台湾総統「中国は世界の脅威」民主主義陣営の結束呼びかけ 対中国際議連が台湾で初開催 #専門家のまとめ
日米欧やオーストラリアなどの議員で構成する「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)は7月30日、台湾の首都の台北市内で年次総会を開いた。台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)総統が出席し、「台湾のグローバル・ビジョン」と題した特別演説を行った。頼総統は「中国のどの国に対する脅威も世界への脅威である」と述べ、民主主義陣営の結束を呼びかけた。対中国で共闘を目指す同議連が年次総会を台湾で開くのは初めて。
ココがポイント
▼台湾で初開催された総会には23カ国と欧州議会から49人の議員らが出席。頼氏は国際的な議員団の訪台としては最大規模と強調した
・台湾の頼総統「中国は世界の脅威」 対中国際議連で講演(日本経済新聞)
▼頼総統は国防力強化、経済安全保障構築、民主主義諸国との連帯強化、安定的で原則に基づく両岸関係という「平和の4本柱」を実行
・頼総統、対中国で共闘呼びかけ 23カ国参加の国際議連総会に出席/台湾(フォーカス台湾)
▼頼総統は演説で中台関係について蔡英文前政権の路線を継承し、統一も独立も求めない「現状維持」も改めて訴えた
・台湾、世界の民主主義国家と協力へ-中国への対応巡り頼総統が表明(Bloomberg.co.jp)
▼過去最大規模の国際的な議員訪台団を目にし、中国外務省は「中国と国交のある国と台湾の当局間往来に断固反対する」と反発
・台湾総統「中国は世界の脅威」 対中議連の国際会議で訴え(共同通信)
エキスパートの補足・見解
頼総統は、訪台した過去最大規模の外国議員代表団に向けて、台湾が他の民主主義諸国と協力し、「権威主義的拡張主義の脅威」から民主主義を守ると述べ、中国との対決姿勢をあらわにした。中国の習近平政権は頼氏を台湾独立を目指す分離主義者とみなし、台湾に対する圧力を強めている。中国は台湾を自国の領土の一部とみなしており、必要とあれば台湾を武力で併合すると脅している。中国が台湾周辺で軍事活動を活発化させ、中台間の軍事的緊張が高まる中、11月の米大統領選も台湾海峡の先行きの不透明さに拍車をかけている。経済ナショナリズムの発想に立つ共和党の大統領候補であるトランプ前大統領は今月、「台湾は防衛費を支払うべきだ」と発言したばかりだ。日本は警戒を強めざるを得ない。