国内組で挑むE-1選手権で観たい”森保ジャパン”未招集のJリーガー
J1は最終節を残し、優勝を含めた最終順位が確定していない状況ですが、12月4日に韓国の釜山で開催されるEAFF E-1選手権に臨むメンバーが発表されます。どう言ったメンバーになるか楽しみですが、これまで”森保ジャパン”に選ばれていない新たな招集メンバーを予想します。
日本、韓国、中国、予選を勝ち上がった香港の4カ国により東アジアのチャンピオンを争うE-1選手権はFIFAの定める国際Aマッチデーにも大陸選手権にも該当しないため、選手の拘束力がなく、全てJリーグから招集することが見込まれています。同日には12月28日に長崎で行われるジャマイカとの親善試合に臨むU-22代表のメンバーも発表されますが、一部の選手が来年1月にタイで開催されるAFC U-23アジア選手権を前に、E-1選手権に回ってくる可能性もあります。
何れにしてもE-1選手権はある意味でJリーグを代表して戦う大会であり、日本代表を日頃から応援するファンサポーターだけでなく、Jリーグのファンからも注目が集まる大会として特徴付けられています。10月のアジア二次予選ではメンバー23人のうち国内組が3人しか選ばれないないなど、欧州組の寡占が進む日本代表ではありますが、東アジアのライバルを相手に勝利に貢献するプレーができれば、残りの二次予選、さらに最終予選へと向かう中でフルメンバーに食い込むアピールになることは間違いありません。
11月のベネズエラ戦では、アウェーで行われたキルギス戦から9人の欧州組が所属クラブに帰ったため、Jリーグから9人の選手が加わりました。それにキルギス戦から参加していた国内組を加えたメンバーは以下の16人です。
GK
中村航輔(柏レイソル)
DF
室屋成(FC東京)
進藤亮輔(北海道コンサドーレ札幌)
荒木隼人(サンフレッチェ広島)
三浦弦太(ガンバ大阪)
畠中槙之輔(横浜F・マリノス)
佐々木翔(サンフレッチェ広島)
車屋紳太郎(川崎フロンターレ)
MF
古橋亨梧(ヴィッセル神戸)
山口蛍(ヴィッセル神戸)
大島僚太(川崎フロンターレ)
井手口陽介(ガンバ大阪)
橋本拳人(FC東京)
FW
鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)
永井謙佑(FC東京)
オナイウ阿道(大分トリニータ)
彼らがそのままE-1選手権のメンバーにも選ばれれば、23人の残りは7人になりますが、永井謙佑が浦和戦で肩を負傷してF・マリノス戦の出場も危ぶまれており、ほかにもコンディションや直近の評価で入れ替わりが起こる可能性もあります。先に触れた通り東京五輪世代のU-22から回ってくる可能性もありますが、それより上の世代からメンバー入りが期待されるJリーガーをピックアップしました。
仲川輝人(横浜F・マリノス)
この選手のメンバー入りに異論を唱えるJリーグのファンはほとんどいないのではないでしょうか。優勝に王手をかけている横浜F・マリノスでマルコス・ジュニオールなど良質なブラジル人選手とともに攻撃を牽引し、15ゴール9アシストを記録(集計により10アシストと表示するメディアもある)。合計24は並み居るアタッカーを押しのけてJ1のトップとなっています。
右ウィングを根城にしながら、持ち前のスピードとゴール前の落ち着きで、周囲とのコンビネーションから鋭くゴール前に入り込むフィニッシュが武器になっています。また数字の通り、ゴールを取ることも取らせることもできるので、森保監督としても汎用性が高いでしょう。ただ、クラブとして戦術のベースがディテールまで浸透しているF・マリノスと代表チームでは勝手が違う部分も大きく、個の力が晒されるシーンも多いチームで韓国や中国を相手に輝くことができるかは未知数です。
何れにしてもJリーグで圧倒的なインパクトをもたらした仲川が日本代表として、短い準備でどれだけ能力を発揮できるか。同じく今シーズン大ブレイクした古橋亨梧との共演なども注目されます。
小野瀬康介(ガンバ大阪)
昨シーズンの夏にJ2のレノファ山口からガンバ大阪に移籍し、その時点でも確かな存在感を示しましたが、今シーズンは開幕からなかなか波に乗れないガンバにあって、攻守に渡るハードワークと鋭いチャンスメイクでチームに勝機をもたらしました。右サイドから多彩にゴールを狙う特徴は仲川と共通しますが、さらに激しいアップダウンを苦にしない選手で、シーズン途中からは3ー5ー2の右ウィングバックとして奮闘しながら、7得点4アシストを記録しています。
クロスの精度も高く、アウトサイドからの長いクロスから、ゴールの右脇までえぐってのショートクロスまで多彩です。所属クラブのスタイルを考えても、森保監督のチームにすんなりフィットしやすいかもしれません。仲川と揃って選ばれれば4ー2ー3ー1の右サイドハーフを争うライバルになりますが、3ー4ー2ー1を採用する場合は右シャドーを仲川、右ウィングバックを小野瀬が担う、攻撃的なラインが形成されるかもしれません。
福森晃斗(北海道コンサドーレ札幌)
クラブでは3バックの左を担いますが、視野が広く正確な左足のキックを武器に、ロングスルーパスやサイドチェンジで後方からチャンスを生み出します。組み立て時にスペースがあれば、前にスルスルと上がって高い位置で起点になることもできます。そして何と言っても最大の武器は直接FKの得点力。これまで数々のゴールを左足から決めていますが、今シーズンも横浜F・マリノス戦で鋭く曲がる25メートル弾、さらにルヴァン杯の決勝の延長戦でも見事なゴールを叩き込みました。
流れの中から、さらにセットプレーでも猛威を振るう左足の名手はディフェンスでも攻撃的なチームの背後を守り、タイミングの良いタックルやパスカットでボールを奪うシーンも目立ちます。J1でDFながら驚異の8アシストを記録。同僚の進藤亮輔ほど攻守に猛々しいタイプではないですが、攻撃の起点を増やし、高い位置からプレッシャーをかけてくる相手にも幅広い展開で立ち向かうには打って付けのタレントです。3バックが最も実力を発揮できることは間違いないですが、4バックならセンターでの対人にやや不安もあります。右サイドバックに室屋成など縦に勝負できる選手を起用し、左サイドバックから組み立てとバランスワークを担う役割も面白いかもしれません。
木本恭生(セレッソ大阪)
ここまでリーグ最少失点のセレッソ大阪を支えるセンターバックであり、ボランチとしても機能できるマルチなタレントです。機動力が高く、ゾーンを主体とした守備から瞬時にボールホルダーを捕まえるプレーを得意としています。福森ほどのスペシャリストではありませんがビルドアップも正確で、状況に応じて左右のキックを使い分けることもできます。観察眼に優れ、厳しい状況でも落ち着き払いながら、ギリギリのところでは体を張れるファイターでもあります。
これまで日本代表の経験はありませんが、韓国の光州で行われた2015年のユニバーシアードに参加しており、昨年はACLも経験するなど、国際舞台での不安はそれほどないでしょう。センターバックは三浦、畠中、進藤、荒木とベネズエラ戦のメンバーで4人が埋まってしまいますが、森保監督がどう評価してメンバーを決めるか注目です。
柏好文(サンフレッチェ広島)
左サイドから縦横無尽に相手陣内を切り裂き「柏と言えば左45度」と自画自賛するミドルシュートをゴールの右隅に突き刺すシーンはサンフレッチェ広島の風物詩となっています。ウィングバックのイメージが強いですが、インサイドに切り込んで狭いスペースでも勝負できるため、4ー2ー3ー1の左サイドハーフとしても十分に持ち味を発揮できるでしょう。クラブではここまで33試合の全てスタメンですが、個人の仕掛けで違いを生み出す能力は欧州組を含めても日本人屈指で、ジョーカーとしても効果的な選手です。
ウィングバックというポジションながら、ここまで8得点4アシスト。今後を見据えれば32歳という年齢がネックになりますが、シーズンを通して大きな怪我なく戦い抜くフィジカルと攻守の運動量に疑いの余地はなく、Jリーグの代表としてタイトルを狙う意味でも、ぜひ招集してほしいタレントの一人です。2015年には森保監督のもとでリーグ優勝を経験しており、指揮官もその実力は十二分に理解しているはずなので、あとはU-22から選ぶかどうかなど、チーム強化の方針次第でしょう。
そのほか”アギーレジャパン”で代表を経験し、攻撃的なF・マリノスの右サイドを幅広いプレーで支える松原健や同じくF・マリノスの中盤で優れたゲームコントロールの能力を発揮する喜田拓也、前回のE-1経験者で鹿島アントラーズの攻撃に明確なアクセントを加えるなど5得点7アシストという数字以上の存在感を放つ土居聖真などの有力候補がいます。
U-22からE-1選手権に加わる場合は20歳にしてサンフレッチェ広島の守護神を担う大迫敬介(サンフレッチェ広島)、組み立てとボール奪取の両面で存在感を示すボランチの田中碧(川崎フロンターレ)、躍進著しい大分トリニータで後方から攻撃センスを発揮する岩田智輝、左サイドで非凡な推進力を見せる菅大輝(北海道コンサドーレ札幌)、左右のサイドをハイレベルにこなす遠藤渓太(横浜F・マリノス)など、U-22代表でも主力級の国内組から選ばれるはずです。
3大会ぶりとなる東アジア制覇に向けて、森保監督がJリーグからどういったメンバーを選出するか。明日の発表が非常に楽しみです。