小学生が学校生活で抱えている悩みの実情をさぐる(2023年公開版)
小学生の年齢では一日のうち多くの時間を過ごすことになる学校。楽しいことばかりではなく、辛いこと、困ったこと、悩んでしまうことなどもあるだろう。小学生の学校生活の中での困りごとや悩みごとの実情について、学研教育総合研究所が公開している「小学生の日常生活・学習に関する調査」(※)の結果から確認する。
次に示すのは小学生において今、悩んでいることがあるかを尋ね、複数回答で答えてもらった結果。トップは「学校での友達関係」で全体では15.8%となった。日常の大部分を過ごすことになる学校で、やはり多くの時間を交流で費やす友達との間の関係に、悩みを抱く小学生は多いようだ。
「学校での友達関係」に次いで多い悩みごとは「学習」で14.8%。具体的にどのような内容かまでは分からないが、授業の内容が理解できずに授業についていけない、暗記に苦労する、難しいことが多くて理解するのに時間がかかるなど、さまざまな悩みごとの対象が考えられる。悩んでも最終的に理解して習得し、授業についていけるのならよいのだが。
さらに「学校での先生との関係」「兄弟姉妹との関係」「塾や習いごとでの友達関係」「両親との関係」が続く。小学生も多様な場面で、人間関係に悩みを抱いているようだ。
「自分の容姿・性格」は4.2%。小学生の段階ですでにこれだけの人が、自分の容姿や性格のような、自分と他人との比較の上で、差や劣等感を認識していることになる。
「オンラインやSNS上での知り合いとのやりとり」は0.4%でしかなく、具体的な選択肢の中では一番低い値となっている。単にオンラインやSNSでは人間関係や操作上の問題に関する悩みがないのか、あるいは小学生のうちは悩みを抱えるほどまでにはインターネットを使わせてもらえないだけなのかもしれない。
これを上位陣について属性別に見たのが次のグラフ。
「学校での友達関係」は男子より女子の方が高い値。学年別では小学2年生が一番高い値で、小学3年生で大きく値は落ち、それ以降学年とともに再び少しずつ値を積み増すようになる。小学1~2年生で高い値が出るのは、はじめての義務教育上の場で多くの時間を友達と過ごすようになり、不安を覚えたり悩んでしまうからかもしれない。
他方、小学3年生以降値が大きくなるのは、成長とともに自我をしっかりと持つようになるのとともに、行動範囲の拡大とともに交友関係も広がりを見せ、悩んでしまう出来事に遭遇する機会も多くなるからなのだろう。
■関連記事:
【「合否」はもちろん「焦り」「健康」、そして「忘れ物」…高校受験生の母親の受験当日の心配事とは】
【【更新】文房具、傘にカギにアクセサリー 次々なくなる失くしやすいものたち】
※小学生の日常生活・学習に関する調査
2023年10月27日から11月1日にかけてインターネット経由で、小学生の子供がいる保護者を対象として保護者付き添いの下で小学生本人が回答するように答えてもらったもので、有効回答数は1200人。男女別・学年別で均等割り当て。調査協力会社はクロス・マーケティング。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。