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前年まで通算10本塁打の28歳が、早くもシーズン10本塁打に到達

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブレント・ルッカー(オークランド・アスレティックス)May 5, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月5日、ブレント・ルッカー(オークランド・アスレティックス)は、シーズン10本目のホームランを打った。

 今シーズン、ホームランが二桁に達したのは、ルッカーが5人目だ。その前の4人のうち、ピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)、マックス・マンシー(ロサンゼルス・ドジャース)、ラフェル・デバース(ボストン・レッドソックス)は、過去に35本塁打以上のシーズンがある。あとの1人、パトリック・ウィズダム(シカゴ・カブス)も、2021年に28本のホームランを打っている。

 ルッカーがメジャーリーグで打ったホームランは、昨シーズンを終えた時点では、通算10本に過ぎなかった。今シーズンは、メジャーリーグ4年目。年齢は28歳だ。

 もっとも、マイナーリーグでは、パワーを発揮してきた。2021年は、AAAの62試合で20本塁打。2022年は、AAAの81試合で28本のホームランを打っている。昨シーズンまでのメジャーリーグ通算本塁打も、81試合で10本なので、多くはないものの、まったくのパワーレスだったわけではない。

 また、ドラフト順位は、2017年の全体35位だ。今シーズンのアーチ量産――打率と出塁率も高く.333と.442――は、突然変異ではなく、やや遅めながら資質を発揮し始めたのかもしれない。アスレティックスの前に在籍した3球団、ミネソタ・ツインズ、サンディエゴ・パドレス、カンザスシティ・ロイヤルズでは、なかなかチャンスを得ることができなかった、という見方もできよう。昨年11月、ロイヤルズからDFAとされたルッカーは、ウェーバー公示中に獲得の名乗りを上げたアスレティックスへ移籍した。

 まだ気が早いものの、ルッカーが本塁打王になれば、アスレティックスでは、2018年に48本塁打のクリス・デービス――ファーストネームのイニシャルはK――に続き、今世紀2人目となる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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