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エース攝津が投げた! 2年目飯田は「投手五冠」に立つ

田尻耕太郎スポーツライター

攝津「もう大丈夫」

阪神     010000000 1

ソフトバンク 06002300× 11

【戦評】

右肩違和感から復帰を目指す攝津がファーム調整後初の登板。先発して4回1失点だった。試合はソフトバンクが大勝した。先制された直後の2回裏に猛攻。2死一、三塁から山下の三遊間への安打で追いつくと、塚田の三塁安打で勝ち越し。福田の2点タイムリー、猪本のフライを二塁手が落球してこの回計6点を奪った。中盤にはカニザレスの2打席連続タイムリー、釜元の2点打などで追加点を挙げた。阪神では8番スタメンの一二三が攝津からタイムリーを放った。

【雑感】

右肩違和感を訴えてファーム調整となった攝津が、5月9日(西武戦、北九州)以来のマウンドに上がった。失点したが、ピンチは打者のユニフォームをかすめた死球から広がり、タイムリーヒットも三遊間へのボテボテの当たり。捕手の構えたコースにきっちり制球されており、持ち前の制球力は健在だった。

4回56球での降板。予定は70球と聞いていたが「打者との感覚もつかめたし、もう大丈夫と思った」とコメント。十分な手応えの表れだった。

「投手五冠」がいかに稀な記録か

さすがエース、である。ただ、それにも劣らない好投を見せたのが、先日支配下入りした飯田だった。2番手で登板し5回無失点。これで無傷の7勝目を挙げた。勝ち星に加えて、10割の勝率はもちろん、防御率(1.59)、奪三振(47)、完封(1のみだが、ウエスタン・リーグ唯一)でリーグ1位だ。

いわゆる「投手五冠」である。シーズン途中、しかもファームなので参考にもならないかもしれないが、シーズンで「投手五冠」を達成したのは沢村栄治(巨人)やスタルヒン(同)、杉下茂(中日)、杉浦忠(南海)ら伝説の投手たちをはじめ、ここ30年では斉藤和巳(ソフトバンク、06年)のみ。達成者はプロ野球史上7人のみで、昨季の田中将大でさえ届かなかった(奪三振2位、完封3位)。明らかに力が突出している。もはやファームレベルではない。攝津の1軍復帰はもちろん、飯田の1軍昇格を願わずにはいられない。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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