悪質!詐欺急増の理由 渡辺謙さん死亡 福山雅治さん重体入院のフェイクニュースで驚かせてだます
有名人をかたる詐欺が横行しています。前澤友作さんや、三木谷浩史さんなどの著名人の写真を勝手に載せた広告を通じて、投資サイトに誘導しようとする手口がありますが、さらに悪質なものが出てきています。
60代女性がひっかかりかけた 渡辺謙さんの死去のニュース
「危うく、詐欺にひっかかりかけました」
そう話すのは、60代女性の沢田さん(仮名)です。
10月初旬、沢田さんが何気なくFacebookを見ていると、渡辺謙さんの顔写真が出てきました。
「渡辺謙さんが『死亡』というニュースでしたので、驚きました。彼の作品はよく見ていて、とても素敵な俳優さんだったと思っていたので。『えっ、亡くなったの?』と思い<詳しくはこちら>のボタンを押しました」
サイトが開くと、いきなり「ビービービー」と音が鳴りだします。
「突然、画面が赤くなりました。パソコンには『このパソコンはウイルスに感染して危険な状態になっているので、右下にある電話番号に連絡をすぐにしてください』とあります。私もパソコンの音をどこで消したらいいかも分からなくて、焦ってしまい、すぐに電話をかけました」
画面上に出ていたのは、マイクロソフトと書かれた電話番号ですが、もちろん、これは同社をかたっているものです。
「外国人のような女の人が出てきて『どうしましたか?』と尋ねるのです。状況を話すと『大丈夫ですよ。心配しないでください。パソコンの電源は落とさないでください。電源を切ると壊れてしまいます』」と言われます。
指示通りに、ボタンを押していくと…
相手のオペレーターの女性は沢田さんに畳みかけてきます。
「今、あなたをハッカーが狙っています。このままだと危ないので、こちらからブロックします。言われた通りのボタンを押してください」
ハッカーが狙っていると聞いて、沢田さんは怖くなり「わかりました」と答えます。
そして、Windowsのマークを押してとか、「山」の「Y」のアルファベットを押してなどと丁寧にいわれて、女性の指示通りの操作をしたそうです。
すると急に、Google Chromeの画面が出てきました。
「勝手に検索がされて、マイクロソフト社(恐らく偽サイト)のHPが出てきて、相手の女性は『これが私です』と言うのです」(沢田さん)
そこにあったのは、外国人の女性の顔でした。沢田さんは相手の身元がわかり、少し安心してしまいます。だます側は自分の顔を見せて安心させる手を使ってきています。もちろん、これは偽物の写真だと思います。
パソコンは安全でない。セキュリティをこちらで入れると言われる
女性は「あなたのパソコンは安全ではないので、セキュリティをこちらで入れます。いいですか」と聞いてきます。
沢田さんが「料金はおいくらですか」と聞き返すと、「1年間だと2万円で、3年だったら4万円、半永久的だったら6万円なので、あなたが決めてください」と言われます。
この時、沢田さんは「高い」と思いました。それに、自分自身がすでに市販のセキュリティソフトを入れているのに「なぜ、新たな購入をしなければいけないのか」と、少し疑問を持ちました。
「それよりも『音がブーブー鳴って、うるさいので消してください』と言いました。『わかりました』と女の人は答えて、すぐに音は消えました」(沢田さん)
音が消えることで、沢田さんの信用が増します。相手の女性はお金の払い方を教えてきます。
コンビニで「個人で使います」と言って買うように指示をうける
「近くにコンビニがありますか?」と女性は聞いてきます。
「はい、あります」と沢田さんが答えると、「そこに行ったら○○のギフトカードを買ってきてください。そして家に戻ってきたら、すぐに(番号を)見せてください。もしお店の人に『何のために使いますか』と、聞かれたら『個人で使います』と言ってください。何もお店の人が聞かなかったら、そのまま買ってきてください」と指示します。
沢田さんが「2、30分位で戻れる」というと、女性は「パソコンの電源は切らずにそのままにして、携帯電話も通話のままにして家に置いてください」と言います。
これは、サポート詐欺といわれる手口で、パソコンの画面上に出てきた「ウイルスに感染しました」という表示に驚いて連絡をしてきた人物から、お金をだましとろうとします。特に中高年の被害が急増しており、警察からも注意喚起されています。
そうした事情もあり、コンビニでプリペイドカードを買う時には詐欺を疑われて、阻止されるケースが多くなっていますので、「個人で使う」と告げさせるなどの対策も施していることがわかります。
交番に立ち寄る
沢田さんは「わかりました」と言って、外に出ますが、彼女は以前に、有名人のなりすまし詐欺に遭いかけており、「疑問に思うことがあったら、誰かに相談しよう」と思っていました。
「でも、携帯も家に置いてきたので、どこにも相談の電話ができません。それで、近くの交番に行ってみることにしました。この件を相談すると、お巡りさんから『それは今、流行りの詐欺だよ』と言われました。『この後どうしたらいいんですか』って聞いたら、『電話とパソコンも同時に切っちゃった方がいい。パソコンに関してはデータが盗まれている可能性もあるから、お店に持っていってみてもらった方がいい』と言われました」(沢田さん)
結局、沢田さんは、コンビニにはいかずに、家に戻りパソコンと携帯電話の電源を切りました。
続きがあるのが、今のサポート詐欺の怖さ
以前のサポート詐欺の手口ならば、この電源を落とすという対策だけでよかったのですが、今は違います。
翌日、沢田さんは、パソコンショップに行きました。そして見てもらうと、やはり遠隔操作ソフトがインストールされており、削除してもらいました。
実は、以前と違って、今のサポート詐欺の怖さは、いったん終わったように見えて、続きがあることです。もし遠隔操作ソフトが入ったままの状態だと、パソコン内の情報が知られて、金銭的被害に遭う可能性があるからです。
今年8月には、60代男性が遠隔操作をするソフトをインストールさせられて、最初に、ウイルス対策用ソフトの代金1万円をネットバンキングで払いましたが、その後に確認すると50万円を不正に送金される被害に遭っていました。
この他にも、同年5月には、60代男性がネットバンキングの口座からおよそ900万円が不正に送金される被害も起きています。
各銀行からも「偽のセキュリティ警告を表示させて、サポート窓口に電話をかけさせて、遠隔操作アプリのインストールを誘導させる」手口への注意喚起がなされています。
セキュリティソフトのための1万円ほどの電子マネーの購入程度だと思っていると、それをきっかけに数百万円もの被害に遭うことにもなりかねないのです。
警告音が鳴り、ウイルス感染の画面が出てきて、相手に連絡をとって、指示通りに操作した人は、すでに遠隔操作ソフトが入っていることも考えられますので、必ずパソコンに不審なものがインストールされていないかを、パソコンに詳しい人に確認してもらうようにしてください。
福山雅治さんが重体、入院のフェイクニュースも
その後も、同じようなものが、またSNS上に出ているというので、送ってもらいました。今度は「速報:: ハロウィーンで有名人死亡、64歳の日本の有名俳優」とあり、ここにも小さくですが、渡辺謙さんの写真を貼り付けています。
過去に彼は白血病を患っていたこともあり、もしかするとこのフェイクニュースを信じてしまい、驚いてアクセスした人は多いかもしれません。
彼女はニュースと思ってアクセスしたようですが、この写真をよくみると「広告」との表示があり、悪質な詐欺サイトへの誘導広告であることがわかります。
「今度は、福山雅治さんが重体で入院が出てきました!」と沢田さんは新たな写真を送ってきて下さいました。
勝手に著名人の写真を使い、訃報記事にするなど、まったくもってひどい話です。サポート詐欺の被害が急増しているために、あえて注意喚起として広告の写真を掲載しましたが、<詳しくはこちら>のボタンだけは絶対にクリックしないでください。
それにしても、こうした広告を掲載する前に、これがフェイクであることはSNSの運営者側ではわからないものでしょうか。
いずれにしても、多くの人の関心などを誘うための内容のものが多く出ています。くれぐれもだまされないようにしてください。