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中国でも速報 大山のぶ代さん死去「ドラえもんの声優」として、中国人にも大きな影響与える

中島恵ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

アニメ『ドラえもん』でドラえもんの声優として知られた大山のぶ代さんが死去したことが中国でも速報された。

中国でも『ドラえもん』は『哆啦A梦』(ドラえもんの中国語名)として人気が高く、ウェイボーなどのSNSには「安らかに」「自分の世代は、ドラえもんといえば大山さんだった」「幼い頃に夢中になって見た。よい思い出」「大山さん、ありがとう」などと追悼の言葉が並んでいる。

80年生まれ以降、根強いファンが多い

10月11日午後、日本で大山さん死去の速報が流れてすぐ、中国メディア『新浪娯楽』などが日本の報道をそのまま翻訳する形で報道。「テレビ朝日の初代ドラえもんの声優、大山のぶ代が9月29日に逝去した。享年90歳」などと紹介した。これを受けて、コメント欄には多数の追悼コメントとともに、ろうそくや祈りの絵文字が並んだ。

中国でアニメ『ドラえもん』が初めて放送されたのは、今から33年前の1991年。まだ日本のアニメが中国で放送されることは珍しい時代だった。

だが、一人っ子でいじめられることの多いのび太に、中国の一人っ子たちが共感。「ドラえもんの存在に心を癒された」「のび太に励まされた」という若者が多く、大人気となった。その後も、『ドラえもん』は中国でたびたび放送されており、当時、子どもだった80后(80年代生まれ)、90后(90年代生まれ)を中心に、現在まで長年にわたって、幅広い層に人気を博した。

2015年には映画『STAND BY ME ドラえもん』が中国で上映され大ヒット。最終興行成績は日本円で105億円という異例の数字を記録したことがニュースになった。

2021年、四川省で発見された新種の恐竜の足跡化石には、中国地質大学の学者が「ドラえもん」にちなみ、『エウブロンテス・ノビタイ』と命名したことが話題になったが、それは2020年に中国でも公開された『映画ドラえもん のび太の新恐竜』で、のび太が恐竜に名前をつけるというシーンからヒントを得たものだった。

この学者は「幼い頃から『ドラえもん』の大ファンだった」とインタビューなどで答えており、その影響力の大きさをうかがわせた。中国には今も80年代生まれ以降の根強いファンが多い。

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「日本のなかの中国」「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミア)、「中国人のお金の使い道」(PHP新書)、「中国人は見ている。」「日本の『中国人』社会」「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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