エンジェルスへ戻ってきた。

 昨年12月、エンジェルスがシンシナティ・レッズからライセル・イグレシアスを獲得した際、ラミレスはその交換要員として、PTBNL(後日決定選手)とともにレッズへ移籍した。その後、レッズとラミレスは年俸調停を回避。1月に年俸117万5000ドルで合意に達した。

 ところが、開幕直前の3月27日に、レッズはラミレスを解雇した。そして、FAとなったラミレスはエンジェルスへ戻った。入団の正式な発表はされていないものの、MLBネットワークのジョン・ヘイマンらが報じている。どうやらマイナーリーグ契約のようだが、開幕からでなくとも、割と早い時点で昇格するのではないだろうか。

 不可解に見えるのは、レッズの動きだ。これまでのラミレスは、ミドル・リリーバーとして、2018年は防御率4.54ながら69登板で計83.1イニングを投げ、2019年は51登板の計67.2イニングで防御率3.99。昨シーズンは21登板の計21.0イニングで防御率3.00を記録している。今春は6登板の計6イニングで11失点、自責点6だが、最初の1登板を除くと、5イニングで自責点2となる。

 ただ、レッズがクローザーのイグレシアスを放出したのは、イグレシアスの年俸912万5000ドル――今シーズンは3年2412万5000ドルの3年目――を削減するのが目的だった。そもそも、レッズはラミレスを積極的に欲していたわけではなかったのかもしれない。私も知らなかったのだが、MLBトレード・ルーマーズによると、年俸調停あるいはそれを回避して決まった年俸は、選手に全額が保証されるものではなく、スプリング・トレーニングの後半にラミレスを解雇したレッズは、年俸117万5000ドルのうち、28万2000ドルを支払うだけで済むという。

 ともあれ、エンジェルスからすると、ラミレスが戻ってきたことで、イグレシアスを手に入れるために手放したのは、マイナーリーガーの内野手、レオ・リバスだけという形になった。トレードで入れ替わった2人、ラミレスからイグレシアスへつなぐリレーが実現するかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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