デビュー戦でプロの厳しさを味わったアマ、メキシコ王者
2023年にアマチュアでメキシコ王者となったセサール・モラレス(24)は、曽祖父、祖父がボクサーで、父親もシドニー五輪ボクシング・メキシコ代表チームのコーチ、さらに母は元メキシコ代表のサッカー選手という毛並みの良さだ。つい先日、満を持してプロデビュー戦を迎えた。
対戦相手は23歳のエクアドル人ファイター、ケヴィン・モスケラ。両者はライト級4回戦でぶつかった。
2戦2勝(1KO)のモスケラには、プロとしての意地があった。プロモーターのボブ・アラムにしてみれば、モラレスを売り出したかったに違いない。サウスポーのモラレスはファーストラウンド2分20秒過ぎに左ストレートを叩き込んで、期待の星らしさを見せる。
しかし、2回に入ると、身長、リーチで優るモスケラの懐に入ることに難しさを覚え始めた。同ラウンド終盤にモスケラの口からマウスピースが溢れても、レフェリーは試合を続行させた。そのワンシーンからは、関係者の誰もがモラレスの勝利を望んでいることが伝わった。
3ラウンドに入ると、モスケラはさらにリーチを生かして自分の距離を保つ。そして、最終ラウンドのゴングを聞くと、白いトランクスを穿いたエクアドル人ファイターは、唸り声を上げながら前進した。「負け知らずの俺が、なぜ咬ませ犬扱いをされなければいけないんだ!」とでも言いた気な戦いぶりだ。
第4ラウンド20秒。接近戦での打ち合いのなか、アマのメキシコ王者がキャンバスにグローブをつく形でダウン。その後のモラレスは、焦りからかパンチが大振りとなる。モスケラはしてやったりと、左フックでモラレスの左目上をカットし、試合終了まで自分の距離で戦い抜いた。
採点は38-38、38-37、39-36。よって、2-0でモスケラがデビューからの連勝記録を伸ばした。
ボブ・アラムはリングサイドで渋い表情を浮かべていたが、今後、モラレスをいかに扱うかに興味が湧く。同じ日の興行で、かつて自らが腰に巻いていたWBOフェザー級タイトルに挑戦し、敗者となったロベイシー・ラミレスも、五輪2連覇を成し遂げながらもプロ転向初戦でダウンを喫して判定負けしている。その後、手厚くマッチメイクで保護したが、モラレスはどうなるか。