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あなたの好きな作家は誰?20代から70代まで年代別に見た、好きな作家ランキング

斉藤徹超高齢未来観測所 所長
なたの好きな作家は誰?(写真:アフロ)

読書好きの方であれば、お気に入りの作家・小説家は必ず一人や二人はいるはずでしょう。そうしたお気に入り作家は、年代によってどのように異なっているのでしょうか。当然、時代環境やその時々のベストセラー作家が誰かによっても異なるでしょう。

そこで20歳から83歳までの1,200人の方に、自分の好きな作家を一人だけ、アンケートで答えていただきました。それぞれ年代別に人気作家ベスト5を見ていき、最後に総合ランクをベスト20として見ていくことにします。

●20代ベスト5(得票数67人)

1位:東野圭吾

2位:湊かなえ

3位:西尾維新

3位:有川ひろ(浩)

3位:星新一

20代で最も高い支持を得たのは、『秘密』『新参者』『沈黙のパレード』など、数多くのベストセラーを持つミステリー作家、東野圭吾。そして2位は、『告白』『夜間観覧車』『ユートピア』などの作品で知られる湊かなえ。3位は西尾維新、有川浩、星新一が同一得票数。西尾維新は、ライトノベル系の作家。「戯言シリーズ」「人間シリーズ」「<物語>シリーズ」など数多くの作品がアニメ化、ゲーム化されています。有川ひろも、同じく大人系ライトノベル系の作家で、『図書館戦争』シリーズなど、SF、ミリタリー系の作風で知られています。星新一は、言わずと知れたショートショートの神様。亡くなって既に20年以上経過しますが、いまだに若い人に高い人気をです。

●30代ベスト5(得票数181人)

1位:東野圭吾

2位:恩田陸

3位:有川ひろ(浩)

3位:湊かなえ

3位:伊坂幸太郎

30代はベストセラーを生み出すミステリー、推理作家が上位を占めています。1位は20代と同じく東野圭吾。2位の恩田陸は、『夜のピクニック』『蜜蜂と遠雷』などが代表作。SF、ミステリー、ホラーなど幅広いジャンル作品を執筆しています。3位は、有川ひろ、湊かなえ、伊坂幸太郎が同数。伊坂幸太郎も、『重力ピエロ』『ゴールデンスランバー』などで知られる推理作家です。

●40代ベスト5(得票数276人)

1位:東野圭吾

2位:湊かなえ

3位:司馬遼太郎

4位:村上春樹

5位:伊坂幸太郎

40代ベスト5では、司馬遼太郎が3位、村上春樹が5位にランクインしています。司馬遼太郎は、『坂の上の雲』『国盗り物語』『竜馬がゆく』などの歴史小説、『街道をゆく』などの紀行物で知られる小説家・ノンフィクション作家です。40代から司馬遼太郎が上位にランクインするのは、大人の教養として司馬遼太郎を読んでおかなくてはということでしょうか。村上春樹は、現在はグローバルな人気作家ですが、リアル・ハルキスト世代は40代前後と思われます。

●50代ベスト5(得票数284人)

1位:東野圭吾

2位:湊かなえ

3位:伊坂幸太郎

4位:星新一

5位:村上春樹

5位:アガサ・クリスティ

50代のベスト5で特徴的なのは、5位に村上春樹と並び、アガサ・クリスティがランクインしていることです。年代別の好きな作家では、20代、30代には外国人作家はほとんど挙げられておらず、40代から少しずつ外国人作家の名前を挙げる方が増えて来ます。全世代で見るとアガサ・クリスティを筆頭に、コナン・ドイル、スティーブン・キング、ドストエフスキーなどが外国人作家として上位にいます。

●60代ベスト5(得票数220人)

1位:東野圭吾

2位:司馬遼太郎

3位:西村京太郎

4位:宮部みゆき

5位:池井戸潤

60代ベスト5で新たに登場したのは、3位の西村京太郎と4位の宮部みゆき、5位の池井戸潤です。西村京太郎は、テレビ「西村京太郎トラベルミステリー」でも知られる推理小説家。累計発行部数は2億部を超えるというベストセラー作家。宮部みゆきは、『模倣犯』『ソロモンの偽証』などで知られる人気ミステリー作家です。5位の池井戸潤は、『半沢直樹シリーズ』『下町ロケット』など、テレビ化された作品も多いエンターテイメント作家です。

●70代以上ベスト5(得票数172人)

1位:松本清張

2位:司馬遼太郎

3位:東野圭吾 

4位:宮部みゆき

5位:山本周五郎 

70代以上で1位を占めたのは、松本清張。松本清張は『点と線』『ゼロの焦点』『砂の器』などで知られる社会派推理小説作家。現在でも文庫で数多くの著作が揃えられていますが、この年代が主な読書層なのでしょう。5位の山本周五郎は、『樅の木は残った』『赤ひげ診療譚』などの歴史小説で知られています。この年齢になると、東野圭吾、宮部みゆきといったベストセラー作家と並び、松本清張、司馬遼太郎、山本周五郎といったロングセラー作家が上位に上がってきています。

●総合ベスト30(総得票数1,200人)

1位:東野圭吾

2位:湊かなえ 

3位:司馬遼太郎

4位:宮部みゆき

5位:松本清張

6位:星新一

7位:伊坂幸太郎

8位:池井戸潤

9位:村上春樹

10位:西村京太郎

11位:有川ひろ

12位:赤川次郎

13位:アガサ・クリスティ

14位:太宰治

15位:小野不由美

16位:池波正太郎

17位:夏目漱石 

18位:山崎豊子

19位:五木寛之

20位:恩田陸

総合ランキングを見ると、20代から70代以上までのベスト5に登場した作家が上位を占めています。年代別ランクに登場していなかった作家としては、12位の赤川次郎と14位以下にランクされる太宰治、小野不由美、池波正太郎、夏目漱石、山崎豊子、五木寛之などで、いずれもロングセラー作家です。

年代別に好きな作家ランキングを見ると、一定の特徴が現れていることに気づきます。

全年代を通して人気が高いのは、今最も勢いのある作家、とりわけエンターテイメント性の強いミステリー作家で、東野圭吾、湊かなえ、宮部みゆきが御三家。その後を、伊坂幸太郎、池井戸潤が追いかける状態と言えるでしょう。

年代別に見ると、20代では西尾維新、有川ひなど、ライトノベル系の作家が強く、30・40代は、いままさに旬のベストセラー作家を推す人が多い。40代くらいからは司馬遼太郎、太宰治、夏目漱石など、日本の古典と言われるロングセラー作品を好む人も増え始めますが、これは過去の読書体験の蓄積と教養願望によるものでしょう。ちなみに司馬遼太郎好きと回答した40代は全て男性でした。60・70代になると池波正太郎、山本周五郎といった剣豪小説などを好む層が増えるといった特徴が見えてきました。

こうしたランキングをきっかけに、今まで未読な作家の作品にトライしてみるのもいいかもしれません。

注釈:総合ランキングは単純に今回ご回答いただいた人の得票数を足し合わせたもので、年代の偏りは考慮していません。結果として、40・50代の意向を強く反映した結果になっています。一方、近年の若者の読書離れを考慮すると、もしかするとさほど外れていないかもしれません。

超高齢未来観測所 所長

超高齢社会と未来研究をテーマに執筆、講演、リサーチなどの活動を行なう。元電通シニアプロジェクト代表、電通未来予測支援ラボファウンダー。国際長寿センター客員研究員、早稲田Life Redesign College(LRC)講師、宣伝会議講師。社会福祉士。著書に『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』(翔泳社)『ショッピングモールの社会史』(彩流社)『超高齢社会マーケティング』(ダイヤモンド社)『団塊マーケティング』(電通)など多数。

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