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冬の室内、湿度は何%がベスト? #専門家のまとめ

倉原優呼吸器内科医
(提供:イメージマート)

最近、急速に気温と湿度が低下してきました。呼吸器感染症や喘息の増悪(ぞうあく)の予防には、適度な湿度が必要とされています。医学的に推奨される湿度や現状の課題についてお伝えします。

ココがポイント

新型コロナやインフルエンザの感染リスクを減らすため、(中略)部屋の湿度は40~60%を維持する。
出典:Yahoo!ニュース エキスパート 倉原優 2022/12/27(火)

冬季オフィス環境においては(中略)全測定場所における勤務時間帯のうち30-40%が(中略)事務所則の基準値(相対湿度40%以上)を満たしていない。
出典:労働安全衛生総合研究所 2014/12/5(金)

温度環境は良好に管理されているが、相対湿度は多くの高齢者福祉施設で40%を下回っていた。
出典:厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業) 分担研究報告書 4. 室内環境測定 2014/10/31(金)

エキスパートの補足・見解

現在、気温だけでなく湿度が急速に低下しており、加湿器は必須です。この先、年末年始に向けて再びインフルエンザや新型コロナの流行が到来すると予測されます。

相対湿度が40%を超えるとウイルスの活性化率が急速に低下することが知られているため、このラインを遵守することが重要です。湿度が60%を超えてくるとダニなどを吸入するリスクが高くなったり、汗が出にくくなったりすることがあるため高すぎないようにする必要があります()。

課題となっているのが、自宅だけでなく職場オフィスや医療機関・高齢者施設などで加湿器が十分機能しておらず、40%を下回っている施設が多いという点です。労働安全衛生法における事務所衛生基準規則では、40~70%程度に維持することが求められており、職場などでも湿度が保たれているかチェックしておきましょう。

図. 医学的に適正な相対湿度(Arundel AV, et al. Environ Health Perspect. 1986; 65: 351-61.より引用)
図. 医学的に適正な相対湿度(Arundel AV, et al. Environ Health Perspect. 1986; 65: 351-61.より引用)

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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