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【河内長野市】和洋折衷の大正ロマン風!天見の高級旅館、南天苑の別邸カフェ、久右衛門がオープンしました

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

私が公共交通派だからなのかもしれませんが、河内長野の自然の山々を存分に感じられるカフェに行く機会あまりありません。山が間近に迫ったカフェがある場所だと、どうしても車が無いとなかなか行けないようなところが多く、少し残念だと思っていました。

しかし、先日南海天見駅から歩いて行けるところにカフェがオープンしたという情報を得たので、さっそく行ってきました。

南天苑
南天苑

その名前は、山川草膳 久右衛門。古民家を改装したカフェですが、最大の特徴としては、河内長野はもとより大阪でも指折りの高級旅館、あまみ温泉「南天苑」が経営する別邸なのです。

ということで、天見駅に到着しました。南天苑さんは駅からすぐですが、久右衛門さんは歩いて10分くらいのところにあります。

今回は遊歩道からも行けるのに、間違えて出合ノ辻から国道沿いに歩いて久右衛門さんを目指しました。

ということで車の場合の行き方を先に説明します。天見から南側紀見峠方面に車を進めます。

島の谷交差点を左に下り、坂を進んでいきます。

道なりに進んでいくと、久右衛門さんの前に行けます。

こちらの古民家が久右衛門さんです。

直前に天見川を渡ります。久右衛門さんは、小さな天見川を渡ったすぐのところにあります。

徒歩の場合を紹介しましょう。帰りに逆方向で使いましたが、行く場合は駅前から桜並木の道(単線時代の線路跡)をまっすぐに歩いていきます。

遊歩道から島の谷方面に降りる道があります。

あとで地図を確認して判明しましたが、本当は天見川の支流を越えたあたりに右に曲がる細い道があります。そこから向かうほうが近いです。

私は気づかずに安明寺まで回って遊歩道から帰りましたが、そのほうが道そのものはわかりやすいです。

これは国道側から見ています。画像のレンガの橋のところは遊歩道が続いていますが、そのレンガ橋の右側に近道があります。

島の谷の集落の中にある古民家が久右衛門さんです。

少し奥まったところにお店がありますが、このように看板があるので迷うことはありません。

編み笠に屋号が書いてありますが、さりげなく方向も示しています。

入口の門です。ここから中庭を歩いてお店に行けます。店の名前も含め、これだけだと純和風のカフェかなと思いますが、そうではありません。

入り口にこのようなクラシカルなランプが取り付けられていました。この後拝見した店内もそうですが、久右衛門さんは、伝統の「和」の中に近代日本が取り入れた欧米の「洋」の要素が混ざったような大正ロマンを思わせるインテリアになっています。

明治・大正時代に日本を代表する西洋建築を手がけた辰野金吾。珍しく彼によって設計された和風建築物の南天苑さんを模したようなイメージです。

中庭に入ると、大きな松の枝が横に張り出しています。門かぶり松というそうです。相当な樹齢がありそうですね。

こちらがカフェのある母屋です。さっそく入ってみましょう。

オープン早々に行ってきましたので、お祝いの花が飾られていました。

靴を脱いで座敷に向かう途中、テーブルの上に何かいます。びっくり!

そこには猫がいますが、生きてはいません。なんと置物でした。

お店にいらっしゃった南天苑の山崎一弘社長によると、木で作られた中国製の置物なんだそうです。驚くくらいリアリティがありますね。

畳の間の隣は板の間になっていて、イスとテーブルが置いてあります。

このイスとテーブルも統一されたものではなく、いろいろデザインの違いがあるのですが、アンティークな雰囲気のものばかり。ここにも猫ちゃんがいますね。

椅子に描かれているマークは孔雀をイメージ?
椅子に描かれているマークは孔雀をイメージ?

なかなか大正ロマンを感じさせられるデザインです。山崎社長の話では、3分の1がもともとこの古民家にあった椅子で、残りが新たにアンティークを購入したそうです。

こちらは眠っているイメージのようですね。

せっかくなので、店内を撮影していきます。

しめ縄の先にテーブルがあります。私が来た時にはちょうど欧米人グループが利用していました。

南天苑さんには欧米の人や英語のできるスタッフがいるために、海外からの旅行者が多く宿泊しています。その宿泊客も利用できるようなカフェが欲しいという要望がコロナ前からあったため、久右衛門さんが企画されたそうです。

山崎社長の話では、15:00に南天苑をチェックインした宿泊客が18:00の夕食の時間までの間、周辺を散歩するそうなのですが、その時にゆったりと休憩できるカフェがあればということだったのです。

もちろん、私のような宿泊客以外でも利用できます。

山崎社長の話では、2018年の暮れに、代々古民家を有していた方から購入したそうで、その際に、「古民家の雰囲気を残してほしい」と要望があったので、それを約束したそうです。

改装後、2019年には敷地内の別の建物で茶会を催すなど、南天苑別邸として活用しはじめ、いよいよカフェ営業をという矢先に起こったのが、あのコロナ禍です。カフェ営業開始は延期となり、今年の春になってようやくオープンとなったそうです。

山崎社長に伺ったところ、建物自体は、江戸中期の宝暦年間(1751~1764年)に造られたとのことで、幕末のころに改築されたということです。

しかし、前の持ち主の方のお話では、実はもっと古くから存在したというのです。

それは桃山時代とのこと。伝承では京都、淀にある城(淀古城)を普請(ふしん:建築)した時に、城の濠が高くいつも空堀だったので水を入れようとしたときに、二重水車と呼ばれるものを発明して水を入れることに成功。

その二重水車を開発したのが、天見の与三兵衛、喜三兵衛という大工さん。その功を喜んだ豊臣秀吉から「淀」の銘を賜ったそうなのですが、そのふたりが作った家の4軒のうちのひとつが、この建物なのです。

伝承の真実についてはタイムマシーンでも開発されない限り確認のしようがありませんが、山崎社長によれば家の中から当時のものと思われる屏風や火縄銃が出てきたそうです。

天井をよく見ると、ファンが取り付けられていました。

店内には無料Wi-Fiもあります。

さりげなく野の花が活けてありました。こういうひとつひとつが、南天苑さんをほうふつとさせてくれますね。

最初にお茶が来ました。これは自家製のスギナ茶なのだそうです。

こちらがメニューです。久右衛門さんは、11:00から14:00のラストオーダーまでランチ営業もしています。

ランチの献立はコース仕立てで3,000円、そのほかオプションで2種類の預け鉢800円、スープ付きの仏陀鉢(ブッダボウル)1.380円があります。

14:00以降、16:30のラストオーダーまではカフェタイムとなっていて、スイーツとアルコールを含めた各種ドリンクが楽しめます。

コースの献立と仏陀鉢を注文をしてから、待っている間に見つけました。さりげなく木の短冊が掲げられています。有名な人の俳句か短歌でしょうか?

取り皿と箸とフォーク、スプーンのセットを持ってきて頂きました。

ちなみに山崎社長の話では、テーブルの天板はある料理家さんからの頂き物なのだそうです。元々はちゃぶ台で、あとから足を取り付けてテーブルにしたとのこと。

箸とフォーク、スプーンのセットを開けるとこうなっていました。

最初に前菜の彩り野菜(サラダ)が来ました。和風胡麻ドレッシングをかけて頂きます。

ドレッシングをかけ終わったところです。野菜の中身は次の通りでした。

クルトン、赤と黄色のプチトマト、赤と黄色のパプリカ、数種類のレタス、玉ねぎ、紫キャベツ、ブロッコリー。

さて仏陀鉢(ブッダボウル)が登場しました。精進料理の丼です。ちなみに山崎社長によれば、卵抜きのビーガン対応もできるそうです。

スープはに冷製ヴィシソワーズのびる葉ちらしが付いており、なかには緑色のノビル(野蒜)の葉が浮身として入っていました。

一部を紹介しましょう。こちらは甘く煮たレンコンです。

こちらの山菜は、イタドリの天ぷらです。

ノビルやイタドリは一般的なスーパーではあまり見かけません。天見の郷で採れた山菜を使っているわけですね。下のほうに見える筍も近くの山で採れたもの。

さてお昼の献立膳が来ました。

筍ご飯です。お代わりもできるとのこと。

揚物はアスパラと筍(たけのこ)のフリッターとありましたが、そのなかにノビルの天ぷらも入っていました。

茶塩で頂きましたが、食べる前からなんとなく想像できる筍の天ぷらが、口を含むとしっかりとしたうま味が口の中に広がりました。食べる前とは違った意外性もあってか、筍がこんなにおいしくなるとはびっくりしました。さすが南天苑さんのお昼ご飯ですね。

こちらは煮物で、春野菜と河内鴨ロースのたんぽぽ風味です。今回の献立で唯一肉が入ったのがこちらの河内鴨ロース。たんぽぽの花弁が春らしいですね。

春野菜はブロッコリー、フキ、下に筍が入っています。この中ではフキにうま味が凝縮されていて美味しくいただきました。フキに濃い味が染み込み、周りが薄味だったので味のバランスを考えているのかなと思いました。

こちらは向付(むこうづけ)の、うどのきんぴらです。

ちなみに向付とは茶事における懐石料理の最初に出される膳で、料理を盛る器とそこに盛られた料理のことを指すそうです。

仏陀鉢と、同じノビルの葉がのった冷製スープです。

膳をいただいた後に、運ばれて来たのは香物。梅干し、旬の糠(ぬか)漬けです。ミョウガときゅうりと小さな赤かぶが入っていました。

こちらは湯斗(ゆとう)です。湯斗とは茶懐石料理で香の物とともに出される焦げ湯(こげゆ)自体をこの名で呼んでいます。また焦げ湯とは、釜の底に残った焦げ飯をきつね色に焦がす、あるいは米を煎ったものに対して熱湯を注いで塩味をつけたものだそうです。

ちなみに焦げ湯を出すときの器を湯桶(ゆおけ)と呼ぶそうです。

このようになかにご飯が入っています。さて味わいですが、程よい塩味が効いていて美味しくいただきました。

最後に水物が来ました。たんぽぽの花弁が入ったゼリーで、シロップをかけていただきました。

ここまでがランチの紹介ですが、せっかくなのでカフェメニューのスイーツを注文します。

カフェメニューのデザートプレート、1,500円です。これは人気が出そうな気がしました。6種類のスイーツが懐石のように少しずつ入っているので、一度にいろんな味が楽しめます。

アイスクリームです。チョコレートのソースがかけられていました。

その隣にあったのは一口サイズのフレンチトーストです。

このようにフレンチトーストの上にアイスをのせて食べることもできます。

プリンです。上に乗っているカラメル部分はカチカチになっていました。

スポンジケーキです。チョコレートがかけられていました。

みかんがのっているクレープです。

最後はホイップクリームとオレンジとイチゴがセットになったもの。

いろんな味のスイーツがあるので、一度に得した気分になりました。

あとドリンクもいただきました。山崎社長におすすめを聞いて選んだのは、りんごと小松菜のアイススムージー650円です。

今回は注文しませんでしたが、ティーポットで提供する紅茶や中国茶もあります。

そういえば格調高いBGMの中に、ラストエンペラーが流れていたときがあり、オリエントな雰囲気をもより感じられました。

ということで、新しく開業された久右衛門さんにお邪魔しました。天見駅から徒歩圏内にある別邸カフェは高級旅館の雰囲気を気軽に味わえるので、実際に利用してみて、とても人気が出そうな気がしました。

ちなみに利用できるのは当面の間は現金。しばらくするとPayPayも使えるようになるそうで、クレジットカードはもう少し先になるそうです。

長野商店街にある椿屋さん
長野商店街にある椿屋さん

なお余談ですが、南天苑さんは河内長野駅前の長野商店街の中にあるワインのお店Wine Café椿家さん(外部リンク)も経営しておられます。

山川草膳 久右衛門(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市天見346
電話番号:0721-69-9238
営業時間:11:00〜17:00
定休日:水曜日
アクセス:南海天見駅から徒歩10分
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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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