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最後まで目が生きていた!ベルトへの執念を感じさせた亀田和毅が2階級制覇

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
亀田和毅(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 亀田兄弟の三男で元世界バンタム級王者の亀田和毅と、アビゲイル・メディナ(スペイン)とのWBC世界スーパーバンタム級暫定王座戦が12日に行われた。3年ぶりの世界戦となった和毅だが、今回は肉体改造をして自信満々で久しぶりの世界戦の舞台に立った。立ち見が出るほどの満員の後楽園ホールで試合が行われ、見応えがある熱戦でフルラウンド戦った。

スピードに加えパワーがついた和毅

 肉体改造に励んだ和毅は前半はスピードを活かしてメディナを圧倒した。鋭いジャブで相手をコントロールして、4R終了後の途中採点で三者ともに40-36とポイントを稼いだ。相手のメディナも和毅のスピードに面食らったのだろう。手数も少なく前に出てこれず攻めることができなかった。接近戦が強いメディナだが、入りたくても入れなかった。スピードだけだったら前に来れただろうが、和毅のジャブにはキレと重さがあったので不用意にいけなかったのだろう。ジャブ以外にも上下の打ち上げが決まり前半で大きくポイントを重ねリードしていった。

押し合いでも負けなかった

 中盤以降はメディナもポイントを挽回するために前に出てきた。さすがにここ5年間負けなしで10連勝中、ランキング1位とあってパワーがありプレッシャーも非常に強かった。以前の和毅だったら足を使ってさばくことが多かった。しかし、今回は相手を向かい入れて打ち合って、好戦的なメディナを下がらせる場面もあった。タイトルマッチは下がっていては勝てない。今回の試合ではベルトを獲りたいという執念が観客にも伝わってきた。強い気持ちと肉体改造で下半身が安定したことで、打ち合いでも負けない見せ場を作った。

覚悟を見せた和毅の表情

 私が何より目についたのは和毅の表情だった。ボクサーというのは試合の時には素の自分が出てしまう。キツイ時は顔も強張り、苦しい場面ではそれが表情に出てしまう。今回の試合では後半に相手がかなりプレッシャーをかけてきたので、ピンチになる場面もあった。普段よりパンチももらっていたし、危ないと思わせる場面もあった。しかし、和毅の目からチャンピオンベルトを必ず獲るという覚悟を感じた。苦しい場面でもあきらめないで目が生きていたのである。タイトルマッチでは最後は気持ちだ!と言われる。自分の強い気持ちが覚悟を作りキツイ場面でも戦い抜くことができる。今回の和毅にはベルトへの執念が感じられた。最後まで集中をきらさずにフルラウンド戦って試合も大いに盛り上がった。タイトルを失った3年という月日が和毅を大きく成長させたのだろう。

今後の和毅の進化に期待

 見事なボクシングでタイトルを奪取した和毅だがここからがスタートだ。正規チャンピオンにはメキシコのレイ・バルガスが君臨している。アマチュア時代に遡るが和毅はバルガスに負けている。その選手にリベンジもしたいと、以前インタビューで話していた。また和毅が勝ち続ければ、ひとつ下の階級で活躍している井上尚弥選手との対戦も見たい。圧倒的な強さを誇る井上と亀田三兄弟として名前がある和毅の試合が実現すれば大きな話題となって盛り上がるだろう。先を見すぎるとコケるといっていた和毅だが、ひとまず世界王者になったことで、落ち着けるのではないだろうか。まだまだ進化できるポテンシャルを持っているので、今後の展開にも期待したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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