過去データからでは測れない。二刀流4年目の進化
セパ共に全日程を終了した今季のペナントレース、セリーグは2位以下に大差をつけた広島が、パリーグはソフトバンクとの熾烈な優勝争いを制した日本ハムが頂点に立った。
季刊Baseball Times2016春号では過去3年間の成績から今季の個人成績をかなり細かく予測しており、それらを合計すればチームの総得点、総失点が浮かび上がる。その2つがあれば勝率を予測することも可能。開幕前にそのようにして主観を除外したデータに基づた順位予測を行った。「セは巨人、パはソフトバンクが優勝。客観的データのみでの順位予想。」
セリーグ
実際の順位
広島
巨人
DeNA
阪神
ヤクルト
中日
データからの予想順位
巨人
広島
ヤクルト
阪神
DeNA
中日
パリーグ
実際の順位
日本ハム
ソフトバンク
ロッテ
西武
楽天
オリックス
データからの予想順位
ソフトバンク
西武
日本ハム
楽天
オリックス
ロッテ
優勝予想はセパ共に外れたが、特に混戦と思われていたセリーグである程度近しい順位予想は出来た。データ予測を大きく上回る躍進を見せたのが共に3位に入ったDeNAとロッテ。筒香の個人成績は打率.302、22本塁打、OPS..893と予想されていたが、実際には打率.322、44本塁打、OPS1.110と全ての面で上回りチームの勝利に貢献。1人で130点近い得点を生み出した計算になる。ロッテは防御率3.38と予想されていた石川が2.16とリーグトップの成績を残し、平均的な投手と比べて防いだ失点32.58点も堂々のリーグ1位。Bクラスの3球団が600点台の失点を重ねる中、ロッテは500点台で凌ぎCS進出を果たした。
止まらない二刀流の進化
他にも個人成績で大きくデータ予測を上回ったのが日本ハム・大谷。投手としては149回を投げ11勝5敗、175奪三振、防御率2.43とエース級の活躍が予想されていたが、実際に140回を投げ10勝4敗、174奪三振、防御率1.86と抜群の数字を残した。打者としてはプロ2年目にOPS.842と好成績を残したものの過去3年間の成績から今季の成績予測は156打席で打率.239、6本塁打、OPS.717とやや寂しいものになっていたが、実際は打率.322、22本塁打、OPS1.004と文句なし。常につきまとう二刀流への雑音を結果で封じ込めた。
今季は特に野手成績の伸びが素晴らしく、出場104試合、382打席は自身最多。好成績を残しながら出場を増やしたことで平均的な打者と比べて33.79点多くの得点を生み出した。ちなみにこれはリーグ3位に相当し、首位打者に輝いたロッテ・角中とほぼ同じ。野手に専念しフル出場した場合の年間600打席に換算すれば、平均的な打者より多く生み出す得点は53点となりリーグトップ。仮定の話にはまだ続きがあり、投手に専念し年間180イニング投げたとすれば平均的な投手より38.57点の失点を防ぐことになり、こちらもリーグトップに躍り出る。
投手としても野手としても超一流。今季からベストナインの投票に関する規定が変更され、投手と野手の重複投票が認められることになった。規定投球回にも規定打席にも到達はしていないが、割合で示せば投手としては規定投球回の98%、野手としては規定打席の86%に達しており、投打の合計でチームにもたらしたアドバンテージは63.38点。貢献度は誰が見てもMVP間違いなしだ。