Yahoo!ニュース

子どもの夏風邪と熱性けいれん

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
夏に流行る病気もあるのでうがい・手洗いを(写真:アフロ)

春に育児休暇から復帰して保育園に行くようになった家庭は、子どもの病気に戸惑っているのではないだろうか。筆者も、病気は冬に流行るものと思っていたが、娘が小さい頃にヘルパンギーナや手足口病など夏風邪に何度もかかった。熱性けいれんは2回、いずれも夏に起きた。子どもの夏風邪体験を紹介する。

●夏風邪で熱性けいれんが

夏は夏風邪。私は娘が保育園に行くまで、夏に子どもの病気が流行ると知らなかった。冬に流行るインフルエンザは予防接種もするし、学校や保育園に行けなくなる。大人も会社は休みだから、警戒してイメージもわいた。実際には、子どもの病気は夏に多かった。

娘は1歳の夏、発熱で1週間ぐらい自宅で過ごした。子育てが初めての私は、どうやっても薬を飲まなくて焦った。いったん良くなったと思ったもののしばらくして、週末に倒れてけいれんを起こし、救急車のお世話に。手足口病が原因の熱性けいれんだったようだ。倒れる前、口内炎が少しあったので受診したが、それぐらいでは診断できなかったとの説明。

保育園で配られた保健だよりによると、手足口病は夏に流行る乳幼児の病気で、手や足、お尻、口の中に発疹ができて熱が出ることもある。この時はけいれんの後に発熱がわかった。

けいれんのため、救急で様々な検査をした。小児科医に「自分も子どもの頃に熱性けいれんを起こした」と言われた。何か異常を残すということはなく、元気に働いていますよというメッセージだった。

●親にもうつる手足口病

落ち着いた週明け、登録していた病児保育室に初めて連れて行った。定員が少ないのでなかなか予約が取れず、着替えやタオル、ごはん、飲み物、おやつもすべて持参。自宅や会社から微妙な距離にあり、タクシーを使った。保育室に連れていかれ、初めてのシッターさんに抱っこされ、「どこに行っちゃうの?」と私を見つめる娘の姿が忘れられない。

手足口病は娘だけで終わらず、私もうつった。看病で娘にべったり、寝不足で体力が落ちていた私も高熱が出て手足に発疹が。娘の看護で休んでいるため、これ以上会社を休めず、大人同士はうつらないと診療所で確かめたうえで、手袋とマスクで出勤した。

●2歳の夏はヘルパンギーナ2回

2歳の夏も盛りだくさんだった。ある日、会社にいると保育園から発熱の連絡があった。半日休のお願いをして、クリニックや翌日の病児保育など連絡しまくり、お迎えに。病院、薬局とはしご、娘が食べられそうな食料を買い込んだ。夜になっても具合が悪く、夜間小児科に連れて行った。

夏風邪のヘルパンギーナだった。のどにぷつぷつができて、高熱が出る。手足口病よりも痛みがあり、保育園で流行った時、周りの子たちも食べられなくてつらそう。特に言葉で説明できない小さな子は、不機嫌になる。のどごしのいいものを食べさせる。

治ったかと思った頃、せきが出る病気になった。その後、発熱でまたけいれんが起きて救急外来に。さらに9月、2回目のヘルパンギーナで高熱。けいれんが起きないかドキドキしながら、クリニックを受診して病児保育をお願いし、会社へ。夕方に「40度に上がったので帰ってきてください」と電話があり、早退した。

●手探りした熱性けいれん対策

熱性けいれんは1度だけ起きる子が多いが、特に原因がなくても繰り返す子がいるという。娘は2度、起きたため、37・5度以上の熱が出たら使うけいれん止めの座薬を出された。冷蔵庫と私の通勤バッグに常備した。1度使って、8時間後に高熱があったらまた使うというもの。何人かのドクターに聞いたところ、「できればけいれんを起こさないほうがいい、起きてもけいれん止めを使ったほうがいい」とのこと。

「小学校に入るぐらいには、熱性けいれんは起きなくなります」と言われていたけれど、けいれんの様子を見てしまうと恐怖は残る。娘が5歳の冬に保育園で高熱を出して駆けつけた時まで、けいれん止めを使っていた。乳児の頃と違い、座薬を嫌がって長い時間、泣いていた。けいれん止めがなくても大丈夫、と判断できなかった私は、保育園の事務室で娘を説得した。

熱性けいれんを繰り返した子のママに聞くと、「小学校に入ってインフルエンザで発熱した時、使わないで見守ったところ大丈夫だったので、けいれん止めから解放された」。娘も入学して春先に発熱したもののすぐ下がり、けいれん止めは使わなかった。なお、けいれん止めの使い方はこれがお手本ではないので、それぞれが医師と相談して判断する必要がある。

●予防はうがい手洗い、知識持って

3歳の夏は、ほおや腕に赤いぷつぷつが出るリンゴ病に2回かかり、手足口病にもなった。リンゴ病は、今年も初夏に流行した病気。胎児に感染のおそれがあり、妊婦にうつしたら大変なので注意が必要だ。

夏風邪の予防はうがい・手洗いというベーシックなものだそう。旅行や人混みに出かける機会も多い時期。「夏は夏風邪」という知識を持っていたら、体調の変化があっても気づけるし、油断せず衛生面に気をつけることができると思う。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

なかのかおりの最近の記事