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西・東日本の厳冬 ラニーニャが影響

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
1月の寒さはラニーニャ現象が影響(22日は東京都心で大雪に)(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 ラニーニャ現象が最盛期を迎え、西・東日本の寒さに大きな影響を与えた。ラニーニャは今後、縮小に向かい、この春には終わる見通し。でも、影響は続く。

西・東日本に強い寒気が流れ込む

 気象庁は9日、定例のエルニーニョ監視速報を発表しました。エルニーニョ監視海域の1月の海面水温は基準値より1.1度低く、昨年11月から3か月連続で基準値を1度以上下回りました。赤道付近を吹く貿易風(東風)は強く、海洋と大気ともにラニーニャ現象時の特徴を表しています。

エルニーニョ監視海域の海面水温 基準値との差(2017年1月-2018年1月,著者作成)
エルニーニョ監視海域の海面水温 基準値との差(2017年1月-2018年1月,著者作成)

 1月は度重なる強い寒気の影響で、西・東日本で気温が平年を下回りました。11日は新潟県で局地的な大雪によりJR信越線が立ち往生、22日は東京都心で積雪が23センチに達する大雪になりました。

 ラニーニャ現象により太平洋赤道域西部で海面水温が高くなったため、雲の発生が盛んになりました(対流活動が活発)。このことにより日本付近を流れる偏西風が影響を受けて、西・東日本に強い寒気が流れ込みやすくなったとみられます。

ラニーニャ現象が発生すると日本が寒くなる理由(模式図,著者作成)
ラニーニャ現象が発生すると日本が寒くなる理由(模式図,著者作成)

ラニーニャはピークを過ぎる

 日本列島の天候に影響を与えているラニーニャ現象。今後はどうなるのでしょう?

 ラニーニャ現象はピークに達し、今後は暖水が東へ移動するため、太平洋東部の冷水塊は縮小に向かいます。太平洋中部から東部にかけての海面水温は徐々に高くなる見通しで、ラニーニャ現象はこの春で終わる可能性が高くなっています。

エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差の先月までの経過(折れ線グラフ)と エルニーニョ予測モデルから得られた今後の予測(ボックス):気象庁
エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差の先月までの経過(折れ線グラフ)と エルニーニョ予測モデルから得られた今後の予測(ボックス):気象庁

春は気温が低く、晴れの日多い  

 ラニーニャ現象は今後、終息に向かいますが、しばらくは影響が残ります。

 この春の天候予想ではラニーニャ現象を意識した内容となっていて、春にかけても気温の低い状態が続きそうです。また、暖かく湿った空気の影響を受けにくいことから、関東地方から九州、沖縄にかけての地域では晴れの日が多くなる可能性があります。

 世界的に影響を及ぼすラニーニャ現象。終わりが見えてきても、まだまだ目が離せません。

【参考資料】

気象庁:エルニーニョ監視速報No.305,2018年2月9日

気象庁:向こう3か月の天候の見通し(2月-4月),2018年1月24日

オーストラリア気象局:ENSO Wrap-Up,La Nina likely past its peak as Pacific sea surface temperatures warm,30 January 2018

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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