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500人のシニアが答えた「あなたが今、実現したい目標」は何ですか?

斉藤徹超高齢未来観測所
500人のシニアが答えた「あなたが今、実現したい目標」は?(写真:イメージマート)

人生100年時代と言われる現在ですが、そうは言っても歳を重ねるとともに、さまざまな身体の不調や物忘れが生じたり、気力も衰えがちになります。

しかし、何もしないで、ぼうっと一日過ごすよりは、何かしらの目標や生きがいを持ち日々を過ごすほうが、健康寿命の延伸につながるでしょう。

また、そうした目標を若いうちから持ち続けることは、高齢期の生きがいの創出につながることでしょう。

そこで、現在60歳以上のシニアの方々500人に、現在お持ちの目標についてお伺いしてみました。以下、回答の多かった順にベスト9をご紹介していきたいと思います。

第9位 身の回りの整理(断捨離)

第9位 身の回りの整理(断捨離)
第9位 身の回りの整理(断捨離)写真:イメージマート

第9位に挙がったのは、「身の回りの整理」、いわゆる断捨離です。断捨離と言うと、家財や生活道具、衣類などの整理で、そういったことに関心が高いのは女性だと思いがちですが、男性も趣味の品の一定の断捨離ニーズがあることがわかりました。

・「自立生活が続けられること。そして元気なうちに身の回りの整理を済ませること」(65歳・女性)

・「蔵書の整理です。整理するためには、まずはすべての顔ぶれを眺められるように、本を本棚に並べることを実施中です」(73歳・男性)

・「スニーカーコレクションの整理と断捨離です」(68歳・男性)

第8位 孫の成長を見届ける

第8位 孫の成長を見届ける
第8位 孫の成長を見届ける写真:アフロ

第8位は孫に関する目標です。孫が一定の年齢になるまで頑張っていきたい。こうしたことが生きるための目標になっています。

・「80才まで病気にならず、孫が成人するまで、健康でいたい」(65歳・女性)

・「孫の成人式まで生きる(生きていたい)」(70歳・男性)

・「孫の成人式にお酒を酌み交わすこと」(70歳・男性)

第7位 「ピンピンコロリ」で亡くなる

第7位 「ピンピンコロリ」で亡くなる
第7位 「ピンピンコロリ」で亡くなる提供:イメージマート

第7位の「「ピンピンコロリ」で亡くなる」は生きているうちの目標ではなく死ぬ際の目標です。生きているうちは健康な状態を維持し続け、最後はポックリと死ぬ。これが可能な人は、実際にはどのくらいいるのでしょうか?なかなか難しい夢でしょうが、誰もが理想とする亡くなり方でもあります。

・「健康寿命を延ばしてピンピンコロリを目指す」(67歳・男性)

・「明るく元気で過ごし、最期はピンピンコロリとなること」(78歳・男性)

・「できるだけ健康寿命を伸ばすこと。死ぬときは長く苦しまずにピンピンコロリと旅立つこと。実現できそうもありませんが」(82歳・女性)

第6位 ゴルフを続ける

第6位 ゴルフを続ける
第6位 ゴルフを続ける提供:イメージマート

現在のゴルフ人口は大幅に減っていますが、現在の70代以上の世代にとって、ゴルフはビジネス社交上においても人気の高いスポーツでした。年齢を重ねても続けられることから、高齢になっても目標を持つことの出来る人気の高いスポーツだと言えます。

・「最低あと10年ゴルフを続ける」(64歳・男性)

・「ゴルフで年間平均スコア80台を記録することです」(71歳・男性)

・「ゴルフでの夢「エイジシュート」を達成することです」(76歳・男性)

・「ゴルフの90切り」(79歳・男性)

第5位 長生きすること

第5位 長生きすること
第5位 長生きすること提供:イメージマート

第5位は「長生きすること」ですが、回答の多くにあったのは「元気で長生き」というものでした。長生きしたい、しかし健康な状態で、というのは、第7位にあった「ピンピンコロリ」と同義であるとも言えます。

・「できるだけ長生きして趣味をやること」(63歳・女性)

・「まだいろいろなことがしたいので長生きすること」(67歳・男性)

・「ただ単に、健康で長生き」(73歳・男性)

・「親の歳を超えた今「健康で長生き」を目指しています」(85歳・男性)

第4位 仕事や社会参加を続ける

第4位 仕事や社会参加を続ける
第4位 仕事や社会参加を続ける写真:アフロ

第4位は、「仕事や社会参加を続ける」でした。60代も後半になると、次第に就労から離れてくる人も増えてきますが、自営業や独立して仕事を続ける人も少なからずいます。また、就労してお金を稼ぐのではなくとも、何らかの形で社会との関わりを持ち続けたいと考える方もいらっしゃいます。何らかの形で働き続けることは、健康寿命の延伸にも有効でしょう。

・「仕事を続けながら、健康寿命を守りたい」(74歳・女性)

・「75歳まで現役で「講師業」を続ける。そのために学び続けます」(67歳・男性)

・「できるだけ長く現在の仕事を続けること。現在76歳ですが、あと5年ぐらい続けたい!」(76歳・男性)

・「あと20年働いて、マイホームとマイカーを手に入れたいです」(64歳・女性)

・「来年度中に市民後見人に認定されること」(72歳・男性)

・「90歳まで健康で社会参加すること」(74歳・男性)

第3位 旅行する

第3位 旅行する
第3位 旅行する写真:アフロ

第3位は、「旅行」です。リタイアし、自由時間が生じるシニアにとって、非日常の時間を楽しめる旅行は大きな楽しみのひとつです。今までに行ったことのない場所を訪れたり、海外に出かけることが生きる上での大きな楽しみでもあり、目標となっていることがわかります。

・「健康で、いろんなとこに旅行に行くこと」(66歳・男性)

・「70歳までにまだ行っていない、大分県、長崎県、佐賀県に旅行に行きたい、それで全国制覇達成します」(66歳・男性)

・「2年後のハワイ旅行が目標です」(68歳・女性)

・「80才まで元気にドライブ旅行ができること」(74歳・男性)

第2位 健康を維持する

第2位 健康を維持する
第2位 健康を維持する提供:イメージマート

そして第2位は「健康維持」です。高齢期になると、何かしら身体の不調が生じてくる可能性が高まります。それだけに、健康であることを維持し続けることは、シニアにとって重要な生活課題となります。健康を維持するための運動習慣、食生活など、日々気をつけるべきことがさまざまに生じてきます。そして、健康であり続けることによって、家族や子供たちに迷惑をかけたくないということがシニアにとっての大きな目標になるのです。

・「健康状態を維持することです」(66歳・男性)

・「できるだけ長く健康でいること」(67歳・男性)

・「ひとさまに迷惑かけずに健康でいること」(64歳・女性)

・「健康で家族に迷惑をかけない」(67歳・男性)

・「健康で子や孫たちに迷惑をかけることなく生き抜くことです。そのために毎晩19時ころから約1時間半欠かさずウオーキングに励んでいます」(87歳・男性)

第1位 趣味を楽しむ、趣味を極める

第1位 趣味を楽しむ、趣味を極める
第1位 趣味を楽しむ、趣味を極める写真:アフロ

そしてシニアが今、実現したい目標の第1位は「趣味を楽しみ、趣味を極める」ことでした。第2位の「健康維持」と並び、目標を持ち、趣味を楽しんでいる人の回答が数多く寄せられました。その内容についても、アマチュアレベルの趣味、スポーツから本格的な学問レベルまで多種多様で、今どきシニアの興味範囲の幅広さを感じさせてくれるような回答でした。

・「地球一周分4万キロ走る事」(62歳・男性)

・「60歳からジョギングを始めましたが、フルマラソンを完走することです」(64歳・男性)

・「きちんと数式で宇宙論を理解すること。数年がかりだろう」(66歳・男性)

・「趣味の合唱、声楽、フラダンスの上達」(68歳・女性)

・「絵画作品を死ぬまで描き続けたい」(69歳・男性)

・「古文書が読めるようになること」(70歳・男性)

・「たくさんフランス語で歌うシャンソンを覚えること」(72歳・女性)

・「ひとつのゴールとして、90歳までボランティア活動や趣味のコミュニティーで元気よく活動していきたい」(73歳・男性)

・「日々つつがなく暮らせて、趣味のゲートボールがいつまでも続けられるような健康な身体でいたい」(76歳・男性)

以上で、シニアの持つ夢の紹介は終わりです。寄せられた回答を見ていると、現在のシニアの共通性と多様性が同時によく理解できる内容であったと思います。大きな共通点として挙げられるのは、やはり「健康」に関する関心が非常に高いということでした。

趣味を楽しむ、旅行に出かける、仕事を続ける、ゴルフする、そうしたアクティビティを行うにしても、やはり前提となるのが、「健康であること」になります。健康であり続けることが次第に難しくなる高齢期だからこそ、「健康維持」に関する関心が高まる。逆に言えば、「健康であること」と「さまざまなアクティビティ」がセットになって初めて、「生きがいの高い高齢期」が実現できるのだということを理解させてくれるものでした。

超高齢未来観測所

超高齢社会と未来研究をテーマに執筆、講演、リサーチなどの活動を行なう。元電通シニアプロジェクト代表、電通未来予測支援ラボファウンダー。国際長寿センター客員研究員、早稲田Life Redesign College(LRC)講師、宣伝会議講師。社会福祉士。著書に『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』(翔泳社)『ショッピングモールの社会史』(彩流社)『超高齢社会マーケティング』(ダイヤモンド社)『団塊マーケティング』(電通)など多数。

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