安芸から宜野座へ!―その1・ルーキーの高山選手と板山選手《阪神ファーム》
きょう24日で打ち上げた阪神タイガースの安芸キャンプ。最終日はいつも午前中に終わるため、きのう23日が実質的には最後のフルメニュー練習となりました。小雨がぱらつく寒い中でも、お客様は来てくださって有り難いことですね。
そして練習後に掛布監督から「3人行きますよ高山、板山、原口」と、1クール長い(26日~29日)宜野座キャンプへ昇格する選手の“発表”がありました。きのう金本監督と話をしたようで「あす(24日)、3人はこっちにこない。伊丹に帰って、そこから沖縄に入るから」と。なお3選手は全体練習が終わったところで、1軍キャンプ合流を告げられたようです。
「戻ってくんなよ」と送り出した監督
「一番最初に、高山と板山はいいですよ、順調に来ていますと第1クールが終わったとこで報告した。高山が初めて外で打った時に電話したんですよ。原口もいいと。最初にとんでもない二塁打を打ったからね。原口は去年の秋季キャンプで金本監督も見てただろうし。その3人を、そのまま金本監督が見たいということで。金本監督の方から、そう言っていました。入れ替えしたかっただろうけど、上も若い子が頑張ってるからね」
高山選手には何と?「(ファームに)戻ってくんなよ!オレの顔を見たくないだろ?って。それは横田にも言ったんだけど」とニヤニヤ。監督、その前は北條選手にも言いましたよ。
「やってきた以上の野球はできないから、今までやってきたことを出せばいい。それ以上が出ることはあるかもしれないけど、長続きしない。3人とも安芸でやってきたことを、どれだけ上で出せるか。横田も結果を出せなければ入れ替えがあったかもしれない中で、結果を出した。かといって結果を出そうとしてやってほしくはないんだよね。高山の対応力は、かなりレベルが高い。向こうで25日と27日に練習試合、28日に紅白戦もやる予定みたいだし、そこでどういう対応して、どういう結果を出すのか」
むこうに刺激を与える活躍を
「板山も最初の頃とは別人だからね。原口はちょっと固くなるタイプだけど、秋季キャンプで監督が見てたから今回はちょっと違うだろう。落ち着いてやってほしい。バッティングがいいから、梅野も刺激になるだろう。それと彼は支配下(に戻るという目標)ってのがあるしね」
この3人の春季キャンプを振り返り「原口は言わなくても1人で黙々とやるタイプ。高山も1人で室内で打ったりしてバッティングに飢えてたけど、最後のゲームでああいう結果が出た。板山も結果を出してるし、バッティングの形もいい。無理せず、いい形で結果を残してきてほしい」とエールを送りました。
そして「あとの中堅クラスは金本監督の頭の中に入ってるから、3月中旬の東京遠征くらいかな。そのへんで狩野あたりの名前も出るでしょう。1軍はオープン戦の数が少ないからね。ピッチャーはファームでかなり投げるかも。ウエスタンの開幕から1軍の開幕くらいまで」と掛布監督。投手陣の昇格は今回なかったようですが、チャンスはまだまだありますね。
安藤、島本がフリー打撃登板
また、23日は安藤投手と島本投手がフリーバッティングで打撃投手を務めました。安藤投手は高山選手と狩野選手に、島本投手は一二三選手と板山選手に投げています。詳細は
【安藤】
◆高山
27球 14スイング
安打性の当たり 3か4
◆狩野
27球で安打性は4本
【島本】
◆一二三
33球 安打性 3
(うち、サク越え 1)
◆板山
29球 安打性 9
投げた安藤投手や島本投手について、掛布監督は「いま段階を経て、ある程度実戦で投げてからでいいんじゃないの」と、1軍合流を急ぐ必要はないというコメントでした。この2人に対し、高山選手と板山選手を打たせたのは配慮もあってかと聞かれ「そうそう。生きた球をね。ちょっと練習させたかった。狩野にもね」と答えています。
高山選手は安藤投手のスライダーに空振りしたものの、そのあとは弾き返す場面がありました。「大したもんだよね。大学であれだけ記録を作ったんだから、やっぱり対応力あるよね。そうじゃないと、あの記録は作れない。きのう(22日の練習試合)だって結局、レフト、センター、ライトと打ちわけたんだし。1軍でも当然、出るんじゃないの?だから西武戦やりたかったんだよね~」。同じNPBのピッチャーにどう対処していくか見たかったと、あの中止が残念でならないようです。
新人への言葉もいただきました!
では先に、投手2人の談話をご紹介しましょう。といっても安藤投手は短めですが、初のフリー打撃登板に「まあまあですね。帰ったら(鳴尾浜での春季練習が)もう1クールあるので、しっかり調整したい。クィックとかもできるように」とコメントしています。高山選手の印象は「いいバッターですね。勉強させてもらいました(笑)」です。
続いて島本投手。「ブルペンから調子よくて、それをマウンドでも出せました。左バッターには真っすぐが中に入らないよう、インコースに投げた。しっかり投げられたと思います。きょうは8割くらいの力でしたが、試合でも投げられます。(痛めていた内転筋も)全然問題ないです。ここまでは8、9割が真っすぐだったけど、きょうはバッター相手なので変化球を投げました。スライダー、カーブ、チェンジアップ、シュートです」
サク越えも浴びた一二三選手には「いつも投げているけどパワーがすごい」と感想を述べています。同期だから持ち上げたわけではないでしょう。また「初めて板山に投げて、違うなって思いました。僕が言うのもアレですけど。外は流して、インコースは引っ張っていた。真っすぐに強い印象です。コースに決めても結構いい当たりされましたね」とルーキーのことを語っています。
そのせいか、そこそこ本気モードだったような。左バッターにはインコースに、って板山選手のことですもんね。最後に「これからもっと真っすぐでファウルを取っていきたい」という島本投手でした。
「今持っているものを100%出したい」
それでは、お待たせしました。もう沖縄にいるルーキー2人の、きのう聞いたコメントを書いておきます。原口選手は<その2>まで、しばしお待ちください。
まず高山選手は、フリーバッティングで安藤投手の球を打って「いい経験になりました!本当に素晴らしい先輩なので、そこに立たせてもらったことが一番。それだけです」と初々しい言葉。最初は空振りしたスライダーも、以降は打っていましたね。「あれは球種がわかっていたんで…」。なるほど、フリーバッティングだとピッチャーは「次、カーブ」とか前もってコールして投げますからね。とはいえ、わかっていても打てない場合があるので。
安芸での練習はいい感覚で終われた?「きょうで終わりじゃないんで、打ち納めという感じではないです」。おっしゃる通り。アピールするところは?「全部ですね」。それも、おっしゃる通り!安芸でやってきたことを出せばいいと掛布監督も言っていました。「もちろんですね。そういうのを見ていただいて1軍へ、と評価してもらったと思うので。周りのメンバーや環境は変わるけど、持っている以上のものを出すのは難しいので、今持っているものを100%出せたら」。不安?楽しみ?「楽しみですね、はい」。ここで少し笑顔が見えました。
昨秋に右手を手術して、別メニューからスタートしたプロ初のキャンプですが「ここでは取り組む姿勢なども含め、技術面もいろいろ、野球というものを教わった感じがします」。収穫は山のようにあったのでしょう。沖縄でまたさらなる飛躍を!
「走攻守、全部でアピール!」
板山選手は「練習が終わった時に聞きました。沖縄でやってやろう!という気持ち」と意気込んでいます。バッティングに関して、最初の頃から大きく変わったと掛布監督も言っていました。「このキャンプで良くなった実感があるので、それを継続していきたいと思います」。1軍のイメージは?「結構ピリピリした雰囲気かなと…」と苦笑い。「慣れるしかないですね」。確かに向こうにとっても新たなライバル出現ですから。でも大丈夫。板山選手なら、すぐ馴染めますよ。
アピールポイントは?「このキャンプで一番変わったのはバッティング。そのバッティングでアピールするのはもちろん、それだけでなく走攻守の全部!」だそうです。「まずはこっちでやってきたことをやって、プラス教えてもらってまたレベルアップできればなと思います。まさかこんなに早く上がれるとは思っていなかったので、行くからには全力でアピールしたい。体が丈夫なのは強み。その分いっぱい練習できたので、誰よりも一番練習したい。一番練習しないといけない立場だと思います」
そしてフリー打撃で“対決した”(そんな雰囲気だったもので 島本投手について聞かれると「島本さんのインコース、さすがです!」と即答。続けて「そけ大事ですよね」と笑いました。その処世術があれば沖縄でも大丈夫だわ。「1軍で投げているピッチャーを打てて楽しかった!」と言い、そのあと「普通フリーバッティングで、あんなインコースって来るんですか?」と板山選手。いや、来ないでしょう。本気だったかも。「1つはこのへんに来て」と右の胸を指差して「もう1つ、振らなかったら当たってました!」と言いながら、楽しそうです。
安芸でも「あ、高山がやってるからやらなきゃ」「負けてられない」と同期の高山選手を意識しまくりだった板山選手。いいライバル関係は宜野座でも続くでしょうね。切磋琢磨して、逆に宜野座組を刺激するくらいのアピール合戦を期待しています!