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緩和ムードで久しぶりの飲み会 「アルハラ」による危険性

倉原優呼吸器内科医
(写真:イメージマート)

新型コロナも「5類感染症」に移行が決まっている中、全体的に飲み会が緩和ムードにあるためか、飲み屋は連日盛況のようです。コロナ禍になり飲酒する機会が減ったこともあり、飲酒に慣れていない人は久しぶりの飲み会に注意が必要です。

日本人はお酒に弱い

アルコールは、肝臓でアルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドという物質に分解されます。

その後、さらにアルデヒド脱水素酵素によって酢酸に代謝され、最終的に二酸化炭素と水になって、尿・汗・呼気から排泄されていきます(図1)。

日本人は半数近くは、後者のアルデヒド脱水素酵素のはたらきが弱いか・全くない「酔っぱらいやすい体質」とされています。

図1. アルコールの代謝(筆者作成)(イラストACより使用)
図1. アルコールの代謝(筆者作成)(イラストACより使用)

そのため、体の中にアセトアルデヒドがたまりやすくなります。アセトアルデヒドは、ヒスタミンというアレルギー物質を遊離させやすいことが分かっており、これが喘息のような咳やじんましんに似たかゆみを起こすことがあります。

さらに、お酒を飲んでいる人が眼球が充血するのと同じように、アルコールによって気管支粘膜は充血し、むくんでしまいます。さらに気管支が狭くなり、ひどい喘息発作を起こしてしまう人もいます。

私は普段から呼吸器疾患の患者さんを診療しているため、お酒を飲むと咳が出るという相談をよく受けます。おそらく、上記のような作用を見ているのでしょう。

しない・させないイッキ飲み

急性アルコール中毒にも注意が必要です。短時間で大量の飲酒をすることにより、アルコールが脳に影響を与えてしまうため、重篤な場合、意識を失ってしまいます。

アルコールは3~4時間は体内にとどまるため、一度起こったアルコールの作用はしばらく体に残ってしまいます。急性アルコール中毒の人を放置すると、命にかかわります。

血中のアルコール濃度が変動しやすい飲み方は避けましょう。特にイッキ飲みは何もいいことがありません。また、周囲の飲み方に合わせて速度を上げて飲む必要はありません。

場を盛り上げるためとはいえ、若い人にアルコールハラスメント(アルハラ)をしがちな人は、注意してください(図2)。

図2. アルハラ(参考資料1より引用)
図2. アルハラ(参考資料1より引用)

まとめ

久しぶりの飲み会ということではりきってしまい、思わぬアルコールの副作用に直面するリスクがあります。

今まで飲んだことのない速度でお酒をのむことは避けましょう。また、そういった行為を他人にすすめることも控えましょう。

【注意】20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

(参考)

(1) イッキ飲み防止連絡協議会(URL:https://www.noikki.jp/

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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