なぜバルサはCLで苦しんでいるのか?ペドリとファティの不在...シャビが抱える問題。
決戦の日が、近づいている。
チャンピオンズリーグ・グループステージ最終節、バルセロナは敵地でバイエルン・ミュンヘンと対戦する。グループEはバイエルン(勝ち点15)、バルセロナ(勝ち点7)、ベンフィカ(勝ち点5)、ディナモ・キエフ(勝ち点1)と混戦模様になっており、バルセロナが自力で突破を決めるためには勝利が必要だ。
だがバルセロナは直近の試合で敗れている。リーガエスパニョーラ第16節のベティス戦(0−1)を落とした後、シャビ・エルナンデス監督は皮肉を交えて「どうやら運を使い果たしたようだ。これで、すべて終わりだ。そういうことだろう」と語った。
「あまりに大きな罰だった。心の痛い敗戦だ。我々は良いサイクルで戦えていたからね。だが、これがフットボールだ。クレ(バルセロナファン)は誇りを持ってスタジアムを後にしたと思う。私も同じだ。我々はすべてを尽くした」
■経済的な損失と現実
「バイエルン戦を見据えてベティス戦のメンバーを決めたわけではない」と主張したシャビ監督だが、先の試合ではジェラール・ピケ、エリック・ガルシア、フレンキー・デヨング、ウスマン・デンベレがスタメンから外れていた。
バルセロナにとって、チャンピオンズリーグの結果が重要なのは間違いない。ベスト16進出で960万ユーロ(約12億円)、ベスト8進出で1060万ユーロ(約13億円)の収益がある。
一方、それはグループ敗退で2020万ユーロ(約26億円)の収入見込みがなくなることを意味する。ヨーロッパリーグに回った場合、優勝したとしても、1490万ユーロ(約19億円)の収益だ。その差を軽視することはできないだろう。
ビッグマッチを前に、バルセロナはアンス・ファティやペドリ・ゴンサレスを負傷で欠いている。
とりわけ、ファティの離脱の影響は大きい。今季、バルセロナは公式戦20試合で7試合を無得点で終えている。ラ・リーガの最初の15試合の得点数(13得点)は、2003−04シーズン(19得点)以来、最低の数字だ。
今季、ファティは8試合4得点1アシストを記録している。ただ、プレータイムに顧みれば、92分毎に1得点を挙げている計算になる。
また、シャビ監督就任後、試されているのがシステムの変更だ。単に【4−3−3】のシステムで戦うのではなく、右サイドバックにロナウド・アラウホやエリック・ガルシアとCB型の選手を起用して、左肩上がりの【3−4−3】を形成する。
左サイドバックのジョルディ・アルバが上がり、外レーンを使う。そして、左ウィングがハーフスペースに入る。そう、まさにファティが生かされるシステムでありプレーモデルなのだ。ここに加えて左インテリオールにペドリがいれば、左サイドの攻撃の構築はアルバ、ファティ、ペドリに任せられる。得点力不足で批判されるメンフィス・デパイも中央に留まりフィニッシュに専念できる。十二分に理に適っているのだ。
リオネル・メッシとアントワーヌ・グリーズマンが残した穴は大きい。彼らは2020−21シーズン、58得点をマークしたのである。
また、欧州では1月の移籍市場の開幕が迫っている。フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、カリム・アディエミ(ザルツブルク)、最近ではアーリング・ハーランド(ボルシア・ドルトムント)までが補強候補として噂にあがっている。
ただ、取らぬ狸の皮算用になってはならない。まず、チャンピオンズリーグでグループ突破をできなければ、話にならないのだ。先述したような金銭的な意味合いにおいても、さらにスポーツ的側面でもチャンピオンズリーグで戦えないチームへの移籍を決断する選手は多くない。つまり、帰結するところは同じ。バイエルンに勝利してのグループ突破である。幾度となく厳しい試合を経験してきたシャビ監督とバルセロナの選手たちは誰よりもそれを自覚しているはずだ。