2015年春の就職活動が解禁! 大学で「即戦力」の学生を育てられるのか?
2015年春の就職活動が解禁! 企業側は「量よりも質」を求める
12月1日、2015年春卒業予定の大学3年生らの就職活動が解禁されました。大企業を中心に採用は増える見通しですが、企業側は「量よりも質」という意思表示を鮮明にしています。新卒でも「即戦力」を! ということなのでしょう。
その流れなのか、営業のノウハウを正規授業で教え、単位を与える大学が増えています。電話の取次ぎやアポイントの入れ方、商談の進め方など、大学時代に覚えておけば、就職してからも生かせたり、採用面接のときのアピール材料になるからでしょう。
私は営業コンサルタントとして、悪いことではないと捉えます。「経営」「組織」「税務」や「マーケティング」に関するノウハウを体系的に勉強することはできても、「営業」という学問は事実上、存在しません。そのせいか、どちらかというと「営業」は、「組織論」「マーケティング論」などに比べると、インテリジェンス・レベルが下のように見られる傾向があります。
大学で勉強したことは果たして現場に生かせるか?
ただ、現場に入って企業の目標を達成させるコンサルタントの立場からすると、「組織論」や「マーケティング論」を理論的に大学で勉強し、理屈を語ることができても、会社に入って役立つことなどほとんどない、と断言できます。経営全般について知識があっても、まずは小さな実務を積み重ねる必要があるのです。雇う側からしても、新入社員が「経営学部」というだけで、先輩社員は扱いづらいな、とレッテルを貼るものです。
企業が求める「即戦力」というフレーズからすると、「簿記」や「営業」のスキルがあるほうが現場で重宝されるのが現実です。「大学で、ドラッカーの『乱気流時代の経営』を研究していました」などと言われるより、「大学で、電話のとり方、クロージングのコツを半年かけて練習しました」と言われたほうが、先輩社員は親近感を覚えるでしょう。
就職先をどのように見つけるか。採用面接をどのように突破するかということも大切ですが、重要なことはやはり就職した後です。大学としても、一緒に働く直属の上司や先輩社員がどのようなニーズを持っているのか。どのようなスキルを欲しているのかを調査し、より身近で実践的なテーマを取り扱う方向へ進んでいくと思います。そのような知識が、学生が社会人になった後、安心して働き続ける力となるでしょう。
大学は、「即戦力」の人材育成を求められている
私は中小企業の社長たちから、採用に関する相談を受けます。大学の学部、研究内容を参考にして採用の可否を決める社長など、ほとんどいません。大企業でも、その傾向は同じです。いまや既得権益に依存した特定の企業や団体だけが、大学名や学部を気にするのです。
「営業」のみならず、もっと実践レベルに近い「即戦力」を作る授業を、もっと大学でも取り入れていくべきでしょう。頭でっかちで仕事ができない人、スキルはあっても協調性のない人、成績は良くてもコミュニケーション能力のない人を、企業側は求めていないのですから。