交流試合・日本ハム戦 今季初の先発全員安打と、才木投手と、清宮選手と。《阪神ファーム》
阪神タイガースの、ことし初めてのファーム交流試合は日本ハムとの顔合わせでした。日本ハムとはこのところ鎌ケ谷、もしくは新潟県三条市で交互に対戦しています。昨年は三条で連敗した阪神。お返しに今度は連勝!と思ったら、きょう15日は予報通りの雨で朝9時前に中止となりました。
きょうは望月惇志投手が今季初先発の予定だっただけに残念ですね。しかも地元の関東とあり、腰の手術から復活した姿を見てもらえたはずなので。そのあたりの望月投手本人や、矢野燿大監督の話は、また改めて書かせていただきます。お待ちください。ただし望月投手は17日のウエスタン・オリックス戦で先発することになったので、鳴尾浜の皆様はご覧になれますね。
でも2年に一度あるかないかの鎌ケ谷での試合を楽しみにされていた関東の小虎ファンの方々は無念でしょう。お天気が回復したから余計に…。そして今回は日本ハムのドラフト1位・清宮幸太郎選手が、実戦復帰後初めてフル出場するということで、マスコミ陣もかなり多かったですねえ。私も生で見られて、ちょっと得したような気分です。
さて試合は先発の才木浩人投手が6回2失点、といってもわずか4安打なので悔しいかもしれません。打線が今季初の先発全員安打を放って逆転勝ちしました。では試合結果をどうぞ。
《ファーム交流試合》4月14日
日本ハム-阪神 1回戦 (鎌ケ谷)
阪神 000 033 100 = 7
ハム 001 001 000 = 2
◆バッテリー
【阪神】○才木(1勝1敗)‐守屋‐尾仲‐モレノ / 長坂
【ハム】●ロドリゲス(1勝1敗)(5回1/3)-高山(1回2/3)-公文(1回)-立田(1回) / 郡‐黒羽根(9回裏)
◆二塁打 熊谷、小宮山
◆盗塁 江越2、北條、板山、中谷、長坂、郡
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]左:江越 (5-2-2 / 1-0 / 2 / 0) .242
2]指:荒木 (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .200
〃打指:小宮 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .286
3]遊:北條 (5-2-2 / 1-0 / 1 / 1) .187
4]一:板山 (3-1-0 / 1-2 / 1 / 0) .294
5]三:陽川 (5-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .191
〃捕:岡崎 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250
6]右:中谷 (4-1-1 / 0-1 / 1 / 0) .172
7]捕:長坂 (4-1-0 / 0-0 / 1 / 0) .302
〃打三:今成 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .227
8]中:島田 (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .257
9]二:熊谷 (4-2-1 / 2-0 / 0 / 0) .182
※小宮=小宮山
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
才木 6回102球(4-6-2 / 2-2 / 3.68) 150
守屋 1回 20球 (1-2-0 / 0-0 / 2.79) 147
尾仲 1回 22球 (0-1-0 / 0-0 / 2.35) 148
モレ 1回 18球 (0-1-1 / 0-0 / 3.00) 150
※モレ=モレノ
《試合経過》※敬称略
才木は1回を三者凡退。3番・清宮には146キロ、149キロと直球を2つ空振りさせ、3球目でファーストゴロ。これが150キロで、この日の最速でした。2回は、昨年のイースタン首位打者である4番・高浜を空振り三振(149キロ)、ついで矢野はスライダーで見逃し三振(133キロ)。岡はカーブで空振り三振(115キロ)という内容です。
さらに3回の先頭・渡辺から147キロで空振り三振を奪い、4者連続!ところが2死後、9番・郡に中前打、二盗も決められて浅間に右前タイムリー。あっさりと1点を先取されます。4回は1四球のみで無失点。
一方の打線は、1回2死から北條が右前打するも得点なく、2回が三者凡退。3回に島田が中前打しますが盗塁失敗。走者がなくなり、2死後に江越の左前打が出るなど、うまく噛み合いません。4回は1死から板山と陽川が連打したものの、併殺で0点です。
しかし5回、才木の好投に応えて逆転しました。まず長坂が相手エラーで出て、島田の二ゴロで走者が入れ替り、熊谷は左前打で1死一、二塁。2死後に荒木が左前タイムリーで同点!送球の間に二、三塁として続く北條が右前へ2点タイムリーで勝ち越します。
6回も中谷が四球を選んで、島田の左前打などで1死一、三塁。熊谷が左打席で右越えのタイムリー二塁打を放ち、なおも1死二、三塁で江越が右前タイムリー!2人を還します。この回も三振点を加え、6対1とリードを広げました。
なお5回は三者凡退だった才木が、その裏に先頭・浅間の右前打を許し、1死後に暴投で二塁へ。清宮の一ゴロで三塁へ進めて、高濱に中前タイムリー。才木は4安打ながら、2死からの2失点で交代しています。
7回の攻撃は、四球を選んだ板山が盗塁と暴投で三塁まで進み、1死後に中谷の左前タイムリー!盗塁と長坂の内野安打(この2人のヒットで先発全員安打達成)で1死一、三塁として、2死後に長坂も二盗を決めましたが、ここは1点どまりです。8回は小宮山が二塁打を放つも追加点なし。
リリーフ陣は7回が守屋で、8番・杉谷の中前打のみ。8回の尾仲は清宮から三者凡退。そして9回はモレノが登板。2死から杉谷に四球を与えたあと二塁へ進めます(盗塁は記録されず)が、次の代打・難波を捕邪飛に。岡崎がバックネットまで走って捕るナイスプレーで試合終了です。
余裕を感じた才木のピッチング
いつものように矢野監督の話からご紹介しましょう。最初は才木投手についてです。
「よかったね。この前ブルペンでちょっと話をしたんだけど、全部100%で投げようとしすぎて、ピッチングが苦しくなっている。ある程度ゾーンの中で、力を抜くわけじゃないけど、カウントを取ってみせたり誘ったりして、最後に決め球を100パーセントでいくというメリハリがあるやん?才木の場合は、それが若さだし、いい部分もあるんだけど、"ピッチング"ではなく"投球"になってしまっている」
その点を本人と話して、きのう14日の好投につながったようで「きょうみたいな感じなら力感的にも、ゾーンの中で押し込んだファウルを取りながら、最後で『決めにいってやろう』というメリハリがすごくあって、"ピッチング"になっていた。カーブを使えていたしね。カーブも、もっと使っていいと思う」と話しています。
そして「きょうの才木には余裕を感じた。きょうみたいなピッチングが出せるのであれば、1軍でも勝負できるんちゃうかな。そんなレベルやったと思う」と楽しみな言葉が続きました。また、ともに2死からの失点だったことは「本人もそれは反省していたけど、でも(3回の)1点目は長坂が盗塁を刺してやらんとあかん」とのことです。同じ質問を藤井彰人バッテリーコーチに振っても、やはり「あれは阻止できた」と一言でした。
みんなが内容のあるヒットだった
矢野監督の話は続きます。次は今季初の先発全員安打を記録した打線について。「江越がよかったね!あのタイムリーは内容がある。追い込まれてライトへ打ったのも、その前に追い込まれてからスライダーをレフト前へ打ったのも、盗塁も。きょうの内容は1軍レベル。バットに当てる球が増えてきている。"たまたま"から、対応できつつあるという内容だった。俺らもうれしいし、本人もうれしいと思うよ」
さらに「北條も、詰まっていたし、たまたま飛んでいっただけかもしれないけど(ライトへ2安打)。センターから逆方向に打っていかないと、よさが出ない。結果が出て、前に向いていけるから。これが分岐点に、というヒットになってくれればね。荒木もそうだし、きょうは内容のあるヒットが多かった」と矢野監督。
熊谷選手が左打席で二塁打、しかもタイムリーを放ったことには「ビックリした!風やで。完全に風やけど(笑)」だそうです。
「清宮?意識してないですよ~」
では選手のコメントに参りましょう。才木投手は「結果的に勝てたのはよかったですけど、点を取ってもらった次に先頭をヒットで出したり、2アウトからフォアボールでランナー出したり。まだまだだと思うし、反省点もすごくある。課題がたくさん見つかったのはよかったです」と試合を振り返り、ストレートについて「自分の感触は悪くなかった」と言います。
2回から3回にかけての4者連続を含む、計6奪三振をもう一度。1回先頭の浅間選手は148キロの真っすぐ、2回は4番・高濱選手が149キロの真っすぐ、矢野選手は133キロのスライダー、岡選手は115キロのカーブ、3回の渡辺選手は147キロの真っすぐ、5回の渡辺選手は141キロの真っすぐという内容。
清宮選手を3度抑えたことで、先輩の貫録を見せたかな~と思ったのですが、才木投手は「(相手は)病み上りなんで…。でもストレートで空振りを取れたのはよかった」と苦笑いしながら答えた感じです。意識した?「それは聞かれると思っていました。意識はしてないですよ~」と最後は歯を見せていました。
キレていた尾仲、右へ2本の北條
続いて尾仲祐哉投手。矢野監督が「尾仲はめっちゃキレてた!あれだけ腕を振って投げられたら対応できない」と絶賛だったことを伝えたところ「感覚として真っすぐがよかったので」というコメントで、すぐに「でも(カウントが)3-2になっているので、そこは修正する部分かなと思います」と反省も。そういえば打者2人がフルカウントから打ち取ったものでしたね。抑えて、なお反省。必ず次に生きるでしょう。
野手陣はタイミングが悪く、取材ができず、あとで聞けたのもタイムリーを含む右前打2本の北條史也選手のみ。「強引にいかず、ライトに打てたのはよかったと思います」。また熊谷敬宥選手は、きょう聞きました。タイムリー二塁打を矢野監督が「風やで」といった通り、本人も「左打席での長打は初めてです。でも完全に風(のおかげ)。僕もライトフライだと思っていましたし、当たりもよくなかったので」と話しています。
<掲載写真は筆者撮影>