帰ってきた「ライアン」小川! 最速147キロで球宴前にも一軍復帰へ
燕の「ライアン」がついに実戦のマウンドに帰ってきました! 4月に打球を右手に受け、有鉤骨鉤(ゆうこうこつこう)骨折で戦列を離れていた東京ヤクルトスワローズの小川泰弘投手が、6月27日に戸田球場で行われたイースタンリーグの読売ジャイアンツ戦に先発。70日ぶりの実戦マウンドで3回を1安打、無失点に抑えました。
先頭打者から18球ボールなし
メジャーリーグで通算324勝を挙げて野球殿堂入りもしている大投手、ノーラン・ライアンばりの投球フォームで、「ライアン」の異名を取る小川投手。この日は30球をメドにマウンドに上がりましたが、いきなり一番の藤村大介選手を3球三振に切って取ると、二番・大累進選手、三番・橋本到選手はいずれも二塁ゴロと、わずか8球で三者凡退に抑える快調なスタートを切ります。
2回も四番・石井義人選手をレフトフライ、五番・横川史学選手をライトフライに打ち取ってあっという間にツーアウト。ここまでボールは1球もなしと、相変わらずのコントロールの良さには舌を巻くばかりです。六番の坂口真規選手も2球で0-2と追い込み、続く3球目のストレートはファウル。これがこの日最速の147キロと計測されていたことが、後で判明しました。
坂口選手への4球目はこの日、初めてボールと判定されましたが、5球目のインハイのストレートで空振りを奪い、この日2つ目の三振。ここまでの投球数は20球で、3回もマウンドに上がることになりました。その3回は先頭の辻東倫選手にセンター前に運ばれ、この日初めてのヒットを許しますが、八番の河野元貴選手に対しては1-2から外角低めにビシッと決まるストレートで見逃し三振。九番・立岡宗一郎選手は一塁ゴロ、一番に戻って藤村選手をセンターフライに打ち取り、この日は御役御免となりました。
最速147キロは「意外といえば意外」
結局、この日は打者10人に対して36球を投げ、被安打1、奪三振3で無失点という上々の実戦復帰を果たした小川投手。降板後は「真っすぐ(ストレート)はどういう球が行くかなと思ってたんですけど、低めにしっかりキレのある球を投げることもできたし、ファウルも取れた。リキんで少し(球が)浮く場面もあったので、そこは次への課題にしてやれればと思います。しっかり腕も振れていたので、(故障後)初めてにしては良かったかな」と自身のピッチングを振り返り、ストレートが最速で147キロに達するなど軒並み140キロ台中盤をマークしていたことについては「まだ腕も万全でない中で球速が出てるのは、意外といえば意外というか……そこはそんなに気にしてないですけど、キレとコントロールを求めて、結果的にスピードが上がればいいと思います」と話していました。
では、この日の小川投手の力の入れ具合はどの程度だったのか? 「7割ぐらいじゃないですか」と言うのは、バッテリーを組んだ西田明央捕手です。「復帰して一発目なんで、良い時とは違うと思いますけど、しっかり投げられたと思います。インコースを間違えないっていうのが、やっぱりすごいですよね」と、内角にキッチリ投げ切る制球力に目を丸くしていました。
この日は全36球中、ボールになったのはわずか5球だけだった小川投手ですが「ボールがないっていってもストライクゾーンだけに投げてるわけじゃなくて、空振りゾーンに投げて空振りを取ったり、厳しいところに投げてそれをファウルにさせたりしてるんで、1球1球全部に意味のあるボールだったと思います」と評したのは山部太二軍投手コーチ。「ほぼ完璧じゃないですか。素晴らしいですね」。
早ければ7月11日からのDeNA戦で一軍へ
伊東昭光二軍監督によれば、小川投手の次回登板は7月5日に戸田球場で行われるイースタンリーグ・チャンレンジマッチのフューチャーズ戦になる予定。この試合の結果次第で、早ければ7月11日から本拠地・神宮球場で行われる横浜DeNAベイスターズとの3連戦で一軍復帰の運びとなりそうです。
昨年はプロ1年目にして16勝で最多勝に輝き、今年も開幕から3連勝を飾りながら、小川投手は4月18日の阪神タイガース戦(甲子園)でライナーを右手に受け、思わぬ離脱を強いられてしまいました。
「長期離脱をしてしまってチームに迷惑をかけているので、戻ったら後半戦はしっかり自分のピッチングをして、チームの軸というか柱になれるようにしっかり準備していければと思います」
口調はいつものように冷静ながら、一軍復帰に向けて静かに闘志を燃やしていました。