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ジェイク・ホワイト、トップリーグのプロテクト節は「もっとあっていい」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
フランス1部リーグのモンペリエでも指導歴あり。(写真:ロイター/アフロ)

 南アフリカ代表を率いて2007年のワールドカップフランス大会で優勝したジェイク・ホワイトは、日本ラグビー界に向け「日本協会の全ての判断は、日本代表ありきであるべき」と話した。8月20日、都内でおこなわれたトップリーグのプレスカンファレンスで取材に応じた。

 今シーズンの国内最高峰トップリーグでは代表候補選手に休暇を与える「プロテクト節」が始まる。もっとも、トヨタ自動車を率いて2季目となるホワイトは「こういうことは、もっとあるべきです。そうでないと、日本のトップ8入りは難しいと思います」。2019年のワールドカップ自国開催大会で日本代表が掲げる「8強以上」という目標を踏まえ、警鐘を鳴らした。

 ホワイトは昨季、新人だった姫野和樹をキャプテンに抜擢するなど大胆な改革案を打ち出す。同選手に初の日本代表入りを叶えさせ、中位に甘んじていた名門を7年ぶりのトップリーグ4強に導いている。

 

 今度の発言があったプレスカンファレンス時は、ジャージィを「緑がメイン」から「赤がメイン」に変えた経緯と配慮についても語った。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――前年まで「ファーストジャージィが緑、セカンドジャージィが赤」でしたが、ホワイト監督はセカンドジャージィを好んでいたような。今季は「カンパニージャージィが赤、チームジャージィが緑」と位置づけや名称を変えていますね。

「世界に出れば、トヨタと言えば赤というイメージがあります。ですので、赤いジャージィをカンパニーカラーという名前にしました。ただ、グリーンのジャージィに誇りを持っているラグビー部OBがたくさんいます。彼らに配慮し、このような呼び方(チームジャージィ)にしました」

――ご自身の意向と様々な関係者の思いを踏まえ、折衷案を打ち出した格好です。

「チームの歴史を忘れちゃいけませんから。また、トヨタのラグビー部といえば緑というイメージもありますしね。その思いは今後もくみ取っていきたいです。赤いカンパニージャージィにも、緑が入っています」

――第7節は、日本代表に相当する選手を試合に出さない「プロテクト節」になりました。今季からの試みです。

「世界のどの国でも、代表チームが最優先に置かれます。日本協会の全ての判断は、日本代表ありきであるべきです。例えば、きょうのカンファレンスで『ワールドカップでトップ8に入りたい』とありました(高島正之チェアマンが発言)。そう言うのは自由ですが、同時にそれをするための術を作らなくてはいけません。日本代表がトップ8に入ったことは、いままでありましたか? いままでできなかったことを成し遂げようとしているのですが…」

――選手や首脳陣の以外の関係者にも、相当な努力が求められそうです。

「代表ありきの決断がなされないと、トップ8入りは難しいと思います。世界2位のアイルランド代表の選手、コーチングスタッフは、アイルランド協会と契約を結んでいます(本番では日本代表と同組)。ニュージーランドでも、スーパーラグビーに参加する選手、メディカルスタッフやコーチはすべて、ニュージーランド協会と契約しています。それをもとにお答えをするならば…。トヨタ自動車にとっての第7節では姫野和樹キャプテン(代表選出が濃厚)は起用できません。こういうことは、もっとあるべきです。そうでないと、日本のトップ8入りは難しいと思います」

 プロテクト節の質問を受けたいちクラブの首脳が、日本ラグビー界の構造的な問題について提言した例は貴重。トヨタ自動車の代表候補選手の数がパナソニックなど他の上位クラブに比べ少ない点を差し引いても、「代表ありきの決断がなされないと、トップ8入りは難しい」との発言は興味深いと言える。歴史的に中央集権型を機能させてきた南アフリカラグビー界の出身者らしい見解、とも取れる。

 なおトヨタ自動車にとっての初戦は9月1日、愛知・豊田スタジアムであり、相手は前年度王者のサントリーとなる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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