北朝鮮のICBMを迎撃するのは米国、韓国、それとも日本のイージス艦?
移動式発射台に搭載された北朝鮮のミサイル2基がピョンヤンのミサイル工場からどこかに移動される場面が米国の偵察衛星によってキャッチされた。
行先は明らかにされてないが、昨年中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射実験が行われた平安北道亀城市のパンヒョン飛行場や、同じく中距離弾道ミサイル「ノドン」が発射された北安南道粛川市で怪しい動きがキャッチされている。こうしたことから北朝鮮のミサイル発射が間近との見方が有力となっている。
ミサイルの種類については不明だ。「ムスダン」なのか、それとも一度も発射実験がされてない長距離弾道ミサイルの「KN-08」もしくは改良型の「KN-14」なのか定かではない。しかし、移送されたミサイル胴体の全長が15メートルと、「KN-08」(19~20メートル)や「KN-14」(17~18メートル)よりも短いことから新型ミサイルではないかとの説もある。
どちらにせよ、金正恩委員長が新年辞で「大陸間弾道ロケット(ミサイル)試験発射準備が最終段階に達した」と発言していることからICBMの発射の可能性が高い。
(参考資料:北朝鮮はICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射するか)
北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの発射について公式に言及したのは過去に1度しかない。衛星と称して「テポドン」を発射した2009年4月に「国連安保理が制裁決議すれば、自衛的措置として、大陸間弾道ミサイルを発射する」と警告したのが最初だ。事実ならば、この時点で北朝鮮はすでにICBMを保有していたことになる。
北朝鮮がICBMと称される「KN-08」を初めて公開したのは、金日成主席生誕100周年(2012年4月15日)の軍事パレードである。そして3年後の2015年10月の労働党創建70周年の軍事パレードではその改良型の「KN-14」を公開していた。「KN-14」は弾頭部分に姿勢を制御する補助推進エンジンを装着し、安定した長距離飛行が可能となっていた。
今回の北朝鮮のICBMはあくまで試射である。実射でないことから飛距離を調整するものとみられるが、発射場から察して東(日本海)に向けて発射し、日本列島を飛び越え、太平洋に落とすかもしれない。
ICBMの究極的標的は米本土にあることから今回の試射は必要な再進入技術と核弾頭を高熱と衝撃に耐える保護技術を確保するため模擬の核弾頭を搭載し、大気圏に再進入させることに狙いが定められているとみて間違いない。
折しも、日米韓の3か国は20~22日までの間、ぞれぞれの海域に高性能を備えたイージス艦を配備し、探知・追跡の合同訓練に入っているが、北朝鮮のICBMが実際に発射されれば、迎撃も視野に入っているだろう。ぞれぞれのイージス艦にはSM-2が配備されているが、日米のイージス艦にはミサイルを高度500kmの地点で迎撃可能なSM-3が備えられている。
北朝鮮のICBM発射の動きについてカーター前国防長官はNBC放送(8日)とのインタビューで「もしそれが我々を脅かすものであれば、また我々の同盟や友人を脅かすならば撃墜する」と北朝鮮に警告を発していた。
その後「脅威とならなければ、必ずしも迎撃はしない」(10日)とトーンダウンしていたが、これは何も「どの国の領海、領土にも落下せず、公海に落ちれば、脅威とはならないので傍観する」という意味ではない。むしろ、万が一、迎撃に失敗した場合のエキスキューズに過ぎない。
米国は決して傍観することはないだろう。ペンタゴンはカーター前国防長官の修正発言後も「米国の政策には変わりはない」と迎撃が選択肢にあることを仄めかしている。韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)を構築した韓国もその気十分だ。日本も常時、破壊措置命令を出している状態にある。北朝鮮のミサイルを一体、どの国のイージス艦が撃墜するのか、あるいはできるのか?興味津々だ。
問題は発射のXデーだ。
オバマ大統領の時は、大統領就任から3か月、チェコのプラハであの有名な「核のない地球の実現を目指す」とする「核廃絶宣言」を行った4月5日、まさにその日にテポドンを発射し、2期目の2013年には約3週間後の2月12日に核実験に踏み切っていることから最短で一両日中に、遅くとも父親の故金正日総書記の75歳の誕生日にあたる2月16日までに行う可能性が大だ。