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都知事選結果を受けて…両元総理の今後の言動に注目

鈴木崇弘政策研究者、PHP総研特任フェロー

東京都知事選の結果が出た。舛添要一氏が当選した。日本の首都・東京は、高齢化などの多くの難問が山積し、2020年の東京オリンピックを控えている。ぜひとも前向きかつ健全な都政の運営をしていただけることを期待している。

他方、「原発を次の世代に残したくない」という細川・小泉両元総理の挑戦の想いは、有権者の間に必ずしも広がらず、都知事選では潰えた。しかしながら、今回の都知事選は、猪瀬前知事の金銭問題に纏わる辞任から偶然に生まれたものだ。

また今回の都知事選では、原発問題だけでは結果が決まらなかったが、原発の再稼働への反対の声は相変わらず根強い(注)。また、選挙後細川元総理は、「脱原発の活動に改めて火をともす役割を果たせた」と、選挙結果を総括した。

そして、原発の問題は、日本社会の仕組みや構造を中長期にわたって深く関わるあるいは大きく変える問題であり、すでにそれにまつわる超過利益(レント)が存在しているので、短期的に変更することは容易ではないし、原発維持か脱原発かあるいは即ゼロ原発かの結論は軽率に出されるべきものではないのである。その意味では、筆者は、現在の原発再稼働の方向性があまりに早急かつ不用意に打ち出されていると考えざるを得ないのである。

両元総理の想いには賛否両論があるが、その想いが本物であるなら、一回の選挙でその想いが消えてしまうわけではないはずだ。両元総理は今後も、脱原発に向けての発言や活動を続け、社会に働きかけていくべきだと思う。

民主主義では、絶えず変革し続けることが大切だ。社会に働きかけ、自分の意見を訴え続け、自分たちの意見を社会における多数派にし、その意見を政治的に支持する勢力をつくり出し、政策や政治制度を変更していくのだ。そして、そのプロセスの中で、その変更に反対する立場との間で,さまざまな議論を行い、問題点を明確に、日本全体で正面から向き合ってもらいたいと思う。原発の問題はそのぐらいに重要かつ大きな問題だと思う。

その意味で、両元総理の今後の言動は大いに注目に値する。そして、都知事選に敗けた後だからこそ、原発問題への覚悟と想いの真価が両元総理に問われているといえる。

(注)たとえば日本経済新聞社が、2014年2月2日に発表した、東京都知事選に関する世論調査では、原子力発電所を巡っても聞いているが、再稼働は賛成が29%、反対が53%であった。

政策研究者、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。経済安全保障経営センター研究主幹等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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