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500人のシニアに聞いた、あなたが老いを実感した50の意外なタイミング

斉藤徹超高齢未来観測所 所長
あなたが老いを実感するタイミングは?(写真:アフロ)

人間誰しも年齢を重ねれば、次第に老いるものですが、一方で多くの人々はいつまでも若々しくあり続けたいと願ってもいます。

いつまでも若くあり続けたいと思えど、「あること」をきっかけに、自分の老いを実感せざるを得ない。歳をとるとその「あること」に多くの人が遭遇します。

そこで60代以上の男女500人に、「あなたが老いを実感したタイミングは、どんなときだったか」をお伺いしてみました。以下、回答数の多かったものをベスト10として紹介し、その後の11から50番までは主な特徴別に紹介していきたいと思います。

1.歩いていて他の人に追い抜かれたとき

歩いていて他の人に追い抜かれたとき
歩いていて他の人に追い抜かれたとき提供:イメージマート

歩いている時に、若い女性に追い抜かれたとき(75歳・男性)

子供や孫と一緒に歩いている時に、同じペースで歩くのが辛く感じるとき(70歳・男性)

駅まで歩いて行く時、後から歩いてきた人に次から次へと抜かれていく時(78歳・男性)

老いを実感するタイミングで最も多かったものは、「歩いていて他の人に追い抜かれたとき」でした。確かにこれは筆者も実感したことがあります。自分としては、普通に歩いていると思っているのに、横を若い女性がスマホをいじりながらさっさと抜いていく。これはちょっとショックですね。加齢とともに歩行スピードは少しずつ遅くなっていくものですが、日常のウォーキングで歩行スピードを意識することも重要かもしれません。

2.人の名前がすぐに出てこないとき

人の名前がすぐに出てこないとき
人の名前がすぐに出てこないとき提供:イメージマート

顔は浮かぶのに名前が出てこない(61歳・女性)

俳優やタレントさんの名前が出なくなった(71歳・女性)

テレビに出てくるタレントの名前が思い出せない時(71歳・男性)

これもよくある加齢を実感するタイミングです。顔はわかるが名前が思い出せないのは、顔と名前の記憶をつかさどる脳の部位が異なっているからです。名前をつかさどる左脳は記憶容量に上限があるのに対して、顔(画像)をつかさどる右脳は容量の上限なく記憶することが可能と言われています。しかし、思い出せなくても、教えてもらえば、「ああ」とわかるのであれば、これは特に問題ない正常な加齢の範疇であると言えます。

3.自分の顔や姿を鏡で見たとき

自分の顔や姿を鏡で見たとき
自分の顔や姿を鏡で見たとき写真:イメージマート

鏡に映った自分の顔を見たときです(67歳・女性)

鏡を見た時や撮られた写真を見た時(65歳・女性)

鏡を見たときの皺の多さに気づいたとき(65歳・男性)

普段なにげなく見ている自分の顔や姿を、鏡や写真を通じて改めて確認してみると、その顔つきや目元、口元、立ち姿などに「老け」を実感することもありますよね。しかし、もしかするとこうした気づきのタイミングをうまく活用して、改めて身体の表面上に現れた自分の老いを確認し、改善していく方策を考えていくことが、若々しくあり続けるためのきっかけになるかもしれません。

4.階段の上り下りで息切れしたとき

階段の上り下りで息切れしたとき
階段の上り下りで息切れしたとき写真:イメージマート

階段をのぼると、足も疲れ、呼吸も乱れています(71歳・男性)

階段の上り下りに膝が痛い(72歳・男性)

階段や上り坂で休みながら歩く時(68歳・男性)

これも、「加齢あるある」のひとつです。2・3階建の一軒家にお住まいの方でなければ、日頃階段の上り下りをされている方はあまり多くないかもしれません。それだけに、たまに上った階段に息切れしてしまうのでしょう。

しかし、階段の上り下りの運動効果は実は、あながち無視できるものではありません。1日に階段を50段超えて上るだけで血管が健康になり、心筋梗塞や脳梗塞になる確率が減少する効果があるという研究結果もあります。日常生活に階段の上り下りを取り入れることは大切かもしれません。

5.眠っても疲れがとれないとき

眠っても疲れがとれないとき
眠っても疲れがとれないとき提供:イメージマート

疲れがすぐに取れない(76歳・女性)

8時間以上寝ないと疲れがとれない(61歳・女性)

ぐっすり眠ってもなかなか疲れがとれないこと(68歳・女性)

年齢とともに睡眠の質は低下すると言われています。すなわち歳をとると、深い眠りのノンレム睡眠が短くなり、浅いレム睡眠の時間が長くなると言われています。睡眠途中における覚醒も多くなり、結果的に全体的に眠りが浅くなり、一晩寝ただけでは、疲労が回復しないことに繋がります。質の良い睡眠を確保するためには、規則正しい生活、適度な運動習慣、規則正しい食生活が重要であると言われています。高齢者は15分から30分程度の昼寝も効果的だと言われています。

6.物忘れが増えたと感じたとき

物忘れが増えたと感じたとき
物忘れが増えたと感じたとき提供:イメージマート

物忘れが多くなったこと(74歳・男性)

物忘れも増え、予定がある時は、そこら中にメモするようになった(71歳・女性)

物忘れが多くなり、言いたい言葉が出てこない(62歳・女性)

これも人の名前が出てこないと同じ現象ですね。記憶力の低下を補うために、こまめにノートや手帳などに覚えておきたいことを書く習慣をつけておくこともおすすめです。また語学や歴史など、新たなことを学んだりチャレンジしたりするのも、脳の活性化には効果的だと言えます。

7.白髪が増えた0-と感じたとき

白髪が増えたと感じたとき
白髪が増えたと感じたとき提供:イメージマート

白髪が増えた(61歳・女性)

鏡を見て白髪が目立つようになったとき歳を感じた(74歳・女性)

個人差もありますが、一般に白髪が生え始めるのは男女共に40歳前後と言われており、50-60歳には総白髪になる人もいらっしゃいます。かつては、少しでも白髪が目立つのがいやで、抜いたり、白髪染めを使ったりする方も多かったですが、最近では、白髪をあえて染めず、自然のままに過ごす人も増えてきました。「グレイヘア」という言い方も定着してきました。加齢に抗うのではなく、自然に受け入れるというスタイルが増えてきたのかもしれません。

8.老眼が進んだとき

老眼が進んだとき
老眼が進んだとき写真:イメージマート

老眼 近くの小さい文字が見えにくい(63歳・男性)

老眼が進んでいる(75歳・男性)

老眼も白髪と同じく、早い人は40代には始まりますが、これも正常な加齢のひとつと言えます。近視はレーシックなどの手術で治る場合がありますが、残念ながら老眼は治すことは困難です。遠近両用のメガネやコンタクトレンズで矯正すれば快適な生活を送ることができます。

9.背中が丸いのに気づいたとき

背中が丸いのに気づいたとき
背中が丸いのに気づいたとき提供:イメージマート

街のガラスに映る姿の背中が丸い(69歳・女性)

歩いていて腰が曲がっている事に気づきすぐ直しても又すぐ腰が曲がっている事に気が付いた(81歳・男性)

回答にあるように、ショーウィンドウに映る自分の立ち姿を見て、背中が少し丸まっていることに私も気づいたことがあります。自分の姿勢は、なかなか自分では気づかないものです。背筋を真っ直ぐに伸ばすには、自分の頭のてっぺんが風船で吊られているようイメージすることや背筋トレーニングが効果的です。いつまでも美しい立ち姿を維持するためには不断の努力が必要ですね。

10.シミ・シワが増えたとき

シミ・シワが増えたとき
シミ・シワが増えたとき写真:イメージマート

顔や手にシワが増えた(62歳・男性)

毎朝シワやシミを見た時です(63歳・女性)

シミやシワなどお肌のエイジングは、今まで挙げた項目の中で最も早く、場合によっては20-30代から起こる加齢現象であると言えます。これもこまめなスキンケアが必須と言えるでしょう。

40の老いの実感タイミング

老いを実感したタイミングを順にご紹介しましたが、これ以外にもさまざまな「老いの実感タイミング」は存在します。以下、大きく「日常行動の際の衰えの実感」「身体上の老いの実感」「気持ちの変化における老いの実感」「人との比較での老いの実感」というくくりで「40の老いの実感タイミング」を紹介していきたいと思います。さて、あなたはこの中でいくつ当てはまるでしょうか?20以上当てはまる方は要注意かもしれません。

●日常行動の際の衰えの実感

11.朝起き上がる際に節々が痛む(60歳・男性)

12.歩いていて、つまずきやすくなった(61歳・男性)

13.動作が遅くなった(74歳・女性)

14.動作開始の度に、「どっこいしょ」と口に出る(65歳・男性)

15.家族の話が聞き取りにくくなり、聞き返すことが増えた(67歳・女性)

16.日中に抵抗できない睡魔に襲われる時(68歳・男性)

17.孫を抱っこすると腰が痛む(67歳・男性)

18.慣れているはずの事で、ミスが増えた(65歳・男性)

19.食が細くなった(63歳・女性)

20.酒に弱くなった(68歳・男性)

21.ペットボトルの蓋が開けられない(60歳・女性)

22.運動してからの筋肉痛が数日後に遅れてくる(65歳・男性)

23.睡眠時間が短くなった(65歳・男性)

24.夜間尿が増えた(60歳・男性)

25.精力が減退した(62歳・男性)

26.車の駐車時に車がまっすぐにならない(72歳・男性)

27.信号が青のうちに横断歩道が渡りきれない(76歳・女性)

●身体上の老いの実感

28.身長が低くなったこと(64歳・女性)

29.髪の毛の薄さを実感した時(70歳・女性)

30.歯茎の衰え(68歳・女性)

31.筋肉が細くなった(73歳・男性)

32.ほうれい線(67歳・女性)

33.滑舌が悪くなった(61歳・女性)

34.ちょっとしたことで足がつる(66歳・男性)

35.立ったまま靴下がはけない(72歳・男性)

36.同じ体勢を長く維持していると、腰が痛くなる(68歳・男性)

37.お腹の調子が悪くなった(71歳・女性)

38.階段を上る時に、手すりをつかむようになった(69歳・男性)

39.今まで着ていた洋服が似合わなくなった(61歳・女性)

40.怪我の治りが遅くなった(65歳・男性)

41.検査をする度病気が見つかる(68歳・女性)

●気持ちの変化における老いの実感

42.物欲がなくなった(69歳・女性)

43.仕事でも趣味でも、根気が無くなったと感じる時(74歳・男性)

44.まあいいかで物事を先延ばしする(74歳・女性)

45.異性に興奮しない(69歳・男性)

●人との比較での老いの実感

46.同級生の容姿を見てぎくっとさせられた(68歳・女性)

47.若い人の考え方を理解できなくなった(72歳・男性)

48.知り合いが亡くなったとき(60歳・女性)

49.孫が成長する都度(65歳・男性)

50.孫等に自身の育った時代の話をした時、驚かれて異次元の世界の話の様な反応をされた時(78歳・女性)

超高齢未来観測所 所長

超高齢社会と未来研究をテーマに執筆、講演、リサーチなどの活動を行なう。元電通シニアプロジェクト代表、電通未来予測支援ラボファウンダー。国際長寿センター客員研究員、早稲田Life Redesign College(LRC)講師、宣伝会議講師。社会福祉士。著書に『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』(翔泳社)『ショッピングモールの社会史』(彩流社)『超高齢社会マーケティング』(ダイヤモンド社)『団塊マーケティング』(電通)など多数。

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