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W杯惨敗で思う「日本代表」を世界レベルにするためのたった一つの方法

山田順作家、ジャーナリスト

W杯の日本代表が0勝2敗1分という惨憺たる成績で終わったことで、日本中に失望感、虚脱感が広がっている。

しかし、よくよく考えてみれば、その責任の多くはメディアにあると思う。なぜなら、メディアは彼らの本当の実力を知っていながら、それをあえて無視して「史上最強」と煽りに煽ったからだ。

しかも、そのメディアが、今度は一転して、「やっぱり世界のレベルは上だった」なんて言っている。そんなこと、いまさら聞く気もしない。

なぜなら、そんなことは何十年も前から言われてきたことだからだ。そのため、日本はこれまで、フィジカル面を強化し、個人のスキルを向上させ、さらに世界に通用する戦術を身につけようとしてきたのでははないだろうか。

とすれば、今回もまた「世界のレベルは上」という結論では、次回もまた、世界に追いつくために同じことが繰り返される。何十年やってもダメなものが、次回、監督を代え、選手を入れ替えただけで、上手くいくだろうか?

私にはけっしてそうは思えない。

では、どうすればいいのだろうか?

現在、次回に向けての強化案が花盛りである。専門家から素人まで、いろいろなことを言っている。それを聞いていると、あきれるほど、以前と同じだ。フィジカルとスキルの強化、戦術の練り直しなど、聞き飽きた話ばかりだ。

しかし、誰一人として指摘しないことがある。それは、もっと帰化選手を増やせばいいということだ。

日本で生まれ、日本で育った“純ジャパ選手”だけでは勝てない。そのことがはっきりしたのだから、これ以上、同じことを繰り返しても無駄である。

それならいっそうのこと、海外から強い選手に来てもらい、日本代表を選択してもらう。そのような、グローバル化に適したシステムをもっと整えよう、という話がまったくない。

実際、W杯の各国代表チームを見れば、産まれた国と違う国の代表になっている選手、現在プレーしている国の代表より母国の代表を選んだ選手など、いろいろな選手がいる。

つまり、ナショナルチームといっても、強いチームは混成軍団なのだ。日本のように“純国産”軍団は、世界的にマイナーと言っていい。

いまや、スポーツに限らず、あらゆる分野で国籍変更は珍しくなくなっている。それだけ、世界はグローバル化が進んでいる。モノ、カネが自由に動くなら、ヒトも自由に動くようになっている。それなのに、日本はこの流れに逆らい、自前で全部やろうとしている。

もちろん、スポーツにおけるナショナルチームが、国籍を基本としているのはわかっている。サッカーの場合も、FIFAは選手の安易な帰化によるナショナルチームの強化策には難色を示している。しかし、プロスポーツが商業主義に依存している以上、FIFAの難色は口先だけと思ったほうがいい。

現在、代表になるためには、帰化したうえ、その国に5年の居住歴を持たなければならないとされている。しかし、これもそのうち緩和されるはずだ。サッカー選手を輩出する南米、アフリカなどで、どんどん二重国籍を持つ選手が増えれば、この流れはさらに加速化するだろう。

これはサッカーだけではない。オリンピックでは、“国籍の変更もしくは取得の3年後までは新しい国を代表してオリンピック競技大会に参加してはならない”となっている点も見ても、FIFAの5年より規制は緩いからだ。

というわけで、今後の日本代表の強化策は、帰化選手を増やすことだ。そのほうが圧倒的に早く、日本のサッカーは世界レベルになるはずだ。ただし、これには日本を選択してくれる選手がいるかどうかという問題がある。現在、人口減から経済衰退が止まらないこの国に、それほど魅力を感じてくれる選手がいるだろうか?

安倍政権は、今回の骨太の方針で「移民開放」へ向けての口火を切った。しかし、日本はまだまだ移民への抵抗が根強く、このままだと国力をどんどん落としていくだろう。

私たちは、もう純ジャパだけで世界と戦う時代は終わったと認識すべきだ。鎖国を続けるより、開国して、世界の力を国内に取り込んで強くなっていく道を選択すべきではないだろうか?

そうしないと、6年後の東京五輪で、私たちは自国代表がことごとく世界に敗れる場面を見ることになるだろう。

作家、ジャーナリスト

1952年横浜生まれ。1976年光文社入社。2002年『光文社 ペーパーバックス』を創刊し編集長。2010年からフリーランス。作家、ジャーナリストとして、主に国際政治・経済で、取材・執筆活動をしながら、出版プロデュースも手掛ける。主な著書は『出版大崩壊』『資産フライト』(ともに文春新書)『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)『日本が2度勝っていた大東亜・太平洋戦争』(ヒカルランド)『日本人はなぜ世界での存在感を失っているのか』(ソフトバンク新書)『地方創生の罠』(青春新書)『永久属国論』(さくら舎)『コロナ敗戦後の世界』(MdN新書)。最新刊は『地球温暖化敗戦』(ベストブック )。

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