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東京の梅雨入りは16日頃に 短期集中型で、西日本は雨多い予想

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
6月9日(日)午前、高知駅前の様子、岡田良昭さん撮影

 きょう(9日)午前、四国地方が梅雨入りしました。昨年と比べ11日遅く、平年と比べても4日遅い梅雨入りです。

 今年は梅雨前線の北上が遅れています。近畿、東海、関東甲信地方の梅雨入りはもう少し先になる可能性が高く、東京の梅雨入りは16日(日)頃となる見通しです。

 梅雨入りがかなり遅れた場合でも、梅雨明けや降水量は平年通りの傾向にあり、今年の梅雨は短期集中型になると思います。

10日間の天気予報、ウェザーマップ作画(6月9日午後5時発表)
10日間の天気予報、ウェザーマップ作画(6月9日午後5時発表)

なぜ、梅雨入りが遅れているのか

 理由のひとつに、チベット高気圧があります。チベット高気圧は夏の間、チベット高原付近で発達する上空の高気圧をいい、その勢力範囲はアフリカ北部から太平洋中部まで及ぶ広大なものです。

 梅雨前線はチベット高気圧の北側を流れる偏西風(亜熱帯ジェット気流)に対応し、チベット高気圧の動きが梅雨前線の北上に深く関わっています。

【5日間平均200hPa流線関数】亜熱帯ジェット気流とチベット高気圧の動向を表す図、図①は6/7~6/11、図②は6/14~6/18、ウェザーマップ作画、筆者加工
【5日間平均200hPa流線関数】亜熱帯ジェット気流とチベット高気圧の動向を表す図、図①は6/7~6/11、図②は6/14~6/18、ウェザーマップ作画、筆者加工

 これまではチベット高気圧の張り出しが弱く、梅雨前線に対応する亜熱帯ジェット気流は日本の南を流れていました(図①)。そのため、西・東日本では晴れ間の多い天気が続いたのです。

 しかし、今後はチベット高気圧が勢力を強め、日本付近に張り出す予想です(図②)。これに伴い、梅雨前線はさらに北上し、本州付近に停滞するでしょう。このころ、近畿、東海、関東甲信地方が梅雨入りする可能性が高いです。

今年の梅雨は「短期集中型」に?

 関東甲信地方の梅雨入りが一週間以上遅くなれば3年ぶりです。過去にはもっと遅い梅雨入りもあり、6月22日という記録が残っています。

関東甲信地方の梅雨入りがかなり遅くなった年の梅雨明けと降水量の傾向をまとめたもの、筆者作成
関東甲信地方の梅雨入りがかなり遅くなった年の梅雨明けと降水量の傾向をまとめたもの、筆者作成

 うっとうしい梅雨は早く通り過ぎて欲しいですが、関東甲信地方の場合、梅雨入りが遅くなっても、梅雨明けは例年通りとなるようです。

 気になる降水量は多い年もあれば、少ない年もあり、平均すると平年並みです。ただ、今年は梅雨前線の活動が活発になるため、降水量は西日本を中心に多くなる可能性が高い。今年は短いけれど雨が多い梅雨になりそうです。

【参考資料】

気象庁ホームページ:昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け(確定値)

気象庁:週間天気予報解説資料、2024年6月9日

気象庁:1か月予報(6/8~7/7)、2024年6月6日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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